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幕間:クスィフィアスは思考する

「やばいであります! やばいであります!」


 ダンジョン第六層にある魔導研究所の制御室。

 そこでクスィフィアスは半狂乱になっていた。


 目の前にある魔導モニターには、アルバコアたちが各階層を走破してくる様子が映っている。


(お、落ち着くであります)

 まずは時間を稼ぐのだ。時間を稼いで、その間に対策を考えるのだ!


 そうだ! 第8層に用意された機体は、素早さに特化しており、クスィフィアスでも倒すのにはそれなりに時間がかかる相手だ。

 さすがのアルバコアでも捉えるのには時間が――


『第8層がクリアされました』


「びゃあああああ!!!」


 戦闘時間、約1分!


 姉妹機と言っても、アルバコアはワンオフ高性能実験機。

 しょせん劣化量産型であるクスィフィアスとは自力が違うのである。価格にして1000倍以上の相手なのだ。

 ちなみに前に倒したときは100体がかりでなんとかした。


(というか、あの時よりも反応速度が早くなってるであります!)


 そういえばアルバコアには自己進化系の魔法が組み込まれていたような……。


(ま、まともにやったら一方的に制圧されて終わりであります!?)


 ちんちくりんのセーフモードであればまだしも、あの姿のアルバコアと正面切って戦うなど愚の骨頂。

 グレイト・ベヒモスの二の舞になるのは目に見えている。


「な、なにかいい方法はないでありますか!?

 ああもう! なんでこの魔導研究所には魔導自爆装置が設置されてないでありますかぁっ!?」


 クスィフィアスは制御室に用意された魔導研究所のデータを走査した。

 第一倉庫に用意されたものは、もうすでに朽ち果てている。

 第二倉庫は部品ばかり。第三倉庫もぜんぜんダメ。


 じゃあ、この魔導研究所を自爆させてやろうと思ってもそんな機能はなし。


 まったくもう!

 いったい何を考えて自爆機能のない魔導研究所など作ったのか。


「だいたい、この第一倉庫の隣にある無駄な空間はなんでありますか!? こんな空間を作るなら、自爆装置を――」


 言って、クスィフィアスはふと気づいた。


 ……無駄な空間?


 慌てて、第一層からすべてのデータを見直す。


「すべての階層にまたがるような、この空間は……まさか」


 聞いたことがある。

 かつて、この国の何処かには、戦時条約を無視して秘密裏に作られた決戦用の魔導ゴーレ厶があると。


「だ、だとすれば搬入物にあれがあるはずであります!」


 慌てて過去の荷物の搬入履歴をすべて洗い直す。

 2000年前に最後に記録されたものから降順に、素早く。だが絶対に必要情報を見逃さないように。


 そしてその結果は……。


「ふ、ふふふ」


 間違いない。

 この一見無駄にも思える、隠された空間にはあれがある。


「あれを起動させれば、アルバコアなんて目じゃないであります!」


『第7層がクリアされました』


 急ごう。時間がない。


 クスィフィアスは制御室を駆け足で飛び出し、それの元へと急いだ。

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