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アバコ、驚異のメカニズム

 ぴちゅーん……ちゅどおおおおおおん!!!!


「ぎゃああああああ!!!」


 俺の心の奥底からの純真な願いは――なんということだろう!

 アバコのビームによって却下された。


 俺は悲しい。

 

「――って、おいっ! 何すんだよ!?」


「逆ギレしないでください!?

 なに最低なこと言い出してんですか!?」


「ぶち殺されたいの? それとも去勢されたいの?」


 批難轟々(ひなんごうごう)、即答である。


 あれ、おかしいな……。


「こういうのって普通『イエス・マスター』とか『承知しました。ご主人様』とか言って、なんでも言うこと聞いてくれるパターンなんじゃないの?」


「ところがどっこい! そんな都合のいい展開はありません! 現実をみてください! 現実を!

 って、アバコさんも!! 追撃でパーティメンバーを蒸発させようとしないでください!」


「いまのうちに蒸発させたほうが世の中のためだと思うんだけど……」


「それはそうかもですけど!

 ダメです! わたしが飢え死にしちゃいます!

 ほら! ナバルさんも謝ってください!!」


「うっせえ!! アバコは俺がよみがえらせたんだぞ! 俺が所有者でパーティリーダーだぞ! 偉いんだぞぉっ!?」


「オーケー、どうやら本気で抹殺されたいようね? ――って、あら?」


 と、腕から銃身を出して凄んでいたアルバコアの動きがいきなりぎこちなくなった。

 ぎぎ、と軋む音が俺の耳にも聞こえる。


「あ、アバコさん? どうしたんですか」


 ウェンズディが問うが、理由は簡単だ。


「くっくっく……」


 俺は勝ち誇りながらガチャインベントリから修復スプレー(☆1)を取り出した。


「お前につかったこの修復スプレーはしょせん☆1のアイテム! 効果は微小なのさ!

 ふはは、アバコよ。お前が完全復活するためには俺に従わざるを得ないのだ!」


「ぐぬぬぬ!」


「わはは! これが欲しければ、貴様は俺のカキタレになるのだーっ!!」


 ほーれほれ。


 目の前で修復スプレーを見せびらかす。

 日用品ガチャを10600回も回しただけあって、修復スプレーのストックはそこそこあるぞぉっ!


 が、勝ち誇る俺に対し、アルバコアは「ふっ」と冷たい笑みを浮かべた。


「わたしの高性能っぷりを舐めないことね。――フォームチェンジ!」


 アルバコアの全身からぷしゅーっと蒸気が上がる。


「うわっぷ。なんだこれ。自爆!?」


 やがて、蒸気が晴れたとき、


「誰が自爆なんてするもんですか。見なさい、この完璧なるボディ!」


 ちんまり。

 そこに立っていたのはちんまりとした幼女であった。


「アバコさんが……縮んだ!?」


 なんということでしょう。

 さきほどまで15歳の俺よりも頭ひとつ高かったモデル体型の美女はどこかに消えうせて、そこにいたのは俺の胸ほどの身長のちんまいロリ幼女!


 ウェンズディが驚きに目を見開くのを見て、アルバコアが「ふっ」と勝ち誇ったように髪をかきあげる。


「説明してあげるわ!

 わたしはこの形態――セーフモードになることでメンテナンス性が上がり、マナの消費を抑えることができるようになるのよ!

 この形態になったわたしは日常生活を自然からのマナだけで賄うことができるようになり、まさに半永久機関! この形態こそ、まさに高性能であることの証明!!」


 アルバコアが手を腰に当てて勝ち誇ったように笑う。だが――


 なんてこったい!


「バカっ!」


 俺は地面を叩いた。叩いて血の涙を流した。

 なぜならば!


「おっぱいまで縮んでるじゃん! そんなロリな見た目でおっぱい揉もうとしたら犯罪じゃん!?

 なにがセーフモードだよ!? 倫理的にデッドリー(致命的)だっつーの!! ――ぐえーっ。け、蹴りやがったな!?」


「蹴るわよあんた! 何が倫理的にデッドリーよ!? くらえ、古代兵器アッパー!」


「やったな、この野郎! 未来人キーック!」


「はぁ、未来!? 原人みたいな文明しか持ってない連中の分際で未来人を名乗るわけ!? ならば……魔導科学ヒップアターック!!」


「てめえこそガチャ文明舐めんな! 廃カキンエルボー!」


 ぼこすかぼこすか。ぎゃーぎゃーわーわー。


 その戦いはどちらかが死ぬまで続くかと思われた。が、


「お二人ともストォォォップ! なのです」


 俺たちの間に割って入ったのはウェンズディだった。


「どうしたんだ、ウェンズディ」と顔をぼこぼこにされて死にかけてるのが俺。


「どうしたの、ウェンズディ」とシュッシュとシャドーボクシングをするように挑発するのは余裕しゃくしゃくのアルバコア。


 こいつ、(ちぢ)んだっつーのにめっちゃ強いんでやんの。

 セーフモードとはなんだったのか。俺、まだプロテインの効果が持続中なんだけど。


 俺が「ぜーぜーはーはー」と死にかけていると、ウェンズディのほうは必死になって頭上を指差す。


「あの! あの! 上! 上を見てください!」


「上?」


 ピシ。


 見上げると、ちょうどアルバコアが開けた穴の(ふち)が冷えて固まって、重さに耐え切れずビシリと割れるところが見えた。


 ドスン。


 直後、でっかい岩が俺の目の前に落ちてきた。もちろん、こんなん当たったら死ぬ。


「……」


 俺は恐る恐るもう一度天井を見た。


 ごごごご……

 ひび割れはさらに大きくなり、ダンジョンの階層が抜けるかのような地響きを立てはじめる。


「な、ナバルさん? 早く逃げた方がいいのでは? このダンジョンの地盤、完全に破壊されてますけど」


 ……ここでひとつ、この世界の仕組みを説明しよう。

 この世界における村の住人――妖精たちが生活の糧としているのは、大地のマナと冒険者たちが宿代や食事代として支払っていくKG。

 そしてKG=ダンジョンから得たマナである。


 逆に言うと、冒険者たちはKGを支払うことによって、武器や日用品のみならず生活のすべてを満たしているということだ。


 そしてKGを稼ぐことができる場所はダンジョンのみ。

 要はダンジョンとは冒険者たちにとっての職場であり、村や街にとっては客寄せパンダのような重要な施設なのだ。


 それを壊すといったいどうなるか。


「どうなるの?」


 アルバコアの問いに、ウェンズディは「管理している妖精にもよりますが……」と前置して、


「死刑です。ダンジョンを管理してる村の長――大妖精に首ちょんぱにされます」


 俺は大妖精――フィオの村の村長かつ、自分の育ての親でもある大妖精の姿を想像する。

 緑色の髪の、まさにエルフな妖精と言った風貌の女性。その大妖精に、


 Q.もしも『ダンジョン壊しちゃった。てへぺろ』なんて報告したらどうなりますか。

 A.にっこり笑いながら、首を掻き切るように「キル・ユー」って言いだします。


(や、やばい。殺される……)


 あの大妖精は言ったら実行するタイプの人だ。


 ちなみに大妖精の人たちはマナの豊富な場所――例えば村とか街の中ならめちゃくちゃ強い。


 具体的に言うと、☆3のミスリルの剣を微笑みながら素手でへし折るくらい。


(うひぃ……)


 俺は色んな意味で背中に冷や汗が流れるのを感じた。


 ぜったい村には帰れない。

 じゃあ、どうするか?


「よし!」


 そんなの、決まってる!

 俺はダンジョンが崩れる中、手をパンと叩いた。


「逃げよう。どっか遠い街に行こう」


「異議なしなのです!」


 そんなわけで、俺たちは地響きを立てて崩壊するダンジョンからすたこらさっさと脱出し、遥か長い旅に出たのだった。

面白いと思っていただけたらポイント評価などいただけるとさいわいです。

(•̀ω•́ )ゝ✧


&メインで書いている作品もよろしくお願いします!

『マグロでホームラン! を魔法って言い張るのやめてください』

クロマグロ転生からのハイファンタジー青春熱血学園モノ。現在20万字!

(https://ncode.syosetu.com/n1132ez/)


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