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 俺とサイカニアは宿に帰って話し合うことになった。

 何をといえば、このまま逃げ帰るかどうかだ。俺達は学生だ、もし国家反逆罪か、それとも単なる犯罪かはわからないが、そんなそんな連中と関わったら命がいくらあっても足りない。

 サイカニアの返事は、逃げる方法はないということだ。

 なぜなら、ここは一種の陸の孤島であり、定期的に来る乗合馬車以外に交通手段がないということ、そして、逃げても追ってくるかもしれないということ。

「馬車に乗って無人の平原あたりで襲われたら、どうしようもないでしょう」

 サイカニアを愛しているけれど、ちょっと恨めしく思った。それは最悪のシナリオだ。

「町に着くまで危険は変わらないと思います、それくらいなら、緊急の際は連絡のつく宿屋にいたほうがいいのでは」

 宿屋には、学園直通の通信手段がある、それを考えれば宿屋のほうが安全か。

「それと、一応学園と取引のある宿屋です、ディロング氏はそれなりに自衛手段をお持ちのはず、それならばあの三人を預けてもいいのではないでしょうか」

 やはりあの三人をサイカニアは足手まとい認定していたか。まあ誰でもそうだろうけど。

 

 宿屋に戻るとディロング氏は難しい顔をしていた。

 俺達が攻撃を受けたと言われてもちょっと驚いたが、実は結構その手の脅迫を受けることがあったそうだ。

 ずっとここにいるので、実はお前が隠しているんだろうとかそういう疑いをもたれることも多いのだとか。

 しかし、とっくに見つけているならとうにこんなところに見切りをつけて出ていくんじゃないかなと俺なんかは思うけど。

 実際ここは暮らすには不便だ。

「聖剣がどうして亡くなったかはわかりません、ティランがどうして最後に聖剣を持っていなかったのかも。ですが、その、そんなものを量産してもどうなるかといわれましても」

 なにやら歯切れの悪いことを言っている。

「学園に連絡は入れます、生徒が襲撃を受けたならこちらには報告する義務がある」

 そう言って通信道具のほうに行った。

「あれ?」

 そして怪訝そうな顔をする。

「どうしました?」

 魔道具なら俺の範囲なので、ディロング氏にどいてもらって俺が確認することにした。

 俺は送信の呪具に手を置いた。

 反応はない。しかし道具が破壊された様子もない。

 道具が物理的に破壊された様子がないのに無反応ということは。いくつか可能性を探って、俺は一番ありそうな可能性を口にする。

「もしかしたら広範囲に結界が張られたのかもしれない、きわめて微弱な結界でも呪具の波動くらいは止められる。妨害装置の可能性もあるが、呪具に合わせなければならない、それを考えれば結界かな」

「範囲はどれくらいですか?」

 サイカニアの言葉に俺はざっと計測してみる。結界は強力なほど守れる範囲は狭くなる逆に子供の投げた石も防げないへぼ結界ならかえって感知は難しい。そしてかなりの広範囲をカバーできるのだ。

 そして通信を阻害する目的ならこの場所を中心とするだろう。

「一日歩き通してくらいの距離はカバーできるんじゃないかな」



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