表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/186

29「今しばらくは」

おはようございます。

昨日の日中に、28話を更新しております。

お気づきでない方は、そちらから先にどうぞ。

本日もよろしくお願い致します。


 休憩も終え、ただいまペリエ村を目指して歩いています。

 まだ疲れていますので慌てずゆっくりです。


 それにしても、ロボがまさか雌だったとは思いませんでした。

 今は並んで歩いてますけどね、僕の足に体を寄せてくるので蹴り飛ばしそうで怖いです。


 そうですか。雌ですか。

 ま、今すぐ結論を出す事でもありませんからね。


「ロボ、お嫁さんの件ですが」

『はいでござる!』


 歩みを止めて硬直していました。参りましたね。


 しゃがんでロボの目線に合わせます。


「僕らはまだ出会って一日しか経っていません、そしてこれからは一緒に旅をする仲間です。さらに魔法を教える師匠と弟子の関係です。今しばらくは、そういう関係でどうでしょうか?」


 少し沈黙。


『こ、恋人とゆうものがあるらしいでござるが……』


 どこでそんな事覚えてくるんですか。貴女、森育ちでしょう?


「それも保留ですね」

『そうでござるか……』


 落ち込んでしまいましたね。


「……今しばらくは、ですよ。先の事は誰にも分かりませんからね」


 また少し沈黙。


『はいでござる!』


 狼なんで分かりにくいですが、恐らく輝くような笑顔で返事してくれた様に思います。

 可愛いですね。



 夜が明け始めた頃に、ようやくペリエ村が見えてきました。

 みんな心配しているでしょうから、早く帰ってあげないといけませんね。


「ロボ、あと少しです。走りましょう!」

『承知でござる!』


 ……あまり速くないですね。タロウよりはかなり速いですが、プックルの半分くらいでしょうか。

 まだ子供の狼ですからね。追い追い速くなるでしょう。


「ロボ、おいで!」

『はいでござる!』


 僕の胸に飛び込んで来たロボを受け止め、右腕で抱っこ、そしてそのままペリエ村まで走ります。


 ロボの毛の手触りは、本当に気持ち良いですね。





「ヴァン先生! ご無事でしたか!」


 ター村長が出迎えてくれました。きっと夜通し起きて待ってくれていたんですね。


「村の者には、まだ外に出ないように伝えています」

「もう大丈夫です。マロウの長との話し合いも上手くいきました」


 話し合ったのは新しい長とですが、敢えて言わなくても良いでしょう。


「さすがヴァン先生!」

「ただ、村の西の外れに二十頭ほどのマロウの死体を放置したままです」

「そんなものは私が片付けておきます。なんの問題もありませんよ」


 確か村の中では戦いませんでしたよね? あれ、どうだったかな。牽制で魔法は使った気がしますが。


「もしかしたら広場から西にかけて、村の中にもあるかも知れません」

「お安い御用です。では先生、村の者にも危機は去ったと伝えて参ります。本当にありがとうございました」


 ター村長が深々と腰を折ってお礼を言ってくれました。僕もここの住人ですからね、当然の事です。



 ようやく自宅に近付きました。そろそろタロウとプックルが迎えに来てくれるでしょうか。


「一人で何やってんすか!」とか、『プックルニモ、頼レ』とか、言われちゃうかも知れませんね。


 あれ? 普通に玄関ドアまで辿り着きましたけど。


 あれ? ドアを開けても反応がありませんが……。


 ロボと顔を見合わせて首を捻ります。


 は! まさか!


 慌ててタロウ達が使っていた部屋に飛び込みます。


 なんて事でしょう。不安が的中してしまいました。


 棺桶の上に前脚を乗せたプックルが、ベッドの上のタロウのお腹に頭を乗せていました。


 昨日の夜から全く動いていませんでした。


 いや、良いんですけどね、二人だって疲れていますよね。

 昨日の昼前から寝てますから、いい加減に起きてると思っていました。

 そうです、僕の一人合点なのでタロウ達は一つも悪くないんです。

 でもね、結構厳しい戦いだったのでね、ちょっと労って欲しかったな、なんてね。



「ロボ、僕は今から好きなだけ料理を作ります。ですからロボは寝て下さい」

『ヴァン殿、寝なくて良いでござるか? それがしはヴァン殿とベッドで寝たいでご……』

「ロボと寝たくない訳ではありませんが、今は料理を作りたい気持ちなんです」


 少しの沈黙。


『……見ていてはダメでござるか?』


 本当に可愛い狼ですね。


「良いですよ。ただし、集中すると話しかけても返事をしないかも知れません。気を悪くしないで下さいね」




 昼食を作りましょう。

 まだ夜明けから間もないので時間はたっぷりあります。

 粉にイースト、塩、砂糖を入れて混ぜ、充分に捏ねます。塩とイーストが直接触れない様に入れるのがコツですね。


 充分に捏ねたら濡れ布巾を被せて暫く置いておきます。今の気温なら割りと長めに置く必要がありますね。


 お茶を入れ、少しだけ腰を下ろして一息入れます。その間、ロボの背を撫でて過ごします。


「ロボ、少しお店を回りますが、一緒に行きますか?」

『勿論でござる!』


 ロボを連れ、お店をいくつか回ります。早朝なので、酒屋さんは開いてませんでしたが、声を掛けて売って頂きました。


 玉ねぎや人参などを粗く刻み、マトンの肉や骨などと一緒に煮込んでスープを作ります。

 これをしばらく煮込んでいる間に、先ほど濡れ布巾で覆った生地をガス抜きして、切り分けます。成形して、また濡れ布巾で覆って寝かせます。二次発酵ですね。


 別の鍋でバターと粉をゆっくりと、茶色く焦げがつくように炒めます。これに先ほど煮込んでおいたスープを足して伸ばし、トマトとブドウ酒を加え煮込みます。

 これでソースは完成ですね。


 マトンと牛の肉を包丁で叩き混ぜ合わせます。残念ながら牛の魔獣の肉は売っていませんでした。アンセム領ではマギュウは珍しいですからしょうがないですね。

 微塵切りにした玉ねぎと、数種類のキノコも刻み、混ぜて捏ねましょう。

 形を整えて少し置いておいて、二次発酵の様子を見ます。

 いい感じですね。こちらも仕上げて窯へ入れて焼き上げましょう。


 フライパンに成形した肉を入れて焼きます。

 肉が焼ける香ばしい香りと、パンの焼ける良い匂いが辺りに広がります。


 ウトウトしていたロボが目を覚ましましたね。

『ヴァン殿? 疲れてるのにずっと作ってたでござるか?』

「ええ、楽しいですから平気です」


 どうやらタロウ達も起きた様ですね。


「ロボ、タロウとプックルにも声を掛けて来て貰えますか? 昼食にしましょう」

ヴァンさんの料理シーンばっかりでした(汗)

本日午後に29.5話の更新を予定しております。


もし少しでも気に入って頂けましたら、お気軽にブックマークなどして頂けますと、ワタクシ大層喜びます。

よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ