第二話;好キナ人
わぁ…悠太くんって、かっこいいな。
すごいな、 モテそうだ〜。
ぼけーっと半分眠りかけている頭でそう考えていた綾菜。
悠太が自分にとって
どんな人になるかも知らずに…
「水嶋君は…そうだな…」
その小さく呟いた声は担任の山田葉月先生だった。
しっかりしたその声。
男子生徒に告白されたこともあると自慢していた先生。
葉月先生は 悠太を見るたびに顔を赤くした。
25の葉月先生をも 引き付ける 悠太であった(汗)
「山田先生!」
急に手を挙げる明菜。
「どうしたの?黒崎さん。」
驚く葉月先生。
「羽鳥さんの隣 空いてますよ。」
ニヤニヤしながら言う明菜。
きゃ――――――! もぉ! 一人がよかったのに……
ついつい 隣が居ると喋っちゃうからいやなのに…
「そうね。」
葉月先生も乗らないでよお!
「じゃあ、水嶋君はあのハートのカチューシャの子の隣ね。」
「はい。」
悠太は歩いていった。
ドキドキドキドキ―――
綾菜はドキドキと心臓の鼓動が聞こえた気がした。
「横、いいかな。」
「へ!? あ…うん。」
「俺、水嶋 悠太。 君は?」
「え!?あ…あたし羽鳥 綾菜ぁぁ!」
驚きと焦りが混じって変な声が出た綾菜。
「どどどどど…どした?」
ビクッとする悠太。
「しゃ…社会の教科書忘れた…」
半泣きの綾菜。
「あははははは! 俺に任せろって!」
プッと噴出す悠太。
〜〜〜〜〜〜悠太君にみっともないとこ みせちゃったなぁ…
「先生、俺転校してきたばっかだから、教科書持ってません。
羽鳥さんに見せてもらう訳にはいかないので。ありがとうございます。」
う〜〜〜
「ほら、綾菜 一緒に見ようぜ。」
ああああああ…綾菜!? 呼び捨てで呼ばれちゃったよ…うぅ…
顔赤くなってないかなあ?
なんでこんなにドキドキするんだろ。 心臓破裂しちゃうよぉ!
自分でも今になると
笑いがこみ上げてくるの。
恋の感情もわからないのか、って。
あの時の私に「バカ」って言ってやりたい気持ちになる。
それと同時に、
「今一分一秒を大切にして。いつ人を失うかわからないんだよ」
って忠告もしたい。
人の命ってどうしてあるんだろう?
何でそんなに簡単に消えてしまうのかなぁ?
今でもナゾは残るばかり。
でもね、
死んでしまったら思い出はもう作れない。
死ぬ、ってそういう事だと思う。
大好きな君が死んでしまってから
私は…少し変わりました。
天国の君はわからないかも知れないけど…
思い出すたび私は泣いてる。
あの時は「幸せ」だったね、って心のそこから思うんだ。
こんにちは!!成宮春季です。
最後の言葉は、10年後の綾菜の言葉です。
10年後の綾菜は…23歳ですねぇ。
凄い重い言葉だったんですが…。
何か意味があるんでしょうか?
そこのところは、話が進んでいくとどんどんわかってきます。
では。
11月22日
作者*成宮春季