第23話『新たな相棒 後編』
翌日……
封印鉱山で素材となる鉱石を集めた俺たちは再びディエゴの元にきていた。
「ほほう?もう集めたのか?ずいぶん早かったな。これだけ集めるのはなかなか骨が折れただろう?」
「ええ、なかなかでしたよ。まさか魔獣から採取するとは思ってなかったので…。」
「ラビが活躍してくれたお陰で何とかなったってとこですよ。」
「ガッハッハッ!まあ、ワシの目に狂いはなかったということだな!だが、見事だ!次はワシが老骨を折るとするか!まあ、見ておれ。」
そういうとディエゴは素材を地面の大きな皿のような所にまとめた。
「まずは、コイツらの不純物を取り除くか『精錬』!」
鉱石から放電が起き電熱でみるみる溶け始めた。大きな皿は電気炉のようなものか…
「熱くない…」
「ガッハッハッ!そうだな。この皿のようなやつは中に発生した熱を逃がさず中に戻す魔道具だ。だから周囲が熱くならんのだ。」
なるほど…電気炉とタタラか。
「さて、次はキレイに溶かしたこいつを叩くぞ。『鎚万打』!」
溶けて混ざった鉱石を魔力の鎚で叩き伸ばす。
「一気に冷やして締めるぞ。『冷水瓶』!そして砕く『鎚万打』!」
焼き、叩き、締め、砕き終え、欠片になった鉱石が分別され炉の皿で焼かれる……
「よし、シド。ここからは鍛錬の工程だ。鎚で打つ、力を貸せ!重ねて行くぞ!」
「はい!」
熱して、叩き、折り重ね、また熱して、叩く…気付けば100万を優に超える程の層を重ね、ぼんやりと光を放ち始めた。
「よし、伸ばして形にしていくぞ。思い描く完成形を意識しろ!ここからは時間と温度に注意しろ!」
「了解!」
反りを持ち形が見えてきた。そして焼かれ、冷やされ、また焼かれ……
……
…どれくらい経っただろうか、ディエゴと俺はひたすら手を休ませず仕上げていった。
「よし、磨きが終われば、あとは『魔力付与』だ。シド、お前さんの魔力をありったけこいつに込めろ。ワシがそれを定着させる。」
「了解!はああぁぁぁっ!!!!」
ありったけの魔力を放出すると未完の刀が強烈に光を放ち応えたようだ。
「よし、いくぞ!『魔力付与・魔化錬金術』!!」
工房の中に光の嵐が吹き荒れ…やがて刀の形に戻っていく…
そして、折れたトネリコの木刀から柄と鍔を作り、仕上げた。
「完成だ……」
「この刀身は超硬度の金剛鉄に魔力を通し易い精霊銀鉱と腐食に強い朱雀石に刃こぼれや歪みの少ない黒鉄鉱を合わせた超金属を徹底的に鍛えた代物だ。」
「そいつにお前さんの魔力を喰い続けてきたトネリコの木刀の破片を軸に使い高い親和性を誇る柄と鍔。まさしく完全にシド専用武具だな。」
「込めた魔力付与は『属性変換』。魔力を切れ味に変換し、攻撃魔法の属性を刀に変換もできる。こいつに斬れねえ物はねえだろう。ラドラの技術の粋とお前さんの魂で作られた最高の一振だ。ところで銘は決めたのか?」
「ええ…」
そこには刀身に紫電を纏い、斬撃という魔力を極限まで高めた美しい刃文を持つ刀…
「銘は『斬魔刀』。」
俺は新たな相棒を手に取ってゆっくりと構えると斬魔刀が俺の魔力に呼応してるのがわかる。ディエゴの言う通り最高の刀だ…
「斬魔刀か…良い名だ。」
「俺一人では完成しなかった。ディエゴさんのお陰です。」
「ガッハッハッ!ワシも楽しめたぞ!」
「それにシド、お前さんには鍛冶の才がある。冒険者にしておくにはもったいないな!」
「あはは。光栄ですよ。当代最高の鍛冶師ディエゴ・ラドラにそう言ってもらえるのは。」
……
「お世話になりました!」
「おう!またいつでも来い!」
ディエゴに見送られ、新しい相棒を手に俺とラビは工房を後にした。
「とても美しい剣ですね。シド様。」
「ああ。待たせて悪かったな。ラビが素材集めで頑張ってくれたお陰だ。ありがとな。」
そう言って、ラビのうさぎ耳の根元をわしゃわしゃと撫でた。
「はうぅぅ…そこは弱いんですぅぅぅ…」
「あ!シド様が工房に籠られている時にティエナ様から研究所に来て欲しいと連絡がありました。」
「ティエナが?そうか、じゃあ寄っていこうか。」
「はい♪」
俺たちはティエナの待つ魔科学研究所へ向かった。




