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『並行世界の概念崩壊(パラダイム・シフト)』  作者: 寝兎
第一章 目覚め
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第12話『噂と騒動 中編』

その日、ミアとテトの二人は冒険者になってから初めての合同討伐依頼(レイドクエスト)を受けるため、冒険者ギルドの会議に来ていた。


「なあテト。合同討伐依頼(レイドクエスト)って俺たちみたいな新人も多いんだな。」

「前線は熟練(ベテラン)がメインで後方支援と陽動は新人もいるみたいだね。」


会議室にはポロコの冒険者と周辺の村で活動する冒険者たちが集まっており、なかなかの熱気だ。

中には低位の冒険者や二人と同様の新人も多数参加していた。


「今回は小鬼(ゴブリン)だっけ?」

「街道の近くに現れた小鬼(ゴブリン)の掃討作戦って話だったかな。」

「お!支部長だ。」


「待たせたな!全員揃ったか?」

「では、今回の作戦の内容と編成を伝える!」


室内に軽い緊張が走る。


「まず、今回の作戦についてだが。」

「ここポロコから西に抜けた街道近くの森で小鬼(ゴブリン)の集団が発見された!斥候班によると奴らは森に集落を形成している模様。」

「ここに居る大半からすれば雑魚だが、奴らは武器を使用し集団戦に特化した魔物(・・)だ。」

「ああ、新人もいるんだったな!魔獣と魔物の違いは魔獣は人族、亜人族、魔族の全部を襲う獣だが、魔物は元々は魔族と亜人の劣等種と言われている。」

「まあ、代表的な魔物だと、今回の獲物の小鬼(ゴブリン)族、大鬼(オーガ)族、豚頭人(オーク)族、蛇人(ナーガ)族なんかがいるな。」

「魔物の中には知性を持って人族や亜人族と交流できる平和な部族もいるが、南のベスティア共和国とその周辺以外ほとんどの国や都市が敵性認定しているのが現状だ。」


「だが、今回は別だ!先日、街道で行商人の一団が襲われ多数の人族が殺された!」

「そして、低位冒険者も何名か殺られている!」

「よって、今回の作戦内容は掃討作戦、つまり奴らを皆殺しにし街道近くの拠点集落を破壊する!わかったか?」


室内の熱気が高まる。


「では、作戦の詳細と班編成を発表する!」


全員に班編成のリストが配られた。


『1班 敵主力部隊の討伐』

Bランクパーティ『バスタード』5名

Cランクパーティ『赤い牙』5名

Cランクパーティ『剣の誓い』4名

Cランク冒険者 8名


『2班 拠点の急襲』

Cランク冒険者 6名

Dランク冒険者 12名


『3班 斥候及び後方支援』

Dランク冒険者 5名

Eランク冒険者 5名

Fランク冒険者 8名


『4班 予備戦力』

Aランク冒険者 1名


計59名


「それぞれ確認は終わったか?」

「んじゃ、各班のリーダーのとこに集まって詳細確認してくれ。」


それぞれの班で自己紹介や連携の打ち合わせが始まった。


「シドさん!参加するんすね!」

「ミアか。俺の出番はなさそうだけど、支部長に頼まれてな。」

「シドさんの分もぶっ飛ばしてやりますよ!」

「ははは、頼もしいな。でも無理はするなよ?」

「はい!」


ゴンッ!


「いて!?なにすんだよテト!」

「おい!ミア!班長(リーダー)が呼んでるぞ!あっ!シドさんこんにちは!」

「おう。まあ、二人とも頑張れよ。」

「「はい!」」


自分たちの班に帰っていく二人を見送りガランの元へいく。


「支部長。すごい人数ですね。」

「おう!シドか!すまんな今回は!」

「予備戦力は何をすれば?」

「まあ、不測の事態の対応だな。そもそも小鬼(ゴブリン)は多産で数だけは多いが基本臆病で頭は良くねえ。だから狩られる危険のある街道近くには普通は来ねえんだ。」

「それが今回は街道近くに堂々と集落まで作ってきやがった。狩られる危険があるのにだ。」

「なるほど。奴らが冒険者を危険に感じない程の『強力な味方』が居る可能性があるって事ですか。」

「話早くて助かるな!まあ、そういうこった。斥候の話じゃ、数は150程らしいが戦力はオスのみだから80くらいだな。」

「とりあえず、警戒しても損はねえからな。」

「まあ、頭に入れておいてくれ。」

「わかりました。」


各班の打ち合わせも終わり、各班が配置につく為退出していく。そんな中…


「あんたが噂のAランクの新人か。強いんだってな。」

「どちら様かな?」

「俺は1班のリーダー『バスタード』のオルカだ。」

「まあ、そう警戒するなよ。」

「俺は噂は信じない質なんだ。自分の目しか信用しない。意味わかるよな?」


オルカと名乗った中年の男は熟練冒険者(ベテラン)だった。


「なるほど。俺はシド。ランクは気にしないでくれ。」

「シドか。よろしくな。」


そう言ってオルカが手を差し出す。

握手という名の力比べだ。


「こちらこそ、よろしく先輩(・・)。」

「はははっ!いいね!気に入った。」

「じゃあ、かわいい後輩に一つアドバイスだ。」

「敵は目の前だけとは限らねえ。お前だけを狙うとは限らねえ。俺の仲間には噂を真に受けるバカはいねえが全員が同じじゃねえからな。意味わかるよな?」

「ああ、為になるアドバイスだ。助かる。」

「まあ、困ったことありゃ相談くらいは乗るぜ。先輩だからな!ははははっ!じゃ、いくわ!」


やりとりを見ていたガランから声がかかる。


「オルカは実力だけならAクラスだが仲間を置いていけんと言ってBランク冒険者パーティを率いてんだ。アイツの人を見る目は確かだ。」

「さて、俺たちも行くか。」

「支部長も?」

「ああ、後方支援は新人多いからな。監督役だ。」

「なるほど。」


……


西街道を封鎖して、作戦が開始された。

1班はさすがの勢いで小鬼(ゴブリン)を倒していく。前衛が削って引くと同時に後衛が弓と魔法で追撃。いい連携だ。


時を同じくして2班が拠点急襲を開始した。


そして、1時間程たった頃だった。後方に居た支部長に1班と2班から戦況報告が届く。

1班からは『下位種60体程を討伐、残り中位種20前後が拠点と違う方向に逃走』、2班からは『拠点は無人で敵影は見つからず』との事だった。


「よし!1班と2班を合流させて下がらせろ!」

「斥候を出して残党の逃げた方向を中心に探索させろ!わかったか?」


何か、違和感がある。1班の報告では雑魚のみを倒したが中位種には逃げられた。2班は拠点は空だという…もしかすると……


「ちょっと地図見せてもらえますか。」

「おう。どうした?」

「気になる事があるんですよ。」


地図を見ると予想通り小鬼(ゴブリン)の残党の逃走した方向に洞窟がある。廃坑道か…中はかなり広そうだな。

恐らく罠だ。本当の敵は洞窟にいる奴だろう……


「罠かも知れません。斥候を下げさせて下さい。俺が洞窟に行きます。」

「なに?!どういうことだ?」

「雑魚のみと特攻、集落は無人、逃げた先には廃坑道。おそらく本命は廃坑道の中に居る。いや…出てくるかも知れない。」

「まさか…」

「はい。下位種が足止めと時間稼ぎ、集落の小鬼(ゴブリン)は生贄で魔法を使える中位種が廃坑道で『なにか』を召喚してる。」

「なるほど。説明はつくな。」

「廃坑道は横穴も多いので人数は機能しない。それに最悪の場合、毒や麻痺で簡単に壊滅する。なので俺が一人で行くのが最適ですよ。」


正直、低位の魔獣や魔物の攻撃は無効化するし、不死の俺には毒も麻痺も関係ない。結果一番リスクが少ないのがこの場合俺なのだ。


「勝算はあるんだろうな?」

「皆さんに『本当の俺』を知ってもらうチャンスですからね。」

「よし!わかった!頼むぞ!」

「1班!2班!に伝えろ!シドが中を片付け終わるまでは廃坑道の手前で待機。穴から溢れ出てくる小鬼(ゴブリン)を片付けつつ周辺警戒!」

「シド!これ持っていけ!通信用だ!」

「助かります。じゃあ行ってきます。」


この世界に来て、はじめての全力戦闘かもな…

そんな事を考えながら俺は廃坑道へ向かった。

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