第9話『新たな出会い』
「あんた、すげえ強そうだな。冒険者か?」
「おい!やめとけ。迷惑だろ。」
「すいません。こいつ、バカなんで許してやってください!」
「バカってなんだよ!」
……
「…ん?」
馬車に揺られ眠ってしまったのか…
何やら途中の村から乗ってきたらしい高校生くらいの2人組が俺に話しかけてきたようだ。
「あー、すまない。寝てて聞いてなかった。」
「俺に何か用か?」
「あ!すみません!起こすつもりは無かったんですけど…すみません!」
特に気にしてないんだがな…
「あー、いや。いいよ。気にしてないから。」
「こいつがあなたの装備を見て興奮しちゃって…」
そう言って、友人らしい連れの頭を強引に下げさせる。
「ほら!みろ!怒ってないじゃん。」
「なーなー!あんた王都の冒険者か?」
騒がしい方が勢いよく質問を続けた。
「いや。俺は冒険者じゃないよ。ただの旅行者だ。」
「嘘だろ!?そんなにいい装備してる旅行者がいるかよ!なあ?」
「装備は友人が用意してくれたんだ。心配性な奴でな。」
「まじか!気前良過ぎだろ!?」
「おい!だからお前はいつも馴れ馴れし過ぎなんだよ!すいません。ほんと。」
ゴンッ!
「いて!殴る事ないじゃねーか!」
やれやれ…
ファムが選別にくれた装備だがそんなに珍しいんだろうか?『分析』
装備品、アイテムの詳細を見れるスキルはいくつかあるが、『分析』は魔力の流れや魔法による空気汚染状態、魔獣の特性などを調べる便利な魔法だ。
『鑑定』『調査』を合わせて三大探検スキルと呼ばれている。
『装備品』
・トネリコの木刀/希少
・黒狼のコート/伝説級
・黒蜥蜴革の胸当て/希少
・麻のシャツ/普通
・麻のパンツ/普通
・黒蜥蜴革のブーツ/希少
「ファムの奴…」
森に居る少女の気遣いが嬉しかった。
「あ、あのー」
「ん?どうした?」
礼儀正しい方が話しかけてきた。
「そろそろ着くみたいなんで、よかったら1杯奢らせて下さい。」
「別に奢られるような事してないけどな?」
「それとも俺に何か頼みでもあるのか?」
「じ、実は…」
あるのかよ!と心の中でツッコミをいれる。
「俺たち冒険者ギルドに登録しに行くんですけど、初回登録は絡まれるのが定番らしくて…」
「…で、そこに着いてきて仲間の振りなり、絡んで来たのを追い払えばいいのか?」
「!?」
図星かよ…
「まあ、いいや。この馬車で知り合ったのも何かの縁だ。ギルドまでは付き合ってやるよ。」
「いいんですか?!」
「俺もギルドに用事あるからな。ついでだ、ついで。」
「ありがとうございます!」
この時はこの頼みが後に騒動の火種なるとは思いもしなかった…
「お客さん方そろそろ着くよー」
行者から声がかかり外を見ると視線の先に
レムリア王国最初の、そして最果ての町『ポロコ』が見えてきた。
「意外としっかりした造りの町だな…」
「国境線近くの町は割と防護壁ちゃんとありますからね。」
「へえ。そういうもんか。」
この世界に来てから初めての町だし、なるべく騒ぎは遠慮したいな…
町の入口前で降ろされた俺たちは簡易的な手続きを終わらせ冒険者ギルドに向かった。




