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33話 番外編 技師と令嬢、逢引譚 ~前編~

話の流れとしては32話の続きとなります。


「ぎゃあぁぁぁお姉ちゃん初デェト!?」


 外出の準備をしているとき、妹から言われた言葉がそれだった。


  ◇


 数時間前、エリア・アルネスは出かけの準備をしていた。

 この日のために用意したおろしたての服を着て、髪を巻きいつもより入念に化粧を施している。ずっと鏡の前に座り、目はぱっちりに仕上げ、頬と唇はピンクに……。普段ならここまで身なりに時間をかけない。今日のお出かけはエリアにとって特別なのだ。



 いつもより早起きをしているのだが、それでも時間は足りない。

 バタバタとせわしなく準備をしていると、ラーナが起きてきた。寝癖がついた金髪をふわんふわん揺らし、まだ眠そうに目を(こす)っている。少しお寝坊をした妹は、姉の着飾った姿を見るや嬉しそうに絶叫し、そわそわしながら予定を聞いてくる。


 それから身内の容赦ない冷やかし攻撃を浴びたが、今のエリアに言い返せるほどの心の余裕が無い。何せ緊張と楽しみで心臓は痛いくらい高鳴っているのだ。


 彼が3番街に越してきて見知ってから5年、その歳月は恋を自覚し人知れず想いを募らせるのには十分な期間であった。


 すると、すっかり目が覚めたラーナは、お節介にもあるものを準備しエリアに持たせた。

 渋るエリアを、荷物は増えるが女子力アピールするならこのくらい必要だと諭しながら。

 不要だと言うものの、せっかく用意してくれたので無下にも出来ず、仕方なくそれを手に持ち、自分の鞄にはラッピングされた小さな箱を入れる。


 花の意匠のサンダルを履き、いよいよ外へ出ようとドアノブへ手をかけた時。


いい報告(おみやげ)、待ってるよー!」


 こちらへ手を振り、吉報を待つと言う妹。

 エリアは、最後までお節介なラーナに見送られながら家を出た。


  ◇


 そしてエリアは今、密かに想いを寄せている人に手を引かれて走っている。

 前方には黒髪が揺れ、首にぶら下がっているゴーグルが体の動きに合わせはね動き、何の変哲もないジャージを着た1人の青年。


 テラバス・ステイレン。同じ3番街に住む、アンドロイド修理技師の青年である。


 出来るだけ彼の速度に合わせて走るようにしていたが、男女の体力の差なのか、エリアに限界が訪れてしまう。

 疲労が溜まり足がもつれはじめ、とうとう自分の足に引っ掛けてしまった。


「きゃっ……」

「……っと!」


 前へ(かし)いでいく体。

 後ろで聞こえた小さな悲鳴に気付いたテラバスが、転びそうになったエリアの体を咄嗟(とっさ)に抱き止めた。

 脇目も振らずに走っていたので、寄りかかりながら肩を上下させ呼吸を繰り返す彼女を見たテラバスは、相当無理をさせていたのだとようやく気付いた。


「すまないエリア。つい……」


 命の危険を感じたので……と、陳謝するテラバス。

 華奢な肩を支えながら落ち着くのを待っていると、少しは収まったのかエリアが顔をあげた。


「えぇ、だいじょう……、……!」


 黒い瞳と、合ってしまう。

 はからずも胸に飛び込む形になってしまったエリアは、さっきとは違う悲鳴をあげながらテラバスから離れた。

 やや突き飛ばすように離れてしまったので、気まずい距離と時間が少しだけ流れる。


「ご、ごめんなさい……」


 エリアは顔の熱さを感じながら、それを隠すように(うつむ)く。ふと、寄りかかった際に感じた腕の筋肉や胸の逞しさを思い出してしまい、嬉しさやら恥ずかしさやらで爆発しそうになってしまった。


「いや……。あいつらは追ってこないようだし、ここからはゆっくり行こう」


 自分の隣で、悶々と妄想をするエリアを知らないテラバスは、スライプ達の追走が無いことを確認し、改めて2人で並んで歩み行く。


 2人が向かっている方向は、隣町……4番街へ至る方角である。

 3番街にデートスポットが無いわけではないのだが、少し遠い4番街へのお出かけは、テラバスの提案であった。


 その理由はエリア。


 この3番街で、有名人かつ人気者であるエリアと2人で出歩くなど、平たく言えば自殺行為である。

 エリアを自分の娘の(ごと)く見守り大切にしている3番街男衆にしたら、テラバスはまさに「どこの馬の骨~」状態なのだ。そんなところを並んで歩けば、何をされるか分かったものではない。

 よって、少しでも知り合いがいない他地方を選んだのだ。


「悪いな、遠いとこ選んじまって。近場で行ければよかったんだが……」


 トラブルの種は幼馴染だけで十分だ、と不必要な争いを避けたテラバス。彼の事情を理解しているエリアは、申し訳なさそうに苦笑しているテラバスへふんわり微笑んだ。


「大丈夫。遠出もきっと楽しいよ」


 本音を言えば、エリアはテラバスと一緒に行けるなら3番街でも4番街でも、どこでもよかった。

 ラーナに後押しをされ、勇気を出してこちらから一緒に遊びに行こうとお誘いをしたのだが、彼は驚くほどあっさりと、二つ返事で了承してくれた。

 当時は飛び上がりそうになるほど嬉しかったが、それからの日々は忙しかった。

 妹1人に店番を任せるのは防犯上不安だったので、その日を臨時休業とするために仕事をこなした。急ぎの仕事を終わらせ、後は妹に任せられるよう簡単なものを残してきたのだ。


 その頑張りがこのような形で報われているのだ。お節介だが協力してくれた妹には感謝しなくては、とエリアは思った。



 さて、ここから4番街までは徒歩で1時間ほどであるが、女の子を連れて歩いていいものかと、青年は歩きながら悩んでいた。


 もう少し歩けば、4番街方面に行く乗り合い馬車のある大きな道に出る。

 乗っていけば時間短縮かつ楽に移動が出来る。しかし、同乗者がいれば当然2人での外出がバレる。事実はあっという間に広まり、男達の手によって吊し上げにされるのは目に見えていた。


 一か八か、乗り場まで行ってみるか━━━━


 そう覚悟を決めたテラバスは、馬車移動をエリアに提案をする。

 すると、エリアは手と顔を横に振った。


「私、馬車は酔うから苦手で……」


 エリアの遠慮がちな言葉に、テラバスは少し首を(ひね)った。

 ラーナからの情報だとエリアは馬車移動が好きらしく、仕上げた商品の納品のためによく利用しているらしいのだが……。


 おそらく関係(外出)の事実を出来るだけ伏せようとする彼の気持ちを汲み、嘘をついたのだろう。少しでも周囲にバレる原因を排除するために、気を使ってくれたのだとテラバスは思った。


 よく出来たお嬢さんに心の中で感謝しながら、エリアの嘘に甘えさせてもらう。


「そっか。んじゃ歩きにするか」


 彼女から、頷きという了承を得る。

 それからエリアのペースに合わせ、知り合いに会わない事を祈りながら目的の4番街へ歩みを進めた。


  ◇


 1時間後、2人は人と馬車が行き交う広場に辿り着いた。広場には食べ物を売る露店がいくつかあり、暑いときには子供が遊べそうな小さな噴水もある。休憩用のベンチも噴水の周りに点在していて、みんな思い思いに時を過ごしていた。



 旅路は奇跡的なほど順調で、大きなトラブルもなく4番街へ辿り着く事が出来た。

 場所は変わったが所詮は地方。繁栄面でいえば3番街とどっこいどっこいなのだが、知り合いに会う確率が低いという点ではこちらの方が勝っているので、テラバスはようやく肩の力を抜くことが出来た。


 安心したらどっと疲労が込み上げてくる。よく考えたら、ここまで飲まず食わずで来てしまったので、疲れるのも無理はなかった。

 それはエリアも同じのようで、可愛らしい顔に疲労の色が見えていた。


「疲れたよな。オレ何か飲み物買ってくるから、エリアは待っててくれ」


 そう言うと、テラバスはエリアをその場に残し立ち去った。離れていく背中を見送りながら、エリアは体を休めようと、空いていたベンチへ腰かける。

 そのまま待つこと数分後……ぬっ、と自分の前に影が伸びてきた。テラバスが買い物から帰ってきたのだと顔を上げ、笑顔で迎える。


「おかえ━━━━」


 その後、最後の1音が発せられる事は無く……エリアは翡翠色の瞳を驚きと恐怖で見開いた。

 目の前に、壁のように立ち塞がる人影。

 それはテラバスではなく、いかつい強面の、2人組の男だった。




 エリアの好みを聞かなかったのは失敗だった、とテラバスは適当に買った2人分の飲み物を持ち、彼女のもとへ向かう。

 遠くからでも分かりやすい、エリアの可憐な姿……の隣にいる人影に、顔をしかめた。


「ありゃ……」


 エリアが絡まれている。2人組の……例えるなら熊とゴリラのような大男。


 ナンパなのは間違いない。

 さすがエリア、ここでもモテモテである。と、歩きながらのんきに思っていると、男の1人がエリアの腕を掴み強引に引っ張っているのが見えた。

 エリアは明らかに嫌がり振りほどこうとしているが、綺麗な細腕では何の抵抗にもなっていないようだった。


 ただのナンパならかわいいものだが、あそこまでいくと暴漢である。それに、本当にどこか連れて行かれそうな雰囲気だったので、テラバスは急いで彼女を怖がらせるモノの排除へ向かった。


 弱点とかが分かればいいのだが……。

 まぁ、そんなものは、視ればいい(・・・・・)



「こら。お前ら、オレの連れに何をしている。」


 テラバスは間に割り込むように入り、自分よりも頭1つ分大きい相手を睨み付ける。


「あぁん?」


 日焼けをした、筋骨隆々な男2人は、ナンパの邪魔をされたので不機嫌そうに(うな)った。

 見た目通りの声の凄みでテラバスを威嚇した。


 しかし、テラバスは特に(ひる)む事は無く、平然と相手を見据える。

 こちとら(非戦闘員とはいえ)戦争を経験した元軍人なのだ。荒事は慣れているし、幼馴染(スライプ)という最高に恐ろしい奴も知っている。

 ……逆を言えば、元軍人のくせに戦闘経験はほとんど無いダメ男なのだが。


「あンだチビ。引っ込んでろ」


 強烈な眼光で睨んだが、恐れるような雰囲気を見せないテラバスに、少し調子を崩されたのか暴漢達はしっしっ、と小虫を追い払うような動作をした。


 ちなみにテラバスの身長は178センチ。まぁ、熊とゴリラから見れば小さく見えるのだろう。


「そうはいくか。怖がってんだ、さっさといなくなれ」


 ここで引けばエリアが誘拐されてしまうので、男として負ける訳にはいかない。

 それでもなお、エリアを掴む手を離そうとしない熊とゴリラのしつこさに、テラバスはキレた。


「いなくなれと━━━━」


 言っているだろうが━━━━!!


 テラバスはぐわり、と(まなじり)を上げる。自分でも今までやったことがないほど鋭く相手を睨み付けた。


「ヒッ……!」


 テラバスの目を見た瞬間、暴漢はひきつったような小さな(うめ)きを残した。


 睨むといっても威圧や覇気がなく、あまり効果が無いような視線なのだが、暴漢2人は何か信じられないものを見ているように目を見開き、(おのの)いていた。


 そのまま対峙すること数秒、テラバスは黙って厳しい視線を向け続けた。やがて、その目に恐れをなした暴漢達は顔をひきつらせたまま、その場から走り逃げた。


 睨み合いはテラバスが制し、無事エリアを守る事に成功したのだ。


 走り去る熊とゴリラの背中を睨み顔のまま見送り、完全に視界からいなくなった事を確認すると、テラバスは顔を歪ませ両手で目を覆った。まるで苦痛に耐えるように眉間に皺を寄せ、まばたきを繰り返しながら、エリアの方へ振り返る。


「遅れて悪かったな。怖かっただろ?」


 あまり知らない土地で怖い男に絡まれて……と、エリアの心配をしながら、手に持っていた飲み物の1つを渡した。


「ううん、ありがとう。助けてくれて」


 エリアは気丈に微笑んでいるが、恐怖はまだ消えていないのか小刻みに震えているし、腕には掴まれた後が赤く残っている。エリアはテラバスを心配させないように、気を使っているのだ。


 エリアの健気な気丈さに少し感心しているとぐぅ、とテラバスの腹が鳴った。

 空気を読まない自分の腹をさすり、テラバスは恥ずかしいのか少し顔をそらした。


「……もう昼か。腹減ったな。どこかで飯食うか」

「あ、私お弁当持ってきたんだ」


 エリアは、持っていた手提げを見せる。

 ちょうどよく昼時、ちょうどよくベンチがあるので、ここでエリアが持参した昼食を広げる事にした。


  ◇


 手提げにはお弁当が2つ入っていて、エリアは1つをテラバスに手渡した。

 テラバスはお礼を言いながら受け取ると、青布の包みを解き、弁当のふたを開けた。中身は卵焼きやミニトマトなど、定番なおかずが綺麗に並べられている。


 食欲をそそる見事な彩飾の弁当に、テラバスは感嘆の声を漏らした。


「凄いな。それじゃ、いただきます」


 礼儀正しく手を合わせてから、テラバスは箸で卵焼きをつまみ口へ入れた。もぐもぐ咀嚼していき、やがてその美味しさに目を見開いた。


「うん! さすがラーナ(・・・・・・)! 料理上手だな!」


 その瞬間、エリアは顔をあげ口元を手で覆った。みるみるうちに顔が赤くなっていく。


「分かるの……?」

「当たり前だろ? お前、料理だけはからっきしダメだもんなぁ……」


 顔半分を隠し恥ずかしがるエリアに対し、テラバスは朗らかに笑っている。

 エリアは掃除、洗濯、お裁縫、エトセトラ……どこへ出しても恥ずかしくない出来たお嬢さんなのだが、料理だけはどうしても出来ない女性なのだ。代わりにラーナが料理上手なので、料理は主にラーナが担当しているらしい。

 今回も例に漏れず、ラーナが作り無理矢理持たせたものであった。


 すぐに自分手製ではないと看破されたので、恥ずかしさと不甲斐なさで顔を赤くするエリア。


 その愛らしい横顔を見ながら、テラバスはラーナの作った弁当を堪能していた。


  ◇


 それから、2人で色んな店を回った。

 綺麗な銀細工を眺めたり、露店で売られていた棒つき飴を買い食いしたり、ギターの路上演奏を聞いたりと、それなりに充実した時間を過ごした。


 そして、日が落ちはじめ太陽の色が変わりはじめる頃。

 テラバスは不自然に俯いているエリアが気になった。はじめの頃はよく笑い楽しそうにしていたのに、時がたつにつれだんだん言葉数と笑顔が減り、(うつむ)いている事が多くなっていたのだ。


「どうしたエリア。元気が無いな」


 もしかして、楽しくなかったのだろうかと心配したが、この問いかけにエリアは首を横に振ったので、そうでは無いのだと少し安心した。


「ううん、違うの。…………緊張しちゃって……。あ、のねテラバス!」


 エリアは思いきったように勢いよく顔をあげ、鞄から小さな箱を取り出した。

 手の平サイズの、リボンが巻かれた小箱。


「これを貴方に、渡したくて……!」


 彼女の手にちょこんと乗っている小箱を見たテラバスは、ゆっくり受け取る。


「ん、ありがとう。……開けてもいい?」


 穏やかに微笑みながら、エリアに問う。

 小さく、数回頷いたのでリボンをほどき、ふたを開けた。


 中身は黒く塗装されたネックレスだった。

 小さな長方形のプレートに十字架が彫られ、何なら文字が不自然に途切れている。

 おそらく、これとは別のプレートを合わせると意味ある文字や形が出来るという、ペアネックレスだろう。


 黒い金属が、夕日を浴びオレンジ色に反射している。


「あのっ! それは3番街の第2十字路の角にある細工屋さんで買ったものでっ……」


 エリアがこれを用意したのは理由があった。

 

 まず、一方がペアネックレスの片方を購入し、買った店名と共にプレゼントする。後日、渡した相手が同じ店でこれと対となるものを買ってプレゼントしたなら、めでたく告白は成功となる。


 直接口にするのは恥ずかしいと、このように物に想いを託し相手へ届ける方法が、若者の間でひそかに流行っているのだ。


 つまり、これはエリアからテラバスへの愛の告白なのだ。


 予想もしなかったエリアからのプレゼントに、少々面食らってしまったが、嬉しいものなので彼女の顔を見つめながら微笑んだ。


「ありがとう。大切にするよ」


 小箱を持ちながら、優しく笑うテラバス。

 テラバスが、この流行りを知っているかどうかは定かでは無いが、エリアは渡せた事と、彼の笑顔を見れただけで胸がいっぱいだった。


  ◇


 本当は馬車が好きなのに、苦手だと優しい嘘をついてくれたエリアのために、帰りも1時間かけて3番街へ辿り着く。

 日が落ちてしまったので、夜道は女性1人では危ないとエリアを自宅である衣料店まで送り届けると、自身も自宅へ向かった。


 家には電気がついている。カルスがいるから当然といえば当然なのだが、テラバスは嫌な予感……胸騒ぎがしていた。玄関を開けると予想的中、そいつが待っていた。


「待っていたぞ。さぁ(そこ)におすわりだ」


 薄ら笑いをしている水色髪の青年。

 何故かスライプが、床を指差しながら作業台の傍らの椅子に座りふんぞり返っていた。さながら、勇者の到着を待ちわびた魔王のようである。


「お前……いつ来たんだ。まさかずっといたとは言わないよな?」

「大丈夫だ。今来たばっかだから」


 幼馴染の顔を見て、何だか急に現実に引き戻されたような感覚に襲われたテラバスはガックリ肩を落とした。

 しかし、スライプの様子を見ると朝の出来事は頭から抜けているようだったので、その点は少し安心をする。


「いや、何でいるんだよ。帰れ帰れ」

「えー何でだよう。ガールズトークしようぜ! ……いや、ワイフトークか……」

「お前、ガールズトークの意味分かってないだろ……」


 せっかくの幼馴染の浮いた話。エリアとのデートの話を聞こうとわくわくしながら待っていたのに、ぞんざいに扱われ不満を露にするスライプ。ふと、彼の手に包まれている小箱に目がついた。


「おや、これはナンダイ?」


 じりじり近付きテラバスの手から小箱を奪うとふたを開ける。黒塗りのネックレスが電気の光に反射し、よく見るとプレートの表面に刻まれている文字が不自然に途切れているので、別のプレートと合わせるペアネックレスだとすぐ気付いた。


「ほお、これはまたテラバスがつけなさそうな……」

「エリアからもらったんだよ。なんか十字路の細工屋で買ったんだと。……なんでそんな事わざわざ言うのだろうな」


 やはり、エリアが託した意味を知らなかったテラバスだったが、これまでの情報により勘づいたスライプが大声を出した。


「テラバス……っ! それって……!」


 そのままスライプの口から語られる、密かな流行りの告白法。


 ここでようやく、エリアのプレゼントの意味を理解したテラバスは黒瞳を大きく見開いた。







 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 さて、エリアの密かな告白を受けたテラバスがどう答えるのか、その時はまだ先となるのであった。


後編に続きます。

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