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冒険者ギルド

 「バカじゃない・・・バカじゃない・・・大丈夫、チョット疲れてるだけ。」


カール少年は自分に言い聞かせながら冒険者ギルドまでの道を歩いた。

途中何度か聞き間違いをして明らかに怪しげな店に連れ込まれそうにもなったが、昼過ぎには冒険者ギルドにたどり着いた。


着いて見ればなんの事はない、先程ケンカして伸された場所の目の前の建物が冒険者ギルドだった。


カール少年はチョットだけ泣いた。

でも大丈夫カール少年は強い子だから。


ドアをノックして、両開きのドアを開けると、中はがらんとしていて受付では何人かの職員が話し込んでいた。


「あのすいません、」


失礼にならない様なるべく静かに話しかけたがどうやら聞こえなかったらしく誰もこちらを見向きもしなかった。

カールもこれから世話になるかも知れない場所で暴れる程短気ではない。

今度はさっきよりも大きな声で話し掛けて見た。


「あの〜すいません、コチラは冒険者ギルドでしょうか?」


しかし誰も見向きもしなかった。


「ふ〜」


カールは1つため息を吐くとおもむろに壁に掛かっているバトルアックスを取り外すと部屋の柱めがけ叩きつけた。


"ガコーン ガコーン"


驚いた受付の連中が慌てて止めに入った。


「オイッ何やってんだ!」


「バカ止めろ!」


「こいつを押さえつけろ!」


受付が騒いでる中、カール少年は黙々と柱を伐り続けた。


「待って、待ってくれ!」


「悪かった、無視して済まなかった!」


「昼休みには依頼の受けない事になって、本当止めて!」


-5分後-


職員達の必死の説得によりカール少年は、斧を下ろした。


「本当に済みませんでした。それでご用件は?」


「分かって下されば良いんです。俺じゃなくて私は冒険者になりたいのですが?」


「ハ~、それが人に物を頼む態度かよ。」


「ア〜ン?なんか言ったかコラッ!」


「イエナニモ・・・それではこちらの書面に記入をお願いします。」


え〜とナニナニ氏名に年齢それから得意な武器ないし魔法の有無と・・・


「これで良いですか?」


「失礼、名前はカール、年齢は13才得意な武器は接近戦全般で魔法は分からないと・・・う〜ん失礼ながらカールさんはギルドへの加入は出来ません。」


「・・・イジメかイジメは駄目でしょ。」


カール少年はそう言うと手にした斧を・・・


「止めて~!」


「イジメとかじゃないんです。」


「冒険者ギルドは加入年齢は15才からなんです。」


受付にいた職員達が慌てて説明をした。


「15才です。」


「「「・・・ハア?」」」


「15才です。書き間違えました。」


「そっそうですか、カールさん15才得意な武器は接近戦全般、魔法は不明と、ではギルドの会員証をお作りします。コチラのカードに血を垂らして下さい。ハイッ結構です。依頼を受ける時や達成後に提出して下さい。」


「ふむ、これで俺は冒険者になった訳だ。」


「ハイ、カールさんは10級冒険者になりました。」


「10級?ナニソレ?」


「ゴクッ冒険者は10級から始まって9、8、7、6、5、4、3、2、1、そして特級まであります。」


「つまり俺は一番下っぱと・・・」


「そっそうなります。やっ止めて壊さないで!」


「別に壊しませんよ。それでどうやったら級はあがるの?」


「それは・・・」


「それはワシから説明しよう。騒々しいのぉマッタク昼寝も出来んわい。」


そう言うと奥の部屋からガタイの良い爺さんが現れた。


「え〜とどちら様ですか?」


「ワシはここのギルマスをしとるゴーモンと言うものじゃ。」

「コー」


「ゴーモンじゃ、間違えるなよゴーモンだ!」


「オッケーアナル話を進めて。」


「クソガキが〜級を上げる方法じゃな、そんなもん依頼を受けて解決する、その繰り返しで上がる。ただし受けれるクエストにはランクがある、10級が受けれるのは1つ上のクエストまでじゃ、分かったか?分かったらさっさと去れ!」


そう言い残すとギルマスはさっさと奥の部屋に入って行った。


「所で10級のクエストってどんなのが在るの?」


カールは残った職員に尋ねた。


「そうですね基本的には街の雑用がメインですが一応狩りのクエスト何かもあります。詳しくはあちらに貼ってあるクエスト用紙をご覧下さい。」


「そう、どうもありがコーモン。」


"バンッ!"


「コーモンじゃねぇゴーモンだっ!ぶち殺すぞ、クソガキャ〜」


奥の部屋で聞き耳を経てていたギルマスが部屋から飛び出して来た。


「ギルマス落ち着いて下さい!」


「駄目だギルマスが完全にキレてる。」


「取り押さえろ!」


「他の職員も呼んでこい!」


「ギルマスの発作だ!」


"殺〜さ〜せ〜ろ〜!"


可哀想に、聞き耳を立てていたギルマスは錯乱し職員に縛りあげられていった。

あのギルマス余程疲れてたと見える、カールは壊れた老人を憐れみをもって10秒程見詰めたが飽きたのでクエスト用紙を見に行く事にした。


ふむ、さすがに10級どれもつまらない上に安い。

基本肉体労働の日雇い仕事ばっかりだ。

おっこれは何だ?フリークエスト討伐依頼・・・ふむ


カール少年は徐にクエスト用紙を剥がし受付に持って行った。


「ねぇねぇ、このフリークエストとは何?」


「縛れ!」


「猿轡を忘れるな」


残念ながら暴れるギルマスと必死で取り押さえてる職員の声でカールの声は完全に書き消されていた。


「仕様がない」


カールは鞘ごと剣を取って思いっ切りギルマスを殴りつけた。


"ゴンッ! ドサッ!"


「「「ハァ?」」」


呆然とする職員達にカールは一言、「峰打ちでござる」と言いきった。


「所でこのフリークエストとは何ですか?」


カールは何事もなかったかの様に話始めた。


「ハァえっええとフリークエストって言うのは常時受付られているクエストです。」


「うむ、了解した、それでは失礼します、お大事に。」


そう言うとカールは呆然とする皆に頭を下げて出て行った。


「オイッ!誰でもいいからあのガキをブラックリストに載せとけ。後この簀巻きの状態から解放せい。」


ぶん殴られて目が覚めたのかギルマスが冷静に指示を出した。


カール少年、自称15才、クエストをする前からブラックリストに乗った者として一部の人間には知られた存在になった。



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