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朝が辛いあなたに、井浦缶EX!(それとコウキくん)

 おはようございz....z......Z........Z...........

 昨日は疲れっ.......た............zZZZ....


 まだ朝はたっぷりあるからあと五分........いや十分寝かせて....


『わんちゃん♪ ちゃんちゃん♪ ねこちゃん♪ ちゃんちゃん♪ うさちゃん♪ ちゃんちゃん♪』



 だがそんな俺のおちゃめ機能は電話の着信音によって遮られた。


 俺はしぶしぶとスマホを取る。



「あいもしもーし?」


 ハッ! しまった。電源を切るつもりで取ったのに着信音が可愛かったからつい受信してしまった。



『何だその眠そうな声は.....』



 このハードボイルドな声は.....警視庁特殊能力課総長の瀬田さんの声だ。



「俺は昨日大変だったんらよ。瀬田さんこそ朝から何の用?」



『昨晩、熊谷商業の貿易用倉庫が謎の爆発音と共に崩れたとの情報が耳に入ったのだが........やはりお前の仕業か』



 やっべ。そこまで話が届いたのか。


「駄目だった? 良くね? あいつら麻薬とか売買しようとしてたよ?」


『確かにその疑いはあったらしいがな....お前は自重しろ』


「自重してるよ? それより爆発に巻き込まれた奴らはどうなってる?」


『ああ、全員無事だったらしい。だがな、話を聞こうとしてもただ震えているだけらしいぞ? 奴らにどんな恐怖を植え付けた?』



 ハッハッハッ。恐怖なんて植え付けて無いっすよ。



「俺は奴らに幻覚缶と幻聴缶を使っただけですよ?」


 俺は学校へ行く仕度をするために寝室を出ながら言う。



『........何を見せて何を聴かせたんだ?』



 ハッハッハッ。何を見たんでしょうね。



「きっと終焉でも見て、終焉でも聴いたんじゃないですか?」


『終焉って何だよ.......まあいい。この件もメディアには謎の現象って事にしておいてやったぞ? お前と戦争はしたく無いしな。』


「そりゃどうも、苦労をかけてすまんな、瀬田さん」


『そう思うならあんまり暴れ過ぎるなよ。....まぁ要件はこれくらいだ。じゃあな缶屋。』



 そう聞こえた後、電話は切れた。



 警察の方々も大変ですねぇ。


 俺はそう思いながら学校へ行く仕度をして家を出る。



「遅い!何分待ったと思ってるの?」


「ハハハ....」


 俺が家を出ると、今にも攻撃してきそうなグラ子と、視界の端で苦笑いしているコウキの姿が目に入った。



「んな事は知らない。コウキなんか毎日待っていてくれるんだぞ?」


「笑ってないでコウキも何か言ってやりなさい」


「今日は遅かったね」


 コウキくんの爽やか笑顔炸裂。イケメンは何を言ってもイケメンだ。


「ごめんよ」


「ああ、でも僕は待ちたくて待っているんだからそんなこと言われても困るね」


 なにぃっ、イケメン度がどんどん上がっているだと? まさか、これは主人公補正!? 奴が主人公なのか!?

 そして井浦はそんな主人公に家の前で待っていて貰っている。井浦には....間違い無い! これはヒロインの資質!!これはきっと、ヒロイン補正だ!!!



「そういう事を言えって言ったんじゃない!」



 グラ子が言う。


 グラ子は井浦とコウキの仲に納得出来ていないようです。まさか、グラ子ちゃんもコウキの事を....。でも井浦、負けない! だって井浦は、立派なヒロインに、ならねーよ。



「行こうぜコウキ」


「そうだね」


 俺達はグラ子なんて知らなかった事にして、通学路を歩き始める。



「待ちなさいよっ!」


 だがグラ子は走って来て俺の両肩を逃げられないようにがっしり掴み、「よっ!」の所で一瞬だけ重力をかけてきた。



「どうしたグラ子? パイン缶が欲しいのか?」


「違う! 昨日の爆発事件の事よ!」



 なんだその事か。



「ああ、僕も知ってる。朝のニュースでやっていたよ」



 ニュースでやってたのかよ。そりゃそうか。派手に崩れてたし。



「その事ならさっき瀬田さんと電話で話したぞ?」


「やっぱ、あんたのせいだったのね?」


「違うよ?イウラジャナイヨ?」


 なんとなく否定したくなったので否定を試みた井浦氏。



「あんた以外に誰があんな事出来るのよ!」



 否定しても俺がやったと決めつけられてしまった井浦氏。重力が少し増加している気がする。



「別に良いだろ? グラ子が損をする訳じゃあないし」


 そう言ってグラ子を静めようとしたが、グラ子はまだ文句があるようだ。よく喋る娘だなまったく。



「良くない。あんたはやり方が大袈裟なの!他にもやり方があるでしょ?」


「ないわよ!」


「無いのかよ!」



 グラ子の口調を聞いていたら、なんかオネエ口調で否定してしまった。やっぱり井浦にはヒロインの資質が(以下省略。



「まぁまぁ、落ち着いてよ」


 コウキがグラ子に言う。コウキくんにはきっとリラックス効果があるね。医者が処方箋にコウキくんって書いちゃうレベル。



「そうね。それで?ゆかりには何て言うの?」



 やばいグラ子が落ち着いたらなんかまた重力上がった気がする。よく歩いてる俺にピンポイントで使えるよな。



「ん?何? ユカリヨさん?」



 そういえばグラ子もコウキもユカリヨさんが拉致られた事とそれを特攻井浦缶が救助した事を知らないのか。



「うーん、まぁ、昨日は疲れたと報告して、あとは報酬の請求か」



 俺はそう言いながら歩いていると、俺達の視線の先に、待っているユカリヨさんの姿が映る。



「噂をすれば、って奴だね」


「そうだな」


 ただ、ここで....というかグラ子がいる場で報酬を請求すると、報酬の八割が重力攻撃になる。


 さて、どうしようか。


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