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考えるのは苦手なのさ!(考えた結果)

「ううむ........」


 井浦は唸る。


「なーん........」


 井浦は考える。


「わからんな」


 そう、わからない。


 森に戻ってきたので、ゆっくり勇者(ホクロ)の能力について考えているのだが、分からんのだよ。

 何せアイツ、おまけが強いの何の。


 それと会話している時に、少し違和感をモワァーと感じたのだが、それもイマイチ分からない。

 カズマさんが奴の能力を知ってれば楽なのだろうが、そもそもカズマさんが見つからないのでどうしようもない。


 フシと一緒に考えようかとも思ったが、フシはダメだ。あの鳥は........うん。全体的にダメだわ。



 そもそも能力を当てろってなんだ。

 そんなん分っからぬんぬん。


 たぶん奴の能力の正体を知る事でその能力を超える事ができるのだろう。それは手掛かりだ。

 だが、やはりそこから先が分からない。


 .....自分の事を知られないor気付かれない能力とか?

 いや、それで人生がつまらない事は無いだろう。........いや、見方によってはつまらないか?


 でもピンと来ないなぁ。



 まぁ、日没までならまだ時間はある。ゆっくり考えよう。

 ちょっと歪んでいる別どこ缶(ドラム缶サイズのまま)を横に倒して座る。


 そして、輪切りレモンの蜂蜜漬けを缶で出して、手で摘んで食べる。

 レモンの酸味と蜂蜜の甘さが絶妙にマッチしてて美味しい。いやぁ、久々に食べたが、やはり疲れた時はこれがいい。



 それはそうと、さてさて、本当にどうしたものかね。

 地味に手詰まりなんだよな。思いつく手掛かりが少なすぎて。


 かと言ってもう一回勇者(ホクロ)の所に行ったとしても、あのおまけにやられる。次は別どこ缶は使わせてもらえないだろうし。


 もう少し能力の目処が立ったら行こう。




 とりあえず、泉のほとりまで行く。

 ホネタロウ出てくるかな。



 そう思ってカルシウムの金属粒が入った缶を出した。


 これを泉に入れればホネタロウはきっと来るだろう。


 ........いや、まてよ?


 カルシウムって水の中に入れると急激に水素が出て爆発するんだっけ?


 それはアルカリ金属の類の奴か。


 ......ん? カルシウムってアルカリ金属? ど忘れした。


 もういいや、泉に投げ込んで確かめよう。

 これやってみたかったんだよね。現実でやると環境破壊で警察沙汰になるから出来なかったんだよね。


 爆発したらアルカリで、しなかったらそれ以外。

 本当にやる?怖いな。やっぱりやめとこう。



「と見せかけてドヴゥゥーーーン!!!」


 そう叫んで泉に思い切り投げ込んで、UターンBダッシュを繰り出した。



 泉の方を見る。

 

 ..........



 爆 発 な ん て 無 か っ た 。



「っっくそう!つまんねぇよ!その上、この井浦今までで二番目くらいにダセぇよ!」


 ちなみに一番ダサいと思ってるのは四次元空缶で登校した日の木刀事件。



「なんだよ!期待させんなよ! そういや水に入れてよく爆発するのはナトリウムだったよ!」


 こうんちくしょう、と言いながらナトリウムの塊を出し、泉に投げ込んだ。

 爆発はなんとしてでも見る。


 そして、ナトリウムがポチャンと入った瞬間にホネタロウが出てきた。



「あなたが落としたのはこの純度の高いカルシウムの粒たちですか?貰っていいですか?」


 やばくね?


「ナトリウムの塊だ!ホネタロウ逃げろ爆発するぞ!」


「ありがとうございます!」


「なんでだはよ逃げろ水と反応しきる前に!」


 それを言い切った直後、ホネタロウの後方が音を立てながら炎を上げ、火山弾のように燃えるナトリウムの破片が飛び散った。



「ホネタロオォォォォ!」


 ホネタロウは爆発による水飛沫(しぶき)の中に呑まれる。


 だが、その中で仁王立ちをする男を井浦は見た。



「なめないで下さい井浦さんーーー」


 ホネタロウ、おっ、お前ッ........!


「ーー僕はこの世界で、カルシウムさえあれば無駄に強化される体を手に入れたんですよ」


 ホネタロウは左手で髪をかき上げ、右手は金剛力士像のように前に出しながら言った。背景に『バアァァン!』って文字が見える。



「むっ、無駄にかっけぇ.....!」


 ホネタロウ、こいつ相当なカルシウマーだ!

 体が強化されるのはおまけの効果か。

 


「それもカルシウムの恩恵です」


 すげぇなカルシウム。特にその女神っぽい服からチラチラ見えるすね毛が魅力的だ。


「井浦さんもカルシウムいります?」


「いらんわ」


「そうですか」


 ホネタロウと話すといつもカルシウム。

 


「それより、ホネタロウはこの世界で知ってる人に会ったりしたか?」


「ああ、会いましたよ。学年一位の電気使える人でしたね。陸上にいました」


 学年一位の電気使える人といえば彼しかいない。


「それコウキくんだよな!? 陸上のどこだ?」


「ここから川を下った所で、三本の長い鎖を電磁力で同時に操ってました。すごいですよね。カルシウム百キロ分くらいすごいです」


 コウキくん修行かな? 電磁力を極めてきてるコウキくんパネェ。


「じゃあそこにいるんだな?」


「いえ、多分いないですね」


「ぬん?」


 コウキくん、君は何処へ。



「あの大きい樹が切れるのを見て、そちらへ向かって行きました」


 樹があった方向か........とすると、城のレーザーで消し飛んだ部分も見に行く可能性がある。


 コウキくん、もしかしたら勇者(ヤツ)とエンカウントするかもしれないな。


爆発(コウキくんでも可)が絡むとテンションが上がる井浦。


それとホネタロウ、あいつは逸材ですね。(監督感)

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