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なんで城ってこんな広いのだろう(哲学)

「トイレの場所を教えてください。割とマジで」


 ぽっかりと空いた天井から城に参上した井浦は、警戒の弾幕の中でトイレに行きたいと言ってやったぜ。

 だってもう現実がどうの幻がこうの言ってる場合じゃないのよ。


 井浦のカラダが貴方(トイレ)を求めて止まらないの!(これがきっと恋)




「........ああ、いいだろう。そこの梯子(はしご)を降りて右へ曲がれ。突き当たりにある」


 目の前に立っている内の一人が言った。


 梯子ってお前、そこに階段っぽいのが........ごめんなさいなんでもないです。それより青空が綺麗ですね。

 


 そういえばこの警備員っぽい人、警戒心丸出しの割には普通に教えてたな。罠か?



「一応聞くが、なんでこんなに素直に教えてくれたんだ?」


「勇者から言われたのだ。『来るかもしれないが、見逃せ』と」


 勇者から?


 言葉だけだと嘘臭いが、言った奴の、瞳孔や、まばたきの回数、頬の筋肉、手の位置など、どれも変化はない。



「分かった、信じよう」


 こう言っても、嘘を信じられた時特有の表情の変化は無い。



 本当に勇者から言われたのか。

 勇者よ、何考えてんだ。



 ....ふぅ、トイレへ行きたいと焦っているからか、ついつい気が尖ってしまった。



「早く行け」


「ありがとうございまス」


「トリはここにいろ」


【悲報(笑)】フシ、不待遇。


 それを横目にトイレへ向かう。

 じゃあな。またいつか呼ぶわ。





[][][][][]





「右へ曲がった突き当たりいいいいーーーーーーーーー(長い)」



 無駄に広く長い廊下を駆け抜け、無事にトイレを見つけた。

 広すぎるって不便だな。


 トイレも無駄に広いし。なんだよここ、どっかの城かよ。城だったよ。


 その広さに圧巻されながら用を足す。

 なんでこんなに広いんだろう。民家でも建てるつもりなのかな。そこの窓の向こうに、荘園っぽいのもあるし。ここで用を足しながら眺めるためだけにあるのだろうか。



 手を洗って、廊下に出る。


 改めて廊下を見るが、廊下には新幹線が開通しそうだ。

 


 そして、横で腕を組んで壁に寄りかかっている人のホクロは、いつか開眼するのだろう。



「ぷっはっはっは!」


 出てくるのが突然すぎて笑っちまったよ。



 どうもどうも、勇者(ホクロ)さんちゃーす。

 まぁーー



「「会いたかったぜ?」」


 声がホクロの奴とシンクロした。


 会いたかったって言われた事は、俺はもう樹を切った人と断定されているのだろう。

 その通りなんだが。


 まぁ、さっさと本題にーー



「あの『缶』を作ったのは、おまえで間違い無いね?」


 俺の思考は、その言葉に遮られた。


 バレちょる。まぁ、言う手間が省けたからいいか。



「白衣の男が『缶を作ったのは、ハイになると破天荒になる若い能力者』と言っていた。その時から確信していたね」


 白衣の男ってのは、カズマさんだろう。

 俺の説明がどうかしてる。だが大概合っているような気がして悔しいので、あとで噛み付いてやろう。



「なるほど、なら話が早い。この幻を解除してくれ」


「嫌だね」


 ああ、やっぱりこうなるか。



「このホクロめ」


「さらっと悪態をつかないで欲しいね!?」


 やーいホクロー。全国の顔にホクロが付いている人たちに謝れー。



「そもそも、缶に何を思ったら関係ない人たちまで巻き込める?」


「求めたんだ。つまらない現実の世界を救ってくれる“ヒーロー”を、全てをつまらなくしてきたオレの能力を超える者を。この幻の中で探そうとしたんだよ」


 へぇ。すごい発想だな。周囲を巻き込まなければ褒めてた。きっと。たぶん。



「じゃあ、それが見つかればこの幻は解除するのか?」



「そうだね。そしてオレは、それがおまえだと思っている」


 え、何て?



「オレの、現実のつまらなくしてきた能力とは何か....どんな能力か........それをこの世界の日没までに一回で言い当てられたらこの幻の世界を解除するね」


 このホクロは何を言っているんだ。



「......それが条件か?」


 能力を言い当てれば現実に戻れると?

 ふぇーー。



「ああ。ヒントはまぁ、.......今までの会話全てにあると思ってくれていいね。あと現実では自分の意思に関係なくほぼずっと発動していた」



 自分の意思に関係なく発動していて、全てをつまらなくする。分かりかねる。


 ってか自分のつまらない人生を能力のせいにしてるだけかもしれないじゃん。

 まぁいいけど。



「戦闘に使う系の能力か?」


「使わなくもないがね........」


 よし、それなら殴り合えば分かり合えるという少年誌的な考えを採用。



「この世界に来た時、何かが無くなる代わりに、現実の能力以外のチカラ....おまけがついてきただろう?」


 おまけか。主人公補正と神獣(ちんじゅう)召喚だな。

 何かが無くなるってのは........ああ、男の証が無くなってたわ。すぐ戻ったけど。



「....もし闘うなら、オレはそのおまけも使わせてもらうからね。それと、一応ここでは勇者だから剣を持つと身体能力が上がる」


 まじかよ。まぁ俺も斧を持てばこう、木がよく切れるし。



「じゃあ、そのおまけの効果は教えてくれ」


 身構えながらホクロに聞いた。



「いいだろう」



 彼は人差し指を立て、その少し上の空中にBB弾程度の大きさの高速回転している玉を出した。



「オレのおまけは、極小の中性子星のようなものを自由に操れる」


 中性子星。聞いた事がある。

 確かその特徴は密度で、スプーン一杯分で五〜十億トンくらいある物質からなる星........


「今はその質量と状態故に出る筈の影響を抑えているが、それでもーーー」



 彼は立てた指を廊下の壁に向けた。そして、その玉はそれに従って壁へ飛んでゆき、見事に穴を開けた。直径一メートルくらいの穴が。

 あれ?壁に行ったのってBB弾程度の大きさの奴だよね?なんでこんなにでかい穴があいたのかな?

 


「この程度の力はある。どうする?闘うか?」


 やばいな。おまけがおまけじゃない。



 だが。


「いいぜ。やってやるよ」



 どんな物質だろうと、BB弾くらいの大きさならば四次元空缶のエサでしかないのだ。


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