表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/64

うろ覚えの洋楽って歌ってるとワケ分からなくなる(関係無いけど)

 どうも、さっきまで調子に乗って金の斧を振り回してた井浦です。今ではもう黒歴史の一つです。

 伐採できるようになったっていうか、普通に金の斧が強いだけなんだよねこれ。どっちにしろ自然破壊もいいところだが。切り倒された木がそこら中にある。

 

 こうして切り倒された木の上に立っていると、ここが幻だということを忘れそうである。現実で生きているのと何ら変わらない感覚だ。


 ただ、切り倒す前は木の葉に隠れて見えなかったが、向こうに雲を突き抜けている超でかい木が一本あるのでここは幻だろう。



 あの超でかい木、世界樹的なやつかね。なんだっけ、あの、エル...なんとかみたいな?まぁ、名前はどうでもいい。


 おら、あの超でかい木、切れるくらいの男になるだ。そんで切れたら、結婚するだ。相手とか決まって無いが、とにかく結婚するだ!


 はぁ。



 ........ぬあぁ暇だ。どうして、こうグダグダになるかね? 仕方ないか。 



 とりあえず、まだフシは来ないようなので切り倒した木でも四次元空缶に収めるか。






[][][][][]





「ぬぁのぁー たなっすぅうぅうううーー♪ たらッぴぃいいいいーーーー♪ ならー ぽぃいぃいぃいいいいーーー♪ とっこんー きーんぴらたらっこぉおおーーー♪」


 うろ覚えの洋楽をそれっぽく歌いながら、切った木を四次元空缶で一本ずつ回収してゆく。


 四次元空缶に入らない大きさの木も、ナタで枝などを切って入れる。それがめんどくさい場合は四次元空缶Lサイズに入れる。


 そんな感じで、数十分かけて木を回収した。いやぁ、いい汗かいたわ。一滴もかいてないけど。


 四次元空缶は四十〜五十個くらい出した。木ひとつ入れるので容量がいっぱいになるからな。途中から出せるようになったLサイズ空缶は標準の大きさなら二本入った。


 いやぁ、だんだんと森の一部が開拓されてるね。だからどうしたって話だね。



 フシはまだ来ない。何してんだあいつ。



 どうしようかな。



 なんとなく個人情報帳の缶生成のレベルを見てみると、いつの間にか六千の大台を突破していた。わぁい、何も変わんないわ。



 夢幻の中(ここ)で出せるようになった缶って、現実でも出せるようになってんのかな。

 まあ、出すイメージとか感覚とか分かるだろうから無駄ではないか。



 この井浦、前から思ってたけどアイツを出せるようになりたいんだ。あの、どこでもいけるアイツを。近未来型青タヌキがよく出すアイツを。四次元云々(うんぬん)と来たんだから、やっぱり次は(以下略。



 缶自体はまだ出来てないが、その缶の名は『別にどこでも缶』みたいな感じでいいんじゃないかと思う。変更アリ。とにかく出そう。


 ................はぁっ!



 出たぜ。色はそれっぽく某どこでも云々とのようなピンクの缶だぜ。

 色以外は、蓋付きで手の平サイズという四次元空缶とほぼ変わらない。だって缶だからね。


 とりあえず開けてみよう。



「べつにどこでも空間接続(コネクト)ッ!」

 

 なんとなく叫びながら開けてみたものの、別どこ缶(略称)の中は暗黒空間のままである。これじゃあマジで四次元空缶と変わらんな。


 失敗だ。


 だがそこで諦めるのは井浦ではない。まだチャレンジするぜよ。



 そんな謎の意地を張っていると、上空にフシが見えた。



 フシが来たならそっち優先だな。別どこ缶はまた後で出せるようになろう。


 そして出た失敗作っぽいピンク色の缶は、まぁ木々を入れた四次元空缶の隣に置いとくか。



 フシ、着陸。でかい。



「カズマさんは見つけられたか?」


「町があったので、誰かに聞こうと思ったんでスが、その結果、人々に拝まれまシた」


 何があった。なんで拝むんだよ。大きさ的には神獣っぽいけどさ、こいつの顔とか見ろよ、神獣っぽさ皆無だから。ゆるキャラより酷いぞ。



「.....それで結局、聞き出せなかったし、見つけられなかったと」


「そんな日もありまスよ」


「ないわ」


 やっぱりフシだけ行かせるのは大丈夫じゃなかったか。



「それと、五人の兄妹らしき人から、『母の病が治って、早くお父さんが戻って来ますように』って拝まれたんでスが、どうしまシょうかね?」


 マジで何があった。こっちが聞きたいわ。なんでそんなこと拝まれたんだよ。



「どうしようもないだろ」


「その兄妹らしき子たち、みんな痩せ細ってまシたよ。六日くらい何も食べていないんだと思いまス」


 うわぁ、かなりの面倒拾ってきたな。っていうか、ここ幻だろ?なんでそんなリアルな事情抱えてるんだよ。



「何? 俺がどうにかするの? 井浦と書いて水と食料とその他便利セットと読まれる俺がどうにかしなきゃいけないの?」


 痩せ細った子にはパイン缶でも何でも出せばいいとして、病の母と帰って来ない父ってどう解決すればいいの?

 もう諦めた方が良くね? 帰って来ない父さんとか絶対アレだろ。不倫不倫ギャンブルギャンブルしてるだろ。



「もう引き受けてしまったんでスよ。なのでお願いしまス」


 引き受けたのかよ。夢幻の世界で早く戻りたいとは言え、なんかすごく無視しづらいじゃん。ここで無視したら道徳が無いみたいじゃん。



「........行って、缶出せばいいんだろ?」


「おねがいしまス」


 

 行ってみるか。カズマさんも探すついでに。あと他の誰かにも会えるかもしれないし。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ