おれの缶か?欲しいのならくれてやるぜ.... (俺が、缶賊王だ!)
どうも、放課後です。
今日の朝、井浦は通学路で重力攻撃されました。
そしてそのせいで遅刻し、外周二十周走らされました。
井浦語に翻訳すると、「もう帰って寝たい」です。
だが、俺には約束がある。
なんで約束などしてしまったのか?なんで約束など無視して帰る事が出来ないのか?
答えは両者ともグラ子のせい。
約束した理由は、重力攻撃から抜けたかったからだし、約束を無視して帰ったら家ごと重力に押し潰されてしまう。
これが能力の格差だ!まあ俺も家潰すレベルのでっかいコンクリートの入った缶とか作れるようになったけどね。
でも行かなければならないのだろう。
ああーあ。分身缶とか作れないかなぁ。でも俺の分身はきっと働かない。パソコンの電気代が二倍になるだけ。缶電池なら作れるのにな。
世の中うまくいかない事ばかりである。
でも待てよ....石油入ったドラム缶とか作ろうと思えば.......怖い事になりそうなのでやめとく。
まぁいいや。とりあえず教室から出よう。
そして裏門からこっそりと、この学園という監獄から脱獄するでござる。そして昨日から観ているアニメの続きを見るでござる。ござるでござる。
俺は席を立ち、教室のドアを開けて廊下に出る。
下駄箱のある方向に向くと、グラ子さん御一行がお見えになりました。
井浦くんは今した動作を、教室のドアを開ける前まで巻き戻しする。
だが時間は巻き戻っていない事を証明するように、グラ子の声が聞こえた。
「 あ け な さ い 『さもなければ、押し潰す。』」
......あれ?言葉の後になんか聞こえてきたぞ?
ねぇ知ってる奥さん? 井浦くんねぇ〜、最近幻聴が聞こえるらしいのよぉ〜。
「あらやだ こわぁ〜い。」
「じゃあ、押し潰されてから、もう一度その台詞を言ってみなよ?」
「こんにちは井浦です! 」
俺は速攻でドアを開ける。
「はぁ。最初からそうしなさい。」
「いや、そもそもなんでいるの?」
「ゆかりに変な事しないか確かめためよ。」
うわぁ。信用ってものは無いのだろうか?
「ゼロかそれ以下」
「まじかぁ。知ってたー。ってあれ?」
グラ子はいつから人の心を読める能力になったのだろう。
サイ子? 不思議な能力的な意味で。
「それより早く行こう?」
そう言ってグラ子は行ってしまう。
俺はそれについて行きながらユカリヨさんに聞いてみる。
「ねぇ、あの人とどうやって友達になったの?てゆうかイジメられてない?大丈夫? 今回相談したい事ってそれ?」
「 聞 こ え て い る ん だ け ど ? 」
やっべ。
「まぁまぁ」
ユカリヨさんが静めてくれる。
奴を....手懐けている....だと?
「あの子学校では普通だったりするの?反抗期かしら?井浦くん困っちゃうわぁ。」
「わざと聞こえるように喋っているの?」
「まぁまぁ。落ち着いて。」
おお、ユカリヨさんがいるとここまで違うのか。
でもだとしたらユカリヨさん、朝グラ子を静めなかった所が何気に腹黒いね。静めてたら多分俺は断ってたし。
「コウキはいないのか?」
「コウキくんは、先生の手伝いだよ。」
ユカリヨさんが答えてくれた。
この子、なんかコウキくんのこと好きそうだなぁ。コウキくんイケメンだし。
よし、じゃあコウキくん攻略のヒントを与えてあげよう。
「コウキくんは押しに弱い所があるよ。」
「そうなんだよね。頼んだら何でもしてくれるんだよ。」
なんだ....と。もうそんな関係になってしまったのか。コウキくん、立派になったんだね。
「うんうん。コウキは立派だ。」
「コウキくんはすごい人だよね。」
末永くリア充には爆発缶。
「誤解してない?」
「「え?何を?」」
黙って前を歩いていたグラ子がよくわからん事を急に言い出した。考え事でもしてたのかな?
「.......もういい。それより着いたよ。」
「喫茶店?」
グラ子が喫茶店だと!?ファストフード店でも選ぶと思った。
「意外って言いたそうな顔ね?」
「いえ、そんなこと思って無かったりしてるなんてことありませんって」
「つまり思ってたって事?」
やっべ。いつの間にか本音になってた。
「それより早く入って相談を聞こう。」
俺は逃げるように店の入り口を開け中に入る。
「........そうね。長い時間こいつと同じ重力を感じたくないし。」
続いて入って来たグラ子が言った。ユカリヨさんはなんか後ろで笑ってる。
俺達は適当なテーブル席に座る。
「いや、同じ重力って....それだったら地球の外に出るしか無くね?」
「早く出てけ。」
「あっ、出て行く役は井浦くんなの?」
「当たり前でしょう? 宇宙ゴミか井浦ゴミになってなさい。」
「二つ目関係無いだろ。」
井浦ゴミとは、俺が小さい頃、空き缶しか出せなかった頃のあだ名だ。
「今でも学校ではゴミみたいなものでしょ?」
「舐めんなよ?パイナップルの缶詰舐めんなよ?あれでも俺の生活費として貢献してくれてるんだぞ?」
「そうね。あんたの価値はパイナップルだった。」
「いや、そんなことないよ?最近井浦のことを『パイン缶屋さん』って呼ぶ人より『おーい、パイン缶。』って呼ぶ人のが多くなってきてるけど、そんなことないよ?」
「そう。でも良かったじゃん。缶屋って呼んでくれる人がいてさ。」
「そのうちユカリヨさんにも『おーい、缶。』って呼ばれそう。」
「呼ばないよ?...多分。」
絶対呼ぶパターンじゃね?
「まあそれより缶屋さんに何の用?」
ユカリヨさんの声が真剣になる。
「それなんだけどね....助けて..欲しいの。」
なるほど。
「誰を? キノコ王国の桃姫さんなら五分くらいで助けられるけど?」
「ちゃんと聞け」
「痛ス!」
グラ子チョップが俺の顔にクリーンヒット。
ユカリヨさんが頭を下げながら言う。
「私を、助けて下さい。」
「........缶を売る事がお前を助けることに繋がるなら、事情を話してくれ」
真剣に言ったつもりだが、俺の顔のチョップ受けた所が多分赤くなってるから、格好つかないだろうな。
「分かった。じゃあ、私の能力についてから話すね」
そういえばユカリヨさんの能力まだ知らないな。Sクラスだから強力なんだろうな。格闘系かな?波動の力とかだといいな。
「私の能力は植物を自在に生やしたり、操ったり出来るんだ」
草 タ イ プ だ っ た 。
「そして、私は昨日歩いていたら急に、多分私の能力を利用としようしている暴力団なんだろうけど、その人達が私に言ってきたの」
「『大麻草を能力で出せ』って」