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行き当たりばったり☆レボリューション計画(作戦名)

「革命?」


「いえす革命。鬼から逃げるのをやめるんだよ。つまり、鬼退治だよ」


 桃太郎は何故偉いのでしょう? それは、鬼から逃げずに立ち向かって、勝ってみせたからです。

 だから井浦も逃げずに立ち向かうんだ!

 汚い手を使ってだけど!



「....風車(ふうしゃ)を巨人と感違いして突撃する人みたいだね」


 よく分かんないけど、そうなんじゃない?


「風車は鬼じゃなくて巨人だろ。まぁ、どっちにしろ蛮勇でクレイジーって事なら分かるけども」


 っていうか物語の方のドン・キ○ーテ知ってるのか。珍しいな。

 ここらへんだと、驚安の殿堂しか思い浮かばない人の方が多いだろうに。



「自覚しちゃったんだ....で、どうやってやるの?」


「捕獲された奴を解放して味方にする感じ」


 某名誉革命さんをリスペクト。



「.......味方になってくれそうなの?」


「...まぁ、がんばる」


「味方になってくれなかったら?」


「まぁ、がんばる」


「........大丈夫?」



 ユカリヨさんは終始不安そうな顔をしていたが、大丈夫だ。根拠は俺が井浦だから。


 『根拠は俺が井浦だから』は井浦語で、『根拠は特に無い』という意味になるけど大丈夫。ほんと大丈夫だから。

 井浦だからって言っとけば、なんか説得力の塊っぽいのが泥だんごみたいに出来るから。



「まぁ、とくと観ているがよい。....やっぱり観なくてもいいや。じゃあの!」


 おら、都市エリアさ行くだ。

 そこんで、革命起こすんが、おらの夢だ。



「....私も行っていい?」


 公園エリアを抜ける道を行こうとすると、ユカリヨさんにそう言われた。



「なんでだ?」


「それは、...心配だから?」


 なんで疑問系なんだ。



「まぁ良いが、ユカリヨさんはここを離れても大丈夫なのか?」


 植物が無い所だとユカリヨさんの領域じゃなくなっちゃうじゃない。



「都市エリアなら....植物生やすとコンクリートとか(やぶ)っちゃうけど気にしなければ大丈夫」


 なるほど、ユカリヨさんにとってコンクリートとは破れる物だったのか。破れるって、コンクリートは紙と同等なの? こわい。



「....よし、じゃあ、俺がたった今思い付いた作戦をここで言おう。意見反論は認める」


「却下」


「早くね?井浦は何も言ってないよ!?」


「冗談だよ」


 そう言ってユカリヨさんは笑う。それを見て俺の表情は苦笑いになった。



「ならいいか。じゃあ、俺の作戦を言おう」



 俺は、段々と作戦を話し始めた。




[][][][][]



 

 ユカリヨさんとの作戦会議は数十分と続く。

 ユカリヨさん曰く、『作戦名以外は七十点くらいにはなった。作戦名は、もう無い方がいい思う』らしい。結構シビア。



 そう思っていると、唐突に放送が響いた。


『十一時を過ぎました。現在の逃走者は九十二名です』


 まじか。

 九十二って事は一時間で約百人が捕まったんだな。あと三時間。微妙だな。



「もうそろそろ準備を始めた方がいいんじゃないか?」


「そうね。でもこれで大丈夫かな?」


「行ける。作戦なんてあって無いようなものなのだ!」


「開き直った!?」


「そうでスね。作戦なんて、井浦さんの家の物置きの中に眠っている掃除機みたいなものでスね」


「そうだぞ。俺は年末と夏休みくらいにしか掃除機なんて........」


 ......使わ............にゃん?


 赤い鳥がいるように見えるじゃん? だけど残念、きっと蜃気楼的な何かだから。絶対そうだから。信じて。割とマジで。



「........」



「........まあ、とにかくそういう事だ」


「でス」



「........」


 

 沈黙は肯定と捉えよう。


「よぉし、じゃあ行動を開始しよう。ブーンを祈る」


 俺は敬礼をする。



「ご達者で。ブーンを祈りまス」


 俺の敬礼を返すように、羽の先を頭の横に当てた。


 何かがおかしい気がするが、気のせいである。それか妖怪のせいである。赤い鳥の不思議妖怪が見えるからきっとそうだろう。



「......これは....何?」


 その妖怪はどうやらユカリヨさんにも見えているらしく、ソレを見ながら呟くように言った。



 ........




「ロシア語に翻訳すると、『シとー えーた?』でスよ」


 ん、ああ、なるほど。



「えーた........ふしちょー」


「日本語に翻訳すると、『これ、ふしちょー。』って意味でスね」


「へぇ........」


 なんかもう呆れたような、諦めたような顔された。



「フシ、ロシア語のくだりは何よ?必要だったのか?」


「いや、答えないので井浦さんは日本語を忘れたのかと思いまシたので」



 なるほど、それでロシア語か。わからん。


「井浦は日本人(ジャパニーズ)だから。もう、日本人(ジャパニーズ)過ぎて純粋なる日本人(ネイティヴジャパニーズ)だから。ロシア語で答えちゃったけど。ってかフシはロシア語喋れたの?」


「ロシア語は....まぁまぁでスね」


 そうでしたか。


 そう俺が思った後、一人取り残されているユカリヨさんがフシに質問をした。


「.....そもそも日本語を普通に喋ってるけど、鳥なの?」



「鳥は喋らないでスよ」



 もうフシの決め台詞は『鳥は喋らないでスよ』いいだろ。この言葉の全てにコイツの、こう、ポンポコピーさが表れてるじゃん。


 ほら、ユカリヨさん困った顔してるよ。もう何から指摘したらいいか分からないって思ってるよ。

 ここは井浦が紳士的にフォローするべきだな。

 俺は、ユカリヨさんに慰めるように言う。



「大丈夫。喋る鳥もいるから」



「えぇ? あ....うん。そうだね?」



 余計に混乱させちゃった気がするけど原因はフシのせいだな。って言うか、なんでここにいるんだよ?



「そもそもフシはどうやってここまで来たんだ?」


「通気口の隙間からスッと入ってきまシた」


「ゴキブリかおまえは」


 よく侵入できたな。

 いや、でも、コイツがいれば色々と出来る事が増えるかもしれない。伝達とか、燃えながら飛んで貰って信号灯的な事とか出来る。



「ユカリヨさん、ちょっと作戦の規模を大きくしよう。フシが来たならもう少し派手にできそうな気がする」


「えっ?」


「いい感じの起点作りが出来そうだ」



 そう言い俺は、フシの事や作戦の変更点をユカリヨさんに手短かに話し、行き当たりばったり☆レボリューション開始に向けて準備を始めた。


 

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