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二日目からのテスト(遊びに近い)

「ショートホームルーム、始めるぞー」


 八頃が教室の扉を開けて言い放った。頭は汗でコーティングされており、より一層ハゲ頭が輝いている。

 フシは無事に逃げ切ったようだな。



「今日は昨日に引き続き能力テストをやる」


 やったぜ(白目



「今日は井浦も来たな?」


「まぁ、テストだし、仕方なく」



 早くクラスを上げて奨学金を貰いたいし。



「だが昨日休んだ分は取り戻せんぞー?」


 え? 昨日休んだ分が取り戻せないってなんでや? 昨日の分まで今日やれば良かろう?


「ホワァイ?」


「連絡は受けたが、あんな電話じゃ欠席の連絡にはならん。つまり、無断欠席した事になってる」



 まじか。なんだその判定。そうなるなら最初からそう言ってくれよ。


「だから、昨日の能力テスト....井浦の成長度やら将来性などの評価は、ゼロだ」


 やったぜ(吐血



「ついでに意欲の欄もゼロだな」


 や っ た ぜ 。



「....もう帰っていい?」


 もう今回のクラスアップは諦めよう。



「まぁ待て井浦。何の為にテストは二日に分かれているか言える者は居るか?」


 八頃は俺だけでは無く、クラスの全員を見ながら言った。



「はい!」


「ホネタロウ、言ってみろ」


「カルシウム不足だからです!」


「違う!」


 カルシウム不足で良いだろ。大正解だろ。



「はい」


「井浦...言えるなら最初から言え」



 俺は八頃の輝く頭を指差して言う。


「髪の毛不足。」


「黙れ!」


「そんなに叫んで....やっぱり、深刻なカルシウム不足ですね....」


 ホネタロウが、すかさず言った。



「もういい!」


 良くねぇよ。カルシウム取れよ。それと髪生やせよ。



「テスト前日に説明した筈なんだがな....」


 聞いてなかった。クラス全員の顔にそう書いてある。



「いいか? 一人一人の能力の汎用性や多用性などの様々な要素を評価する為には、用意や測定などに時間が・・・・


 z....z.....Z.......Z...........(井浦、睡眠中)



・・・・以上が二日に分かれている理由だ。つまり、ここで頑張ればまだ希望はある」


 へぇ、なるほど。四割くらいしか聞いてなかったわ。



「だから先ほど言った通り、二日目のテストの内容は遊戯的になるが、気を引き締めて行くようにしろ?」


 遊戯的? 体力テストみたいな感じか?

 それとも今回、浦ノ内死す! デュエルスタンバイ☆ って感じのやつかな?



「ではテスト内容を発表する。 今回抽選で選ばれたテストの内容は、逃走中だ」

 

 クラスの人達が騒つく。



「....逃走中?」


 ............遊戯的だわ。小さい子の遊戯って意味で。

 てか逃走中が能力テストって何よ? 能力使って逃走中やるの?  中学と全く違うテスト方法だな。



「どうやってやるんだ?」


「説明する。ルールだが、普通の逃走中とほぼ同じ、学年全員参加で、もちろん能力使用はあり、そして脱走もありだ」


 うわー、疲れそうだな。早く捕まって寝よう。どうせ意欲はゼロだ。


「鬼は、能力順位の一番上から四人で、それ以外が逃げる役だ」

 


 まじかよ。グラ子からは逃げなければ。生存する為に。



「場所はこの学校の北東に建っている施設内だ。室内だが、街や公園などの地形がある」


 学校の周りに様々な施設が建っているが、その中の一つか。北東なら、超デカイ建物だった気がする。



「評価点は、能力をどのように活用するかだ。教師は監視カメラと現場で見ているからな」


 なら他の捕まった人達に缶を売って缶詰パーティーでもするか。



「開始時間は十時だ。それまでに準備と移動をしとけよ」


 

 つらいなぁ。

 今思ったけど、鬼に見つかったらやばくね? コウキくんは雷速無双だし、グラ子も重力で動けなくされる。

 抵抗不可だろ。全滅しそう。

 


「終了は午後二時になるか、逃走者が全滅するかだ。二時になった時点で捕まっていなければ、景品が貰えるから頑張れよ」


 よし、一時半くらいに脱走するか。

 


「では、各自で準備と移動を開始しろ!」


 いえっさー。




[][][][][]




 体操着(ジャージ)に着替え、その施設の前まで来た。


 俺は、サンダルを履いているのでジャージでも制服でも動きやすさはあまり変わらない。


 目の前にあるプロ野球場よりでかい施設、模擬市街地多目的なんたらセンターの中へ、他の奴らが入って行く。

 俺も入るとしよう。

 


「逃走者はバンダナを腕に巻いて下さい」


 入り口を入ってすぐの所で、バンダナを渡された。



「巻かれていないと捕まっている事になりますので。巻いたら向こうのドアからどうぞ」


 なるほど。つまり、鬼にバンダナを取られたら捕まった事になるのか。

 では脱出する時はバンダナを取り返さないと脱出した事にはならないのか。


 俺は腕にバンダナを巻きつけ、地味に重たいドアを開ける。



「....おお、すげえな」


 一面が芝生の広場に出た。八頃の言っていた通り、五階建て程度の高さのビル群や、木々の生えた公園のような場所などが見渡せる。

 想像より、遥かに広いし隠れる場所も多いな。


 天井は所々が窓になっており、そこから梅雨時期の曇り空が見える。だが照明もあるので結構明るい。



『十時まであと五分です。逃走者は、バンダナが取れないかご確認下さい』


 アナウンスが入る。

 あと五分か。....ってバンダナが取ろうとしても取れねぇ。


『バンダナは、逃走者には取れないようになっております。また、脱出する際も、バンダナは触れれば腕に自動で巻き付きますので、ご了承下さい』


 なるほど。どんな能力かは分からんが、バンダナをポケットの中とかに隠せないようにしてあるのか。



『鬼は、ハチマキを巻いています。それを目印にお逃げ下さい』


 なるほど、了解。


『また、捕まった場合、教師が都市エリアの捕獲者場まで連れて行きます。捕獲者のバンダナは捕獲者場の前にあります』


 へぇ、ふーん。


 その後も細かい説明などが数回繰り返された。

 俺はその間、木々が生い茂る公園エリアののベンチで缶コーヒーを飲んでいた。葉の隙間から陽光のように照明の光が差し込んでいる。

 井浦を変な目で見ながら通り過ぎる人が数人いたが、気にしない。



『鬼は、都市エリアの捕獲者に一人、それ以外は場外の扉からのスタートです』


『それでは、十時になりましたので、能力テスト、開始です』


 唐突に始まったな。カウントダウンとか無いのかよ。


 なんか遠くから悲鳴っぽいのが聞こえたが、大丈夫だろうか?


 そう思いながら、俺は缶コーヒーを飲み干す。

 空き缶どうするかな。確かここに来る途中でゴミ箱があった気がする。捨てに行くか。


 ベンチを立って、先ほどゴミ箱があった方へ向かう。



 途中、人とすれ違う。

 


「今日は来てたの」


「仕方無く」


 今すれ違いざまに言葉を交わした人、中々の美少女だったな。黒髪に純白のハチマキが似合ってましたね。



 だが井浦は振り返らず、前を向いて歩き続ける。


 ........あぁ、なぜだろう。


 

 体がとっても重いんだ。

 

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