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グラ子の重力攻撃! 俺はHPの30%が削れたようにカンじた!(長文サブタイトル)

「あー。責任感もクソもなくね?話しちゃってるっぽいぞ?しかもグラ子に。」


「どうする?」



 グラ子さん今にもギガグラビティしてきそう。朝から重力攻撃は勘弁して欲しい。


 出来れば今すぐ右に曲がってGルートは回避したい。だが紳士(ジェントルメン)として女性の話を聴いてあげたい気持ちもある。

 ちなみにGルートのGはグラビティのGな。これ大事だから要チェック。蛍光ペンで線引いとこう。



「うーん...話すだけ話そう。」


 そしてこっちが不利になったら逃げる作戦で行こう。


 俺達は前に進む。

 俺達は立ち向かうと決めた。

 この気持ちはもう、なんたらかんたら。



 グラ子が口を開く。


「ねぇ。」



ここは気さくな雰囲気で反応しよう。


「なんだいグラ子?」


「グラ子って呼ぶな。」


 はい、Gルート入りましたー。強くなってくグラビティ。体が重い。


 やっぱこいつグラビティ子だわ。略してグラ子。



「すんません」


「重力かけられた状態でよくそんな軽々しく言えるね?」


 やべえ。

 グラ子がグラグラ子にグラシンカした。

 グラ度が上がってきてる。まぁこんくらいなら普通に耐えられるようにはなったけど。



「ああ....うん。で?何の用?」



 美少女に重力かけられてるって考えるとなんか新しい性癖が俺の中で開花しそう。


「...そうだった。昨日ゆかりを助けたのはあんたよね?」


「違います。」


「 あ ん た よ ね ? 」



 だけどグラ子に重力かけられているって考えるとそうでもなくなる。


「はいそうでした。井浦です。」



「ゆかりが聞きたい事があるってさ」


 いや、あるってさじゃねえよ。その前に重力かけんのやめてくれよ。



「どうも、昨日ぶりだね? 井浦くんが缶屋さんでいいんだよね。」


 ユカリヨさんが話しかけてきてるんだが、俺は会話中もずっと重力かけられんの? ってかよく俺にだけ正確に重力かけられるよな。精度上がってて怖いわ。



「まぁ、そうだな」


 あぁあ、体が地味に重い。高速で上がってくエレベーターに乗ってる気分。



「缶屋さんって何してるの?」


「缶売ってる」


「それって昨日みたいな?」


 音缶や幻覚缶の事か。



「....まぁ、ここで話すのもアレだ。その話は後でしてくれ。」


 井浦語に訳すと、早くこの重力から解放されたい。


「わかった。じゃあ放課後、時間空いてる?」


「空いてないな。」



 重力がさらに強くなった。まだ抵抗する程度ではないが、疲れるからなぁ。


「あんた帰ってネトゲするだけでしょ?」



 いや、そうなんだけどさ、グラ子さんなんで知ってんの? 怖い。



「マジすません。空いてます」


「ははは...なら、放課後ね。」



 苦笑された。井浦、苦笑されちゃったよ。


「はいよ」



 ああやっぱ地味にきついわ重力。頭に血が行かなくなってきてる。


 寝転びたいな。だけど寝転んだら井浦くんは紳士じゃなくて変態☆紳士になってしまう。制服のスカートの中が見えちゃうからね。



「グラ子よ、重力操作を解くのだ。」


「それが重力かけられている人の態度?」


 そしてこの理不尽さである。何その言葉。今世紀初めて聞いたわ。



「すません解いて下さいおねがいします」


 最後らへん棒読みになってたかもしれないけど、たぶん大丈夫。


「土下座したら許す。」


 あらやだ理不尽(笑)。元からプライド高かったけど、さらにSっ気強くなったな。グラ子が俺を避けるようになった時って何かあったっけ? 覚えてねぇや。


  ....でも確かな事がある。今、俺が土下座したら...

 ...グラ子のスカートの中見えちゃうよ?


 土下座はさすがに無理だけどな。軽く悪戯してトンズラしよう。

 俺はグラ子に気づかれないように背中の後で缶を出し、開ける。



 そして、表情を消し、倒れる演技をする。俺は抜け殻だ的な感じで。



 あっ、水色だ。

 あえて何がとは言わない。それが変態☆紳士。


「!?」


「土下座なんてするかよ。」



 グラ子の耳元で、俺の声が発される。



「!!!?」


 グラ子は後ろを振り向くが、そこには誰もいない。


 よし、重力操作が解けた。

 俺は起き上がり、煙缶を取り出す。


「だがそれは缶が出した幻聴だ! 行くぞコウキ! さらばだグラ子!」


 そう、俺がさっき開けた缶は俺が幻聴缶と呼んでるものだ!

 グラ子よ、慢心が仇になったな!フハハハハハハ!


 俺は朝っぱらから重力をかけられたお返しに、これでもかという量の白い煙を出す缶を置いて逃げるのだった。別に有害な煙じゃないから大丈夫。ちょっとむせるけど。



 後に、その煙は「謎の現象」として扱われる事になるだろう。



「遅刻じゃね?」



「...今はとにかく走ろう。」


 コウキくんはいつもポジティヴ。


「そうだな。」


 俺はそう答え、学校へ向かった。





[][][][][]




 バ ッ チ リ 遅 刻 で し た 。



「何か言いたい事はあるか?」


 そう言ってきた教師は1年 Eクラス担任の、ピッ○ロ...じゃなくて八頃(やころ)ティーチャーである。


 悪く言うとハゲ。良く言うとつるつる頭。 言い方が変わっても、意味は変わらない。



「あの、はい、アレです。パイナップルの缶詰めあげるんで許してください。」


 俺は続けて言う。


「ほんとは海藻の缶詰めが良いと思ったんですけど、海藻食べても髪の毛生えないですから。なのでパイナップルで我慢してください。」


「「「ぶっ!」」」


 俺のハゲネタに、席に座っている生徒の何人かが一斉に吹いた。まだ何人か笑いを堪えている。


 先生の頭の血管が浮き出る。



「遅刻したらどんな罰を受ける決まりか言ってみろ。」


「外周十周です。」


「そうだな。だが今回は特別に二十周にしてやる。」


「いやホント、パイナップルの缶詰めあげるんで許して....井浦にお慈悲を......」


「さっさと行け!」


「イエッサー!」


「返事はハイだ!」


「行ってきます!」



 俺は教室から逃げるように出て行く。


 この高校の外周は、一周で約一・五キロメートルあるらしい。それを二十周か...


「うーむ。二時間くらい...いや、途中で休憩したいし二時間半だな」


 簡単な計算をしてからその解を口に出す。


 ......二十周は初めてかな?

 俺は何度か遅刻しているので、その度に十周走らされている。

 初めて走らされた時、俺がしれっとして十周を終えてきた事に驚かれた事は良い思い出だ。



 俺は周囲に誰もいない事を確認して、能力で缶を出す。中身は筋力増強ジュース。別に副作用とかは無い。


「んじゃ、走るか。」


 ちなみに格好は制服にサンダル。

 不審者だと思われないか心配。


 そう思いながら俺は走った。

筋肉ドーピングした井浦くんは制服にサンダルという格好で、マラソンランナーと大体同じ速さで走っています。


他人から異常な速さだと思われていることに、井浦くんは気付いていません。





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