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クラスメイトさん(仮名)〜名前は忘れた〜

 昨日は色々ありましたよ。動物缶の実験をして(略。


 だけど昨日は学校じゃなかったから、土曜日の次は日曜日って感覚で、今日も休みだな〜、早く起きちゃったけど、二度寝しよう〜。ってなったのよ?



 だけど井浦、気付いてしまったのよ。

 

 昨日は木曜で、学校は俺が休んだだけじゃん!って。今日は金曜で学校は普通にあるじゃん!?って。


 今週は色々ありすぎて、疲労感から曜日感覚が狂ったのよ。



 そんな感じで、月曜日の朝に感じる怠さを金曜にも感じながら、何とか学校の教室まで辿り着いた井浦でござるよ。


 そして、何故かフシも教室までついてきた。


 俺の机の上にいるのだが、教室の中で微妙な注目を集めてる。俺は極力机の上を見ないようにしている。

 

 どうすんのコレ。詰んでるじゃん。


 案の定、クラスメイトさんが話しかけてくる。


「い、井浦くん」


「井浦くんだよ」


 俺は至って普通に対応する。


 普通に対応することで、『あれ?井浦くんは普通にしてるなぁ?机の上にあるのは幻覚なのかなぁ?』って思わせる作戦だ。



「その赤い鳥は?」


 ()が作戦が全く効いて無いだと!?

 ふっ、だがまだ打つ手はある!



「あの....あれだよ。赤い羽根募金の、あの赤い羽根を集めて、こう.......鳥っぽくしたんだよ」


 井浦は、誤魔化した。



「必死さなら伝わってきたけど....」


 必死さしか伝わらなかったと。なるほど。必死さが伝われば十分だ。



「赤い羽根募金なめんなよ? それで世界中の人を救えるんだぞ!?」


 特に今の状況の井浦とか、超救えるから。もう希望だから。全米が感動してるから。



「そ、そうなんだ....」


「そうなんだよ」


 よし、赤い羽根募金の勝利。ありがとう、赤い羽根募金。



 そう思っていた時、机の上から声が聞こえた。


「この赤い羽毛には、そんな意味があったんでスね...」



 無いわ! お前(フシ)にそんな意味は皆無だわ! ついでに俺の誤魔化しも皆無になるわ! なにゆえ喋ったよ!?


 

「今.....この鳥........喋らなかった?」


「馬ッ鹿! とっ、てッ、と、鳥が喋るワケないだろ」


「でも声が....」


「ナレーションだよ。ほら、テレビの世界であるんだから、この世界にあってもおかしくないだろ?」


「そうでスね」


 なにお前(フシ)が納得してんの!?

わざわざクチバシの下に羽を当てて『ふむふむ、なるほど』みたいにしなくていいから!

 お前が納得したせいで、ただでさえ俺の説得力の乏しい説得が、マイナスまで引き下がったわ!



「でもこの鳥から声がしてるし、動いたよ? 」


 もう駄目か。フシは誤魔化す気が無いしな。



「どの鳥でスか?」


 鳥はお前以外にいないだろ。



「.....面白い鳥だね」


「不思議なだけだわ。不思鳥って種類」


「もう隠すつもりも無いんだね」



 もうフシの事は隠しきれないだろ。


「井浦は諦めたのだよ。どうしようコイツ」


「......そもそも、この鳥は何なの?」


 フシを覗き込んで言う。



「何なのって、鳥だよ」


「鳥はこんな流暢な日本語を喋らないでしょ」


「だから不思議ってさっき言ったろ?」


「そうだったね....」


 突っ込みどころ満載すぎて逆に呆れた顔をずっとしているクラスメイトさん。



「フシ、外に出てろよ」


「梅雨前線を近くに感じるので、雨宿りを、ここでしたいでス」


 なんだよ『梅雨前線を近くに感じる』って。梅雨前線は我々の敵か? 奴は梅雨の時期にやって来て、雨を降らせる能力なのか!?

 お(フシ)はいつから梅雨前線を感知できるようになったんだよ?



「雨が降ったら来い。それまで外に行っててくれよ」


「では狩りでもしてきまスか」


 狩りするのか。猛禽類?フシは猛禽類なの?


 そう思っているうちに、フシは飛び立っていた。


 そして、廊下の方へ行った。窓から出ろよ。玄関から出るつもりなのかアイツ。変な所で律儀だな。


 

 廊下から、八頃の声が聞こえてくる。


『なんだこの鳥は!?』


『なんでシょうね?』


 八頃の声に対する声は、緊張感の抜けた声、フシの声である。



『ん?今この鳥、喋ったのか?』


『そんなワケ無いでスよ。ではボクは狩りに行きまス』


『なっ! おい待てええぇぇぇぇ』


 そして八頃の声は遠ざかっていった。


 フシは....まぁ、大丈夫か。遷音速で飛べるし、燃えるし。ついでに不思議だし。

 あのまま八頃に追われ続けていれば良いのに。


「........いいの?」


「大丈夫 問題ない。あの鳥は放置で良い」


 フシを追いかけに行った八頃が、ここに戻って来るまでには時間がありそうだし、一応、缶コーヒーが出せる事を言っておこう。



 俺は缶コーヒーを出しながら言う。


「それより、缶コーヒーも出せるようになったからよろしく。自販機よりは安く売るわ」



 俺はそう言って、出した缶コーヒーを開ける。コーヒーの良い香りがしてきた。


 別に缶ジュースでも良かった気がするが、そんなのは俺の気分次第だ。今はコーヒーの気分だったし。缶コーヒーでも十分、生活費の足しにはなるだろう。



「パイナップル以外にも出せるようになったんだ。井浦くんなのに」



 井浦くんなのにってなんだ。どんな認識してたんだ。



「マジか! 井浦なのにパイナップル以外が出せるようになったのか!」


 近くに居た奴も会話に参加してきた。


 ってか井浦なのにって何よ!? 井浦=パイン缶の方程式でもあったのか?



「おめでとう、井浦くんを卒業したんだね!」


「卒業してねぇよ!?」


 井浦くんを卒業ってどういう事だ。大人の階段上がったみたいに言うなよ。



「コーヒーパイン屋になったのか!」


「言い方が不味そうだな!」


 コーヒーパインってなんぞや? 絶対不味いだろ。

 

「ならパインコーヒー屋か」


 逆になっただけやろ。もう疲れたわ。



「帰りたい....」


 テスト前だけどもう面倒くさくなったぜよ。帰って寝たい。

 あー、つらいなぁ。

 前置きが長くなりました。

 次話から能力テストです。

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