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動物缶の動物(色々とおかしい)

 俺は、予期せぬウサギアタックによって、腹にダメージを喰らったので、しばらくヒナキちゃんと休憩していた。


 だが、ヒナキちゃん(効果: そこにいるだけで井浦の回復力アップ)によって腹の痛みがヒナキ・ヒーリングされたので、そろそろ再開しよう。



「なんか他に見たい動物とかある?」



 横に倒したドラム缶に腰掛けて、鼻歌(井浦にとっての回復メロディー)を歌っているヒナキちゃんに言う。



「ふんふんーんっ〜、白馬とかいいですね〜」


 ヒナキちゃんは鼻歌まじりにそう言った。



「ふ....あれ? 今、私なんて言いました?」


 と思ったら、鼻歌を止め、何を言ったか聞き直してくる。どうしたのかな?



「白馬とかいいですね〜♪って言ってたよ?」


 そう言いながら白馬をイメージして缶を出す。



「えっ、いやそのっ......なんでも、ないです」


 ヒナキちゃんは何か言おうとドラム缶から立ったが、その後、顔を逸らして言うのをやめてしまったようだ。


 何だろう。白馬の王子様(コウキくん)的なアレかな?

 でも残念、ここにいるのは井浦でした。井浦に白馬は似合いません。そもそも乗馬経験ゼロなので馬にすら乗れません。

 うふふ、ざーんねん☆


 でも缶はもう出しちゃったし、顔を逸らしたままのヒナキちゃんがチラチラ目線をこちらに向けてきて可愛いので、俺は手に持ってる缶を開けると決めた。



「開けるぞ?」


「お、おねがいします」


 なんだこの緊張感。まぁ確かに、白馬には仁王立ちで腕組まれたりされたくないけども。だが開けると決めたんだぁー!


 そう思いながら缶を開ける。



「おぉー!きれい....」



 ヒナキちゃんが感嘆の声を上げる。出てきたのは、綺麗な毛並みの白馬だ。

 普通の白馬で良かった。仁王立ちしないって意味で。だが筋肉の付きは競馬に出れそうな程あるな。でも....



「ちょっと小さい....な」



 なんと言うか、もう少し大きく出るイメージだったんだけどな。ちょうど目線が俺と同じくらいの高さだ。



「そうですか?普通に大きいと思いますけど?」


「いや、俺がイメージしたのは体高、肩の高さが俺と同じくらいの大きさだったんだが....」


「それだと井浦さんが乗りづらいじゃないですか!」


「いや、乗らねぇよ?」


「ええ!?」


 ごめんよ。井浦は、自分の缶から出てきた馬に乗るとか怖くて出来ないわ。ウサギの時点でトラウマなんだわ。(ウマ)だけに。



「ヒヒン!」


 白馬が鳴いた。つべこべ言わず、早く何か指示を出せと言っているようだ。

 とりあえず、どれくらい強いか確かめよう。


「えーと、あのドラム缶を蹴ってみてくれ」


 俺は、ドラム缶を指差して言う。



「ヒヒヒン!」


 白馬はそう鳴いて、ドラム缶を、二つの後ろ足で蹴ってみせた。


 バン!という音がしたが、ドラム缶は吹っ飛んでいない。


「ヒヒン!」



 .......確かにドラム缶は吹っ飛んでいない。だが、ドラム缶には、(ひづめ)型の風穴が二つあった。


 なるほど、吹っ飛ぶ間も与えず、穴をだけを開けたのか。これ井浦が蹴られてたら、どうなっていただろうね。


「戻ってくださいおねがいします」


「ヒヒン。」



『良かろう。』って聞こえた。戻ってくれたけども。



「....小さかったけど強かったな」



 思ったより小さくなってしまったのは、おそらく缶の、許容体積か質量の限界が原因だろう。

 てっきり、モン○ターボールみたいに、どんなに大きくても中に入ると思っていたけれど、それは間違いのようだ。

 


「どの動物も強いですね!」


「大きさは限られるようだがな。ゾウとかキリンとかも、小さい状態で出てきそうだ」


「そうなんですか?」


「確認するか?」


「うーん、やめておきます」


 しないんかい。まぁ、ゾウとか出しても意味無いか。動物園でも開くのだったら別だけど。



「そか。....ヒナキちゃんは蜘蛛とか大丈夫?」


「ダメです! 出すんですか....?」


 ヒナキちゃん、すでに涙目になってない?そんなダメだったか。



「ヒナキちゃんがダメなら出さないよ」


 蜘蛛はカズマさんの所で出そう。ついでに毒蜘蛛の威力をカズマさんで試そう。



「よかった....」


 ヒナキちゃんそう言って胸を撫で下ろした。



「うーん、じゃあ、とりあえず空想上の動物とか出せるか確かめるか」


「空想上の動物! 何を出しましょう?」



 ドラゴンは..........出せたとしても、それ程大きく出せないだろうし、二次被害とかやばそうだからカズマさんの所だな。なら....



「不死鳥なんかどうだ?」


「いいですね不死鳥! なんかボワァ〜ってなるやつですね!」


 ヒナキちゃんは頑張って『ボワァ〜』の部分を身振り手振りで表現したが、井浦には、「なるほど、可愛い」という情報しか入ってこなかった。



「まぁ、出してみれば分かるか」



 とりあえず中身をイメージしながら缶を作ろう。

 不死鳥って燃えて復活する鳥的な奴だよな。それとなんだろう。とりあえずボワァ〜ってする奴って思っとけば良いか。


「よし、出来た」


「開けちゃって下さい!」


 じゃあ開けよ....



「ボワァ」


 ........と思ったら、俺が開けずとも、勝手に出てきた。



「わぁ、ほんとにボワァってなった!」



 いや確かに『ボワァ』って()ったけども。良いのかそれで。


 一応、インコくらいの大きさの、真紅の鳥なのだが、なんて言うか、ゆるキャラみたいな顔になってる。目が点なんだよ。愛嬌はあるけど、コレジャナイ感もある。


 そう思っていると、



「ボワァって鳴き声で良かったでスかな?」



 空き地に、中性的な、声変わりしていない子供のような声が響く。


 ............



「....この不死鳥さん? 喋りましたね」


 ヒナキちゃんが呟くように言った。



不死鳥(ふシちょう)が喋るなんて聞いた事無いでスな」


 お前が言うかそれを。



「不思議な鳥、まさに不思鳥でスね。」 



「何?自己紹介してんの? 自己紹介だよな?」


 つい声に出しちゃったよ。


 ....ああ、また変な動物出しちまった。



「....ボワァ!!!」


 ボワァ!!!じゃねぇよ。燃えちまえ。

ボワァ!!!!

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