刺激的な缶はお好きですか?(俺は時と場合によっては嫌いだよ)
視点変更無しです。オール井浦視点です。
それと今回は短いです。
どうするべきだ? 俺は状況の確認をする。
目の前にいるのは三人、うち二人がガチムチのオネェ。この部屋の出入り口を塞ぐように立っているため、逃げる事は難しい。
さらに、この部屋は広くない。その上、トキサと少女がいる。
そして好ましいのは無力化のみ。意識は飛ばさないまま、抵抗をさせない程度。色々と聞き出したい。
動物缶が出せるようになったのだから、麻痺毒とか持ってる昆虫とか出せるかな
.....って思うだろ? だが残念、知識が足りない。どんな昆虫出せばいいか分からない。
でもせめて麻痺毒缶くらいは
......ってなった時期もあった。だが残念、知識が足りない。猛毒は知ってるが、丁度いい感じに無力化できる神経毒は知らない。
コウキくんに電撃で麻痺させてもらう事も出来なくは無いのだが、コウキは基本的に、他人に直接、電撃を浴びせようとはしない。
電気の怖さを誰よりも知っているというか、人の脆さを知っているというか。
でも、先ほど俺が切られそうになった時には、あの速い厨二眼帯ナイフに向けて電撃を放ってくれた。
ほんとすまんな。そしてありがとう。
とりあえず、あの速い厨二眼帯ナイフ野郎、略してあの野郎が厄介だ。俺が缶を出しただけで斬りかかってくるだろう。
筋肉オネェ二人は、あの野郎がいなければ、まぁ....缶が使えれば何とでもなるだろう。
「コウキ、悪いがあの速い眼帯を頼む」
「いいよ」
心強いな。
「あら〜、じゃあ〜、あなたがワタッシ達の相手をしてくれるのかしら〜?」
「ん〜、あの金髪の子ともやってみたかったけんどぉ〜、アナタも刺激的な感じだったわんね〜」
やっぱ無理かもしんない。
正面から勝負するのは。
俺はなるべくバレないように缶を出す。
しかし、眼帯野郎は俺を斬りかかりに来た。
「おまえは先に逝け」
そう言われたが、問題ない。
一筋の稲妻が前を通る。
「聞いていなかったのかい?」
そして、稲妻は人間となった。
「君の相手は、僕だ」
「ちっ」
眼帯野郎は距離をとって舌打ちした。
「頼む」
俺は前に立つコウキにそれだけ伝えて、缶を開ける。
「かかって来いや」
「....ならワタッシ達から行かせてもらうわよッ!」
そう言って二人の筋肉オネェは、息を合わせ、殴りかかった。
眼帯野郎に。
あらあら、眼帯野郎が井浦に見えたのね?さっき開けた缶のせいかしら?
相手の視覚を、ある程度弄れる缶って言えば、つよそうに聞こえるかな?
まぁ、幻覚が詰まっているだけなんだけどね。
さっき開けた、幻覚缶には。
「あぶねぇ、何すんだ!」
眼帯野郎は、間一髪で筋肉オネェのダブルパンチを避けた。当たれよ。
「「あら?」」
筋肉オネェ共は、こんらんしている。
スキありッ! 俺は両手にスプレー缶を出す。ごく普通の強力催涙スプレーだ。目に入っても、失明はしない。たぶん。
「無力化するなら、まず視界ぃ!!」
俺は、今思いついた無力化の基本を叫びながら、二人の筋肉オネェの顔に、右手と左手で同時噴射する。超刺激的だろう?
「うぁあ!」
「んやあ!」
あなたの目にクリーンヒット。
オネェは、オネェらしからぬ叫び声を上げながら、両手で目と鼻を押さえる。
それを確認しながら、右手の催涙スプレーを、眼帯野郎の方に投げた。
「コウキ!」
「ああ!」
コウキがそう答えた時には、俺が投げた催涙スプレーに雷速で追いつき、眼帯野郎の前でキャッチしていた。さすが!
眼帯野郎は、稲妻を見て、距離を取ろうと後ろへ下がったが、それを二回も見ているコウキくんが、その行動を読めない筈が無い。
眼帯野郎が下がった距離と同じだけコウキくんは前へ進み、催涙スプレーを噴射した。その時、眼帯をめくってかけるのが、コウキくんクォリティ。
「ぐぁっ!!」
眼帯取れちゃった野郎も、オネェと同じように両手で目を押さえる。
誰か、ム○カ大佐みたいに「目がぁ、目がぁ!!」って言うかと期待していたのだが、あれだな。かけ声を「バルス」って言わなきゃダメだったな。
でも、とりあえず視界は奪えた。
俺は、目を押さえて地面で転げ回る一人と二体を見る。
....あとは身動き取れないようにドラム缶に入れて話を聞くだけだが、その方が辛そうだな。
まぁ、頑張ってもらおう。トキサに。




