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今の状況をカンがえる(やばい)

 目覚まし時計がうるさい。

 そうか。 朝か。



 朝 が 来 て し ま っ た 。


 やだなぁ。憂鬱だなぁ。



 ああ、高校行かなくちゃ。


 このままだと留年してしまう。



 能力を持つ学生は、一般的に「能高」と呼ばれている学校に通っている。


 正直俺が通う必要はない。だって能力これ以上強化してもオーバーキルだし。生物兵器が入った缶が出せる時点で、ばれたら国家に捕まる。最低でも強く監視されるだろうな。



 では何故高校になんかわざわざ通っているかというと、それも職業上、国家から疑われないため。


 能高は能力に高めると同時に能力を正しく使うための教育がされる。それも小学校や中学校で受ける教育とは違い、社会へ進出するための教育である。


 もし能高に通っていない、無職の能力者がいるとすれば、社会不適合者の印を押されることだろう。

 それくらいには、国、政府は能力者を良い意味でも悪い意味でも特別視しているのだ。


 俺は、ただでさえ裏で缶という名の「不可思議な現象」を売っている以上、怪しまれたらそれで俺は国家と敵対することになる。


 将来、「井浦の乱」とか「井浦事変」とか、「井浦能力戦争」とか、「イウラム宣言」とか歴史の教科書に載るまである。


 するつもりは無いけど。特に最後。いや、宣言くらいなら....まぁいいや。



 さぁ、問題はその能高の人に爆音缶と幻覚缶を見られてしまった事である。


 まぁ、能高でもほんの一部の人は俺の事を知っているのだが、その人らは信頼関係にあるので、安心できる。


 だが昨日、信頼関係どころか何の関係もない赤の他人に見られてしまったのだ。

 爆音缶と幻覚缶だけが急に使えるようになったと言っても、「そんな急にピンポイントで使える訳無い」とか言われてしまうだろう。



 ああ、今まで『パイン缶屋』として学校の第二の購買として親しまれてきたのに。


 昨日の事を学校に言われたら俺は『パイン缶屋』の愛称で呼ばれなくなってしまう。


 もしそうなったら.....



『パインと桃缶(みかんもあるよ)屋』って呼ばれることになってしまう。語呂が超悪い。




 そんなことを布団の中で考え、余計に行きたくなくなった。



だが、俺は起きる!


........あと5分したら!


..........ごめん!やっぱりなんでも無い。


........いやでも... z.. z... z.... Z..... Z......




[][][][][]



 俺は眠気と十分格闘したあと、やっと起きる。壮絶な戦いだったぜ。

 だが、十分だ!

 最速タイムかもしれない。


 俺は軽い朝食を済ませ、用意をする。



 テレビをつけると、ニュース番組で違法薬物を扱っていた集団が、「謎の現象」により事故に遭った事をやっていたので、咄嗟にテレビを消した。きっと俺とは無関係だ(白目



 そして逃避する気分で家を出る。



「おお、今日は早かったね?」


 玄関先で俺に声をかけてくれたのは、お隣さんのお隣さん。名は(ミチル)煌輝(コウキ) 超キラキラなネーム。漢字で書くとキラキラって読めるっていう意味で。それと名前だけでなく、髪の毛もキラキラな金髪だ。



 キラキラしててビリビリする能力の割には気さくな奴である。


「おう、いつも待っててもらって悪いな」


「なんだよ急に。いつもの事だろう?それに僕は君と行きたくて待ってるんだよ」


「....なるほど」


 超イケメン。それとたまに、一緒に歩いていると女子から腐った目で見られる。



 彼は当然、能高Sクラスで、成績優秀でスポーツ万能な超お得物件である。

 しかも俺の能力の強さと、いろんな事情を解ってくれていて、秘匿してくれているのだ。



 だがやはり立場の違いというものは残酷で、彼は「パイン缶屋とさえいなければ」と言われてるっぽいんだよな。

 だが彼はそれでも一緒にいてくれる。一部の女子から腐った目で見られる。


 このままだと、今後も彼は「パインと桃缶(みかんもあるよ)屋とさえいなければ」とか言われ続けるだろう。いや、言われないか。語呂が悪すぎるし。



「んじゃ行くか」


「ああ」


 ついでに、お隣さんの重力操作ちゃんは黒髪美少女である。どうでもいいがグラ子って呼んでる。コウキと合わせて能高の序列は同列で1位。美少女と美青年。


 あれ?俺、お邪魔でした?

 まぁそうだろうな。彼女とはなんか距離置かれているし。

 でも彼女も俺の全力知ってるんだよね。言わないって言ってたし問題無いだろうけど。



「グラ子は相変わらず先に行ったのか?」


「そうだね。別の友達と行くって言ってたよ」


「そか」


「...今日は本当に珍しいね。彼女のことを聞くだなんて。変な缶ジュースでも作って飲んだのか?」


「いや、少し落ち着かなくてな」


「何かあったのかい?」



 言おうかどうか迷ったが、言わなかったらどうしようもないので、昨日のことを相談してみる。



「....なるほど、でもそれしか見られていないんだろう?対国家レベルの缶じゃないだけ良いだろう?」


「そうなんだけどな」


「それに、言わないと約束してくれたんだろう? 彼女は同じSクラスだけど、責任感のある人だから大丈夫だよ」


 コウキくんは明るく言ってくれているが、イマイチ不安が拭え切れないでいる。



「それを人々はフラグって呼ぶんだよな」


 知ってるか? 大丈夫は、いつかdie(ダイ)丈夫になるんだぜ。



「そうだったね。ごめんごめん」


 苦笑していても普通にかっこいいコウキくんを見て、俺もなんとなく楽観的になってきた。



「まぁ大丈夫か」


「それこそフラグなんじゃないのかい?」


 ........


「やっべ」


 今の「やっべ」にはフラグを立ててしまったという意味と同時に...


  ....見事に回収してしまったとかもしれないと言う意味も含まれている。


 どういう事かと言うと....


「ははは..もう回収かい?」



 俺とコウキの視線の先には、通学路のど真ん中で腕を組んでこちらを見ているグラ子と....


 .....その隣には昨日の....えーと....ユカリヨさん?が立っていた。



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