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ポイ捨てには気をつけましょう(特にスチール缶)

作者の都合により、話の区切りが悪くなってます。すみません。

 この学校の科目は、特別な科目が多い。理由は勿論、生徒が能力者だからだ。


 その一つが、今日の一時間目にある〈能力体育〉である。当然、普通の保健体育もあるのだが、それとの違いは単純で、競技中の能力の使用がアリなのかナシなのかの違いだ。



 だが、Eクラスの能力体育は、普通の保健体育とほぼ変わらない。その理由も至って単純。Eクラスには汎用性の低い能力だったり効果が薄い能力、つまり弱い能力の所持者が集まっているからである。


 能力の強さの基準が、Sクラスが一番上、そこからA、B、Cと下がってゆき、一番下なのが、俺のいるEクラスだ。


 だから、別に能体だろうが保体だろうが普通のバドミントンになると思っていたのだが........



「今回の能体はなぁ、特別にSクラスに相手をして貰える事になったぞ!喜べ!特に井浦!」


 そう勢い良く言ったのはEクラス担任、八頃(ピッコロ)である。今にも「魔貫光○砲!」とか叫びそうな勢いだ。



「なんで俺限定なんだよ」


 って言うかそもそもそんなサプライズ用素はいらない。言うならもっと早く言えし。わざわざ登校中ユカリヨさんに報酬の話する必要無かったんじゃね?



「お前だけ入学から能力が全く成長しないからだ。」


「ダメじゃん。今日バドミントンじゃん。缶使う要素皆無じゃん」



 何なの?ハゲなの?


「頭を使え。 頭を!」


「俺が将来ハゲたら使います」



 俺がそう言うと、八頃(ピッコロ)の輝く頭に、血管が浮かび上がる。



「よし分かった!お前は序列一位の二人と戦わせてやる!」


「え、ちょ、理不「返事はハイだ!」...いえっさー」



 抗議しようとしたが、言葉を被せられた。


 本当、勘弁して欲しい。序列一位のコウキとなら良いが、問題はもう一人の同列一位さんだ。能力規制があればいいのだが、多分あっても俺が得点を取ったら、即能力規制を破るだろうお方。



「良し。では第一能力体育館に集合だ!解散!」


 何が良しだよ。何をもって良しなんだよ。脳みそナ○ック星人だろあいつ。本当、ナメッ○星の方々に申し訳ないわ。



 そう思いながら俺は体育館へ向かった。




 [][][][][]



 体育館のバドミントン用ラインに囲まれ、足には来客用のスリッパ、右手にはラケット、正面にはピンと張られたバドミントン用ネットがあり、そしてその奥には笑みを浮かべたグラ子がいる。


「ルールを確認するぞ?」


 ネットの傍にいる先生が言う。先生の後ろにはクラスメイトや、コウキやユカリヨさんが座って見ている。完全に見せしめ状態だろこれ。



「ゲームは10ポイントマッチ、能力使用はシャトルの動きに影響が出ないようにする事。これでいいな?」


「はい」

「いいえ」


「よし。では、始め!」


 無視か?俺の意見は無視か?いいえって言ったのに!? 俺に拒否権はありませんってか?



 そう思っているとグラ子がサービスを打っていた。

 少し高めの軌道。ここまでの重力はいつもと同じだ。



 これはアレだな。パターンCだな。


 俺が飛んできたシャトルを打ち返そうとした瞬間に、ぐわんっと、身体とラケットが重くなる。予想はしていたが、思った以上に重い。


 だが、振れない程度ではない! 俺はラケットの面をシャトルに当てようと、腕を力いっぱい振る。


 そして、ラケットの面がシャトルのコルク部分に当たると思った時、急に重力が減り、すべてが軽くなる。



「....なっ?」


 そう声に出したのはグラ子だ。俺は、思い切り振ろうとするフリをして、本当は最初から手首の返しだけで返すつもりだったのだよ!


 これがパターンC。相手がラケットを振っている間に重力をかけて力を入れさせ、当たる瞬間に重力を軽くして、アウトにさせるグラ子の作戦だ。中学の頃、超やられた。


 だが!今の俺には通用しないのだ!



 グラ子は、俺が全てを予想してネット前に落としたシャトルを一瞬反応が遅れたが取りに行こうとする。だが俺は左手にスチール製の空き缶を出し、グラ子の足に向けてネットの下から転がし込んだ。



「やんっ!」


 グラ子は俺が転がしたスチール缶を見事に踏み込み、転倒する。

 グラ子が転倒する瞬間に可愛い声が聞こえた気がするんだけど誰の声なんだろうな? まぁいいや。とにかく俺のポイント!


「っしゃあ!」


 俺はガッツポーズをする。これが俺のやり方だ!



「「すげぇぞ井浦!」」


「「さすが井浦くん!」」


「かっこいいぞー!顔以外。」


「パイナップルー」


「スリッパー」


 見ていたEクラスの声援に、手を上げて応える。最後の三つには中指を立てて応える。特に最後。履いてるだけじゃん。


 だが、そいつらの声援は急に収まる。




 そして、それと同時に、身体が重くなっていく。



「あの、グラ子さん?」


 立ち上がったグラ子の少し顔が赤い。そんな空き缶で転んじゃった事ぐらい恥ずかしくないよ?



「もう、一点も取らせないっ」


 ムキになってんのかな?



「いや、これは体育だから、やめて、ホントやめてください....」


 ホントやめて、重力やばくて腕が上がらないんだけど。 


「くたばれ井浦」


 あっ....ちょ、重い重い重い重い。これテクニカルファウルじゃね? 先生は何さっさとサーブ打てって顔してんの? 重力かけられてるんよ俺?ええっ、うそーん。





 結局バドミントン対決は、俺は空き缶だけでは重力には叶わなかった。学校じゃなかったら缶乱用で勝てた。かもしれない。

 八頃せんせーのルビについてですが、字を伏せるとルビにならなかったので伏せていません。ピッ○ロさん、申し訳ありませんでした。なのでその構えをやめてください。やめっ(略


 


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