表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/64

この世界についてカンがえる(さむい)

 井浦くんだよ。

 突然で悪いが、俺は今、路地裏で缶ジュース飲みながらこの世界と俺の能力について考え直している所なのだよ。



 この世界は能力を持つ人間がいる。特定の何かを操ったり、何かを特定のものに変化させたり。


 だが、人間が能力を持つと目に見える格差ができてしまっているのが現状だ。


 例えば、持つ人間と、持たない人間。ただ、それならまだ良い。

 何故なら持つ人間は能力を高める環境へ、持たない人間は、知識を高めるための環境へ行かされる。つまり、能力が無くても知識の差で、それを埋められるのだ。


 俺が言う格差とは、能力の種類だ。 自分の容姿と同様。能力の種類は選べない。

 だから、その種類で強力かどうかが判断され、格差ができてしまうのだ。


 これだけで、俺の立場が大体分かっただろうか?



 俺は、能力を持って産まれてきた。


 だが、それは実に弱く、ふざけた能力だった。



 それは、「缶」を作る能力。


 缶って缶だよ。あの缶だよ。笑えるだろ?



 隣人は、重力が操れた。そのまた隣人は、電気が操れた。

 両者も、能力そのものが強すぎた。

 両者も、最強クラスの能力だ。




 比べて俺の能力は、ギャグにもならない。



 格差なんてものじゃあなかった。


 今でも差別される事だってある。



 だが俺はー



「誰かっ....!そこの人ッ...助けてッ...」


 おっと、邪魔が入った。



 俺は、とりあえず手元にある『超炭酸 ヤバイぜビタミン』を飲む。


「おぉおぉ。そこの缶ジュース飲んでるお兄ちゃん、こんな路地裏にいたら...そこの女の子と一緒に俺の炎の餌食になっちゃうよぉ?」


 なんかいかにもヤンキーな喋り方の男がこっちに来て、俺になんか言ってる。

 よく聞こえなかったので、聞こえたワードだけ声に出してみる。


「えっ?何?缶ジュースは路地裏の餌食?」


 そうなのか。知らなかったなぁ。


「ちげえよ!とにかくそこの女を出してあっち行け。そしたら見逃してやる。」


「この女の子と隠れ鬼でもやってんの?」



「....ハハハッそうだなぁ。隠れ鬼をやってんだよ。だからその女を寄越せ。」



「そんなよー、隠れ鬼なんかより、俺と一緒にさー

ー 缶 蹴 り し よ う ぜ ? 」


 そう言って『超炭酸 ヤバイぜビタミン』の缶を見せる。ただ、その缶には先ほどの缶とは違い、「取扱注意」の文字があった。


「ハァ?お前本当に俺に焼かれてぇようだなぁ?」


「何?鬼の役やりたいんですかー?」


「ッっ!!調子に乗るんじゃねぇぞ!」


 うるさい。そして熱い。俺の目の前では火柱が上がっている。ああ、熱い。


「はいはい。じゃあ、この缶受け取れよっと」



 その瞬間



 パァン!!


そんな音が鳴り響く。

 それは俺が缶を蹴った音でも、このヤンキーっぽい人に缶が当たった音でも無く、俺が蹴った缶そのものから発せられた音だ。



音が鳴り終わった後、目の前のヤンキーは気絶していた。



 これが俺の能力。


『超炭酸 ヤバいぜビタミン』の缶を作った。

 ただ、中身は 『超爆音 ヤバいぜ音が 』って感じ......つまりただ音で気絶させただけ。


 ....いや、やろうと思えば猛毒缶とか爆発缶とか作れるのよ?

 ウラン製の缶で爆発缶とかその気になれば作れちゃうよ?

 まぁそんな事しないけどね? そんな悲劇は起こってはいけないと井浦くん思います。



 うん、まぁ、あれだ。



 つまり、


  ークソ能力を、俺は馬鹿みたいに使っていたら、能力はどんどん強化されたのだ。


 能力の格差? ああ、あいつを殺せないっていうのは嘘だよ。丁度今、缶詰めになって出荷されている頃合いだな。




 って事をさっき思っていた。



 そしてその結果、


「俺は缶屋と呼ばれている。」



 俺はとりあえず、助けた女の子に名乗る。



「困った事があったら、缶屋をご贔屓にー。」


 ついでに宣伝をした。



 女の子が口を開く。お礼かな?お礼なんていらないぜ? 俺は自称紳士だからな。


「....ねぇ、一つ聞いていいかな?」


  お 礼 じ ゃ な か っ た 。

 だが、この女の子は質問があるようだ。俺は紳士的に対応する。


「どうぞー?」



「君、井浦くん?」


「井浦くんだよー?」



「....空き缶とパイナップルの缶詰めしか作れない事で有名な?」


「学校ではそうゆう事になってる井浦くんだよー?」



  ....ん!?

 これは急展開でござるな。


「私の事....知ってる?」


 誰だか知らないけど。だが知らないなんて言ったら自称紳士のプライドが傷ついてしまう。


「ああ、あれだろ?同じ学校の........ジェシカだろ?」


 俺は遠回しに知らないという事を伝えたが、言った後にこの言葉は失礼だったと後悔する。俺は....紳士なんかじゃあなかった.......



「....よく分かったね。」



「ええぇ!!合ってたー!!!」


「嘘よ。やっぱり私の事知らないか。」


「なっ!」


 はめられた....だと........さっきの言葉は...ブラフだったのか........



「私は貴方と同じ学年の、白咲 ゆかりよ。」



「ああ、ユカリヨさんね。」


 ルカ○オみたいな名前だな。能力はたぶん波動弾とか撃てる能力かな?メガシンカはするのかな?



「ユカリヨじゃなくて 、ゆかり 。.......まぁ、二度も名前を間違えた事は助けてくれた事に免じてチャラにしてあげる。」


 やったぁ。助けた事がチャラにされちゃったぞぅー?



「まさかEクラスの貴方がSクラスの私より強いなんて思わなかった。....屈辱ね。」


「...そうっすか。Sクラスでしたか。高校ガチ勢の方でしたか。なんかすみませんね。」


「それ謝ってるつもりなの?」


「超謝ってるよ?」


「今日の事、学校の人達に言って良い?」


「すみませんでした。もう本当、すみませんでした。あと六回くらい言いますから許してください。」


「....わかったよ。言わないから。」


 良かった言われたら今後の予定が狂う。


 そもそも学校の人にばれた時点で良くないけど。


「それにしても、井浦くんがねぇ。」



「どうも、井浦くんでした。」


 俺は逃げるを選択した。



「ちょっと?待って!!」


 彼女は俺の姿を掴む。だが...


「それは俺の姿の幻覚を見せる缶だ! ではまた会おう。じゃなくてもう会わなくていいや。」



 そう叫び、俺は逃げたのだった。

主人公が女の子を助けましたが、そこからドキドキ♡ラヴコメディまでには発展しない予定なので期待はしないでください。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ