表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リスニングだけで英語力をどこまで上げられるか  作者: 多雨
リスニングだけで英語力をどこまで上げられるか(前編)
3/16

2010年4月 早くも計画は頓挫する

 初日。マザーグースを聴きはじめた私の背筋に、悪寒が走りました。かなり精神的にきついものがあります。せっかくの素晴らしい詩を楽しむどころではありません。

 職場に着いた途端、私はイヤホンをむしりとって、あらかじめ用意しておいた頭痛薬を飲みました。予想以上の苦行ですが、これを克服しなければリスニング計画は瓦解してしまいます。


 そして、常に肩こりと頭痛と、いらいらした気分に悩まされながら聴き続けること半月。

 ようやく肩の力が抜けて、英語の内容に耳を傾けることができるようになりました。

 いったんその状態に入ると、さすがはマザーグースと言うべきか、リズムも響きも心地よく、英語でもその楽しさが伝わってきます。「ジャックの建てた家」は子供の頃に読んだ時も大好きだったのですが、耳で聴くと落語の「寿限無」に共通するものがあるような気がして、読書とは違ったオーディオブックならではの楽しみがあることを知りました。


 しかし、4月の終わり頃、私はふと疑問を抱いたのです。

 いくらマザーグースでも、リスニング初心者の私にここまで理解できるのはおかしいのではないかと。あまりにも相性が良すぎることに、違和感を覚えたのです。

 私は何気なく、御者とか納屋の干し草とか、女性が膝を曲げて古風なお辞儀をすることを示す1語の動詞とかを受け入れてしまっていました。しかしよく考えてみると、全部、歴史物やファンタジーで仕入れた語彙なのです。そんなものが、社会科学系の英語文献に出てくるわけがありません。

 要するに、私の趣味でオーディオブックを選ぶということは、好みのジャンルの原書を読んでいるのと同じ状態なのです。このままでは、必要な語彙が増えようはずがありません。


 オーディオブックを楽しく聴いて語彙を増やすという、甘いプランでは駄目だったようです。次はレイ・ブラッドベリの『火星年代記』に挑戦する予定で、実はすでにファイルも準備していたのですが、諦めて方向転換することにしました。


 最短で語彙を増やす方法といえば、そう、単語集です。

 ただ、高校時代にやらされた学校英語のことなど思い出したくなかった私は、単語集というジャンルの存在からあえて目をそむけていたのでした。しかし、3年と決めた期限を考えると、さすがにそうは言っていられなくなってしまいました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ