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リスニングだけで英語力をどこまで上げられるか  作者: 多雨
リスニングだけで英語力をどこまで上げられるか(後編)
12/16

2012年 さらに素材を増やす

 直接的な収穫がなかったTOEIC受験でしたが、リスニングの試験で1つだけ気づいたことがあります。

 北米式の発音なら、内容が理解できるかどうかは別として、音そのものは拾うことができました。しかし、それ以外の地域になると知らない音が多すぎて、手も足も出ませんでした。

 これは、私の「耳」がようやく、北米の発音で固まったことを意味するのではないか、と思ったのです。


 リスニングを始めた当初、米国人ナレーターのデュオ基礎編と、英国人ナレーターのマザーグースを一緒に聴いていたのに、発音の違いに全く気づかなかった私です。それほど私の「耳」は、あまりにも未熟で、何も分かっていませんでした。

 だからこそ、リスニング音源を選択する時は、いつも北米出身ナレーターにこだわってきたのです。

 でも、今なら、違いを違いと認識できるかもしれない、きちんと別の音として処理できるかもしれない、と思いました。




 1月末、申請していた2つ目の小さな資格が認定されたことを知った私は、その勢いに乗り、思い切って英国人ナレーターが参加しているリスニング音源を取り寄せました。

 おそるおそる聴いてみると……その人のところだけ、さっぱり分かりません。

 歩きながらリスニングしていた私は、思わず拳を握り、小さくガッツポーズを取りました。

 音の違いが分かるということが、どれだけすばらしいことか。リスニングを始めてから2年近くをかけて、ようやくここまで辿りついたのです。


 アメリカ英語とイギリス英語の変換パターンは、音声学のテキストを熟読する羽目になったので、1年以上経っていても何となく頭に残っていました。

 それを思い起こしながら聴いていると、確かにその通りだと納得させられます。

 私はさらに、別の英国出身ナレーターの音源を取り寄せました。同じパターンが聴き取れます。




 これ以降、私はナレーターの出身国を気にすることなく、リスニング音源を選ぶことができるようになりました。実は役に立ちそうで気になっていたのに、ナレーターの問題で諦めていた教材もあったのです。

 日本語ナレーションが不要という点は変わりません。ですが、選択の幅は大きく広がりました。ただし、一気に増やすと予算的にきついので、今までと同じように、少しずつ増やしていきました。




 当時、もう1つやってみた試みは、全体的に再生速度を上げることです。

 初級者向けから上級者向けまで、レベルは特に気にせず選んでいたので、読み上げ速度にかなり差があり、違和感を禁じえなかったのです。不思議なことに、どのテキストでも、ネイティブが自然な速度で読んでいると主張しているので、私には分からない暗黙の了解があるのかもしれません。

 初級者向けの「自然な速度」は基本的に遅めなので、思い切り再生速度を上げ、上級者向けは少しだけ速くする程度に留めておいて、全体のバランスを取りました。

 こうして速度が揃ったことで、違和感が解消されてすっきりしました。ついでに携帯プレイヤーの空き容量も増えたので、二重に嬉しかったです。

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