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リスニングだけで英語力をどこまで上げられるか  作者: 多雨
リスニングだけで英語力をどこまで上げられるか(後編)
10/16

2011年 素材を少しずつ増やす

 最初の3冊の単語集だけでは、意味が把握できない単語がまだまだ多い、そう判断した私は、少しずつサンプル用のリスニング素材を増やしていきました。

 単語集にこだわるのも肩が凝ると思ったので、内容はそれほど気にしないことにしました。特に私の場合は、思いがけない基本的な単語や慣用表現がすっぽ抜けていることが多いので、どの音源でもそれなりに学ぶことがあったのです。


 当時の私が選択基準にしていたのは、次の2点だけです。日本語ナレーションなしの音源であること、ナレーターが北米出身者だけであること。

 北米出身のナレーターにこだわったのは、国籍差別ではなく、当時の私の「耳」があまりにも未熟だったからです。

 北米だけでも精一杯なのに、他の地域の異なる発音まで対応できるわけがありません。

 白状すると、カナダ出身の方も避けたいぐらいでした。というのも、カナダ英語はほとんど米国と同じ発音なのですが、よりによって私が一番苦手な音に微妙な違いがあるのです。仕方なく、データに入れているナレーター名の後ろに、出身国をUS、CAとアルファベット二文字で書き込み、CAの方の時は細心の注意を払いながら聴いていました。差別ではなく、こうやって区別しておかないと、私の耳が大混乱に陥ってしまうのです。本当に苦肉の策でした。




 最初の1年が終わり、3月末、私は1つ目の資格を無事に取得しました。

 そして4月から、今までよりも条件のいい職場で働き始めました。通勤時間が往復1時間半になったので、リスニングの1日平均時間も増えました。




 そして、リスニングの音源にサンプル英文をどんどん投入し、複数の文脈の中から語彙を体得していく方法ですが、私に関してはうまく行きました。

 新しいサンプルがきっかけで、今まで分からなかった言葉の意味が判明することもありましたし、同じ内容を繰り返し聴くことで徐々に意味が分かることもありました。


 ただし幾つかの問題はあります。

 まず、音で認識しているので、読めますが書けません。それに、英語を英語のままで捉えているので、和訳できません。私にとって、英語と日本語を行ったり来たりするのは苦痛なのです。

 それから、聴いて覚えられる言葉かどうかは、どの分野の言葉か、そしてどんな内容の文章に含まれているかによって、かなり左右されます。

 例えば、2か月ほど前(2015年3月)、「人事部」という表現があることにようやく気づいたのですが、これは初期の頃からサンプルに含まれていて、しかもあちこちで連呼されている頻出用語だったのです。さすがにこれには、ナレーターの皆さんに本当に申し訳ない気持ちになりました。でも、私は特に、ビジネス関係の内容に全く興味が持てないので、なかなか覚えられないのです。ですから、他にも気が付いていない重要表現が残っているかもしれません。


 しかし、これくらいのデメリットはあってしかるべきでしょう。リスニング限定で、聴き流すだけという、とてもお手軽な方法でやっているのですから。徐々に語彙が増えていくのを感じながら、楽な方法を追求してきた甲斐があったとしみじみ実感しました。

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