プロローグ
そもそも私は、英語にもちろんのこと語学全般に対して全く興味はありませんし、当然、好きでもなんでもありません。
なのにどうして、そんなものを勉強する羽目になったのか、ということで、このエッセイは、英語とは全く関係ない、ごく個人的な事情から始まります……
私はかつて、高卒ひきこもりニートだったことがあります。だからなのか、大学院に強い憧れを抱いていました。大学ではなく、大学院です。
社会復帰し、働きながら大学を出てもなお、憧れはやみませんでした。それどころか、手に届く位置に辿りついたことで、ただの憧れは実現可能な夢となったのです。
私が働いている業種では、大学院に行っても全く意味がありません。頭の出来も大したことはないので、研究者になれる可能性は皆無ですし、なりたいという気持ちもありません。
このように何一つメリットのない大学院進学ですが、それでも私は夢を叶えたくなりました。そして、2009年9月に大学を卒業してから半年も経たないうちに、誰にも言わずに大学院進学を目指すことを決意したのです。
ここで問題となったのが、英語でした。
私が行きたい大学院の場合、社会人入試に英語は必要ありません。しかしシラバスを確認すると、必修科目の一つに、英語文献を読んで発表するという内容があったのです。しかも私が一番苦手とする、抽象的な理論系科目です。日本語で書かれた文献でさえ私には意味不明なことが多い領域だというのに、英語文献に太刀打ちできるとはとても思えません。でも何としてもこの科目で2単位を取らないと、大学院を修了できないのです。
だからこう考えたのです。どうせすぐに入学することはできない。まずは大学院のための学費を3年分、最短の2年で修了できない可能性を考えて貯めなければいけないし、もっといい職に就くために取っておきたい資格もある。それなら、これから3年かけてお金を貯めよう。そして資格を取り、その合間に英語力を何とかしようと。