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乙女ゲームの攻略対象に告白したモブの話。

読みにくいかもしれませんが、まあ妥協してください。

「好きです。付き合ってください」


 高校3年生の春、私は好きな人に告白をした。好きになってもう5年。

彼が、乙女ゲームの攻略対象(・・・・・・・・・・)だということはわかっていたけれど。

え?何でそんなことがわかるのかって?……そんなの決まっているじゃないの、テンプレです。

私に、前世の記憶(・・・・・)というものがあるから。

彼、水上誠くんは私が前世ではまっていたとある乙女ゲームの攻略対象キャラ。

このゲームのヒロインは先月、この誓歌学園に入学してきた。

水上くんはヒロインの先輩という立ち位置で、人気キャラ投票で常に上位に入っていたキャラだった。

脅されなきゃ告白なんてしないつもりだったのに……。こんな形での告白とかないわ。

ああ弟よ、なんで捕まったんだお前。

 

「……」


 水上くん、黙ってないで答えをください。

君、いつもは即お断りしていたでしょ?好きな子がいるって。昨日もそう言っていたし。

私の友達に水上くんが好きな子がいるんだけどその子毎日告白して振られてるんだよね、いつも同じ言葉で。

……いや待てよ?ゲームでは好きな子なんていなかったはず。

私のクラスの女子は皆好きなのはヒロインのことだと思っていたんだけど、水上くんが好きな子がいるっていって告白を断り始めたのは7年前。……7年前から同じ人が好きなのかな?というかそんなことよく覚えてたな、私。

ずいぶんと長い片想いだなぁ。……って私もあまり人のこと言えないかも。

 

「……に、……いの?」


「え?」


 うわやっちゃった。聞き逃した……。

お願いします、もう一度言って下さい!まあ答えなんかわかりきってるけど。


「本当に、俺でいいの?」


「はい。もちろん!」


 ……ってアレ?

どうしてしてこんな返事が返ってきた?!そりゃ私としては嬉しいのだけど。


「じゃあこれからよろしくね?莉子」


 そう言って彼は私を抱きしめる。


 いやほんと嬉しいんだけど……どーしてこうなった?



***************


「やっと俺のものだ……」


彼は薄く微笑み、よりいっそう彼女を強く抱きしめる。


これはイケメンの皮被った狼さんに自ら捕らえられに行った哀れな子羊さんの話だ。



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