きっかけ 3
ごみが散乱し、いかにも人相の悪そうなキャラクターが闊歩している町の裏路地で、ポーションを飲みながら座っているキャラクターがいる。僕のキャラクターだ。
MAMAから受けた傷を癒し再戦のため策を練っているところだ。
次こそは勝つために。
まずはハイドをして攻撃するのは確定だ。これで確実に一撃は入れることができる。だがクリティカルになるスキルを発動すると今回の二の舞になりそうなので二秒間だけ相手をめまいにし動きを止めるスキルを使おうと思う。そしてその次にどうするか。これがなやむ。
持っているスキルのなかで何かいいのがないか探しながら、僕は現実でポットボトルからお茶を一口だけ飲む。そして再びプログラムの世界に入りスキルの構成を練り始める。
時間をかけて調べた結果、僕はいいものを見つけた。それは突撃スキルで威力はないが三秒間めまいにするというものだ。
ハイドからのめまい攻撃、突撃スキルこれで五秒時間を稼ぐことができるそしてハイドが切れる前にクリティカルの攻撃を叩きこみ続ければ勝てるかもしれない。だが相手のめまいが切れた瞬間の範囲攻撃には気を付けなければいけない。
姿が見えないのなら範囲で巻き込み、攻撃しハイドをはがすのが常識だからだ。
だがこれではやはり運に頼る部分が大きいのでもう少しよく考える。どう五秒間をうまく生かすのか、スキル構成にもっと修正できる点はないか。など詳しく考えていく。スキルは発動に一秒ほどかかるためめまい攻撃の二秒の硬直のうち一秒は突撃スキルに使われる。すると一秒と突撃の三秒で四秒さらにスキルの硬直を入れれば三回スキルを発動できる。
――さてどうしたものか。
たった三回で純戦士を落とす。これは難しい。
クリティカル攻撃では五分の一しか削れなかった。三回で五分の三。圧倒的に火力が足りない。めまい攻撃のクール時間は十秒逃げ回れば勝てるだろうか。だが相手はランキングにのるほどの実力者。五秒も逃げ回らせてもらえるだろうか。
なら攻撃をしないで妨害を加えたらどうか。鈍足効果の攻撃で動きを鈍らせめまいのサイクルを二回あてるというのは。
妨害系のスキルで使えそうなのは鈍足効果、防御ダウンなどだ。
鈍足効果は通常攻撃に鈍足がプラスされてあたった相手の行動速度を十秒間下げるというものだ。防御ダウンはダメージを与えないが三秒間相手の防御を三割減らすというもの。
三割減らすこれは集団で一人を倒すときには有利だが自分ひとりだけだった場合は二回攻撃したほうが強い。やはりめまい突撃攻撃攻撃鈍足でその後投げを使ってにげもう一度繰り返すしかないだろうか。よしそれでいこう。まずは連携の確認だ。
幸いここには殺す的がいっぱいいる。僕はハイドをクリックする。
そして消えた影は裏路地のプレイヤーを片っ端から殺していく。
――これはいい。だがこいつらは軟すぎる。
裏路地のプレイヤーはハイドからのめまい二発のあとの、クリティカルで沈んでしまうためやはりぶっつけ本番になってしまう。
ハイドのクールが終わった俺は商店街に走る。
屋根から屋根へジャンプし疾走する。
そうして商店街についたのだがMAMAはいない。死体もかすかに残っていて放置していた人が巻き込まれていたことがうかがえる。
俺はMAMAが何を買っていたかを思い出す。たしかあそこは魔法薬の店。ということは回復薬か何かを買っている。あの強さだとたいていのモンスターには勝てるからダンジョンか? MAMAの適正レベルから言って町の郊外にあるダンジョンだろうか。
俺は足を速くするスキルを使いダンジョンめがけて走る。途中じゃまなプレイヤーを蹴り飛ばしナイフを投げて怒らせながら走る。
そうして郊外についたそこには今にもダンジョンに入ろうとしているMAMAがいた。
――よし。ぶっ殺す。
僕はハイドを自分にかけ今にもダンジョンに入ろうとしているMAMAにむかってスキルを発動する。めまい二秒間。そのうち一秒を使って突撃スキル。めまい三秒間。
――のこり三回。
クリティカル攻撃。これでMAMAの体力が五分の四になる。
――のこり二回。
クリティカル攻撃。のこり五分の三。
――のこり一回。
鈍足攻撃。体力は全然減らないが鈍足効果で動きを鈍らせる。
僕は毒の投げナイフを投げながら距離を取る。
――めまいのクールはあと五秒。
MAMAはめまいが治った途端、範囲攻撃をくりだしあたり一帯を薙ぎ払う。しかし僕はそこにはいない。
僕は投げナイフを投げ続ける。投げた位置が特定されないようMAMAを中心に円を描くように移動しながらだ。
MAMAはそれに気づいたのか一歩前に出るそしてからの範囲攻撃の嵐。少し移動しては範囲であたりを片っ端から攻撃していく。
僕はそれに巻き込まれないようナイフを投げるのをやめ逃げに専念する。
――クール完了。
これは勝った。投げナイフにより五分の二まで体力が減っているMAMA。僕は突撃スキルを発動し一瞬で近づきめまいにするそしてめまい攻撃を繰り出し、そしてクリティカル攻撃を繰り出した。
だがMAMAの範囲攻撃によって吹き飛ばされ体力を半分削られてしまった。
――状態異常解除スキルか。しまった。
状態異常の解除。それは自分に害のある効果を解除してしまう便利なスキル。それによってめまいと鈍足を解除されてしまった。
だが僕はポーションを飲む。半分しかダメージを受けなかったのだ。これであと一回は受けても大丈夫だ。
だが相手もそれは同じだポーションを飲み体力が五分の三まで治ってしまった。
ポーションは八秒に一回しか使うことはできないここからが正念場だ。
クールが終わればかてるが残り六秒。
そこでMAMAが動き出す。
とっさにうしろに下がったが無意味だった。MAMAの突撃スキルの範囲からは逃げられなかった。一瞬でめまいになる僕のキャラクター。嵐のような連撃を繰り返すMAMA。
こうして僕のキャラクターは殺されてしまったのだった。




