取材班の車も見せちゃいます。近藤とプレオRS、峠の軽カー道。
読者の皆さん、こんにちは。STREET PHANTOM取材班の近藤です。
いつもは取材する側なんですが、今号は編集長・ジンに「お前の車も載せろ」と言われたので、自分で自分の車を紹介します。照れくさいですが、よろしくお付き合いを。(´∀`)
それから最初に宣言しておきます。
打倒、アルトワークス。
これが今年の目標です。
プレオRS、と聞いて笑わないでほしい。
「プレオ?」と言いましたね。「軽のトールワゴンじゃないですか」って思いましたね。わかります。でも聞いてください。
スバル プレオRS、型式RA1、5MT。エンジンはEN07型直列4気筒DOHC、インタークーラー付きスーパーチャージャー。最高出力64馬力、最大トルク10.5kgmを発生する HKS、軽自動車の中でも特別なスポーツグレードだ。しかもプレオRSの前身はヴィヴィオRX-R。あの伝説のスポーツ軽の血を直接引いているという事実を、まず知っておいてほしい。
そして重要なのが駆動方式だ。プレオRSはFF。それが峠での武器になる。軽量FFはコーナリングに独特の楽しさがあって、「スライドさせながら曲がる」という軽カーならではの操作感がある。
「でも64馬力でアルトワークスに勝てるの?」
現状は無理です。でも、ここからです。(笑)
EN07スーパーチャージャー、このエンジンはすごい。
まずこのエンジンのことをもう少し深く話させてほしい。
EN07はスバルの直列4気筒660ccエンジンで、排気量1リットルあたり約97馬力という出力密度を持ち、軽自動車の過給エンジンとして高い水準にある。しかも過給機はスーパーチャージャーだ。ターボと違って回転数に関係なく過給が始まり、低回転からトルクが立ち上がる。峠のタイトなコーナーでも「踏んだら来る」感覚が鋭い。
そしてプレオRSはハイオク仕様という軽カーとしては異例のスペックを持つ。それだけエンジンの圧縮比と過給圧にこだわって作られた車、ということだ。
「なんでターボじゃなくてスーパーチャージャーなの?」とよく聞かれる。スーパーチャージャーはエンジンの回転と直結して動くため、ターボのようなタイムラグがない。峠のクネクネした道で、コーナーを立ち上がるたびにスパッとトルクが来る。これが気持ちいい。
パルスポーツ ブースト1.2k KIT、これが今回の核心だ。
さて、本題に入ります。
今回の仕様で一番のキモはここだ。パルスポーツのブースト1.2kキット(プーリー+ECUのセット)。9万8千円。今月の財布が死にました。(´;ω;`)
パルスポーツはK-CAR専門チューニングショップで、プレオRS用のECU解析を独自に行った数少ないショップだ。ノーマル状態で45.2馬力のプレオRSに、このプーリー+ECUキットと吸排気パーツを組み合わせると87.7馬力まで跳ね上がるというデータが出ている。
仕組みはこうだ。スーパーチャージャーはクランクシャフトのプーリーで駆動されており、プーリーの径を変えることで回転数を変えられる。ノーマルのプレオRSはブーストが最大1.0kほどで、ノーマルECUはそこでブーストカットが入る。パルスポーツのプーリーは1.2kまでブーストを引き上げる設計で、ECUはその燃料増量とブーストリミッターカットに対応したチューニング済みのものだ TOMEI。プーリーだけ換えてECUをノーマルのままにすると燃調が合わず、エンジンにダメージが出る。だからこのセット販売が正解なのだ。
ブーストアップ仕様のプーリーはベルト幅が純正の3PKから4PKに変更されており、高負荷に耐える耐久性が高められている。この辺の作り込みがさすがプレオ専門のショップだな、と思った。
装着後の体感は……正直、笑った。「同じ車か?」という感じ。踏んだ瞬間の頭の出方が全然違う。近所の坂道で試したとき、隣の席の友人が「え、なんか変わった?」って言った。変わりましたよ、大幅に。(笑)
( ・∀・)つ PHANTOM's EYE
パルスポーツのブーストアップキットは「プーリーとECUをセットで換える」ことが前提だ。プーリーだけ先行して換えると、ノーマルECUがブーストカットをかけて過給を抑えてしまうため、本来の効果が出ない。逆にECUだけ先に換えても、スーパーチャージャーの回転数が上がらないのでやはり意味がない。必ずセットで組むこと。あとハイオク仕様になるので給油に注意。プレオRSはもともとハイオク仕様だが、チューンドECUでは特にハイオクを守ってほしい。(゜Д゜)
インタークーラーと冷却、スーチャー仕様ならでは。
ブーストを上げると熱が増える。だから冷却も強化した。
インタークーラーはLSEX-F製に換装。プレオRSには純正でフロントマウントのインタークーラーが付いているが、ブーストアップ後はその容量では追いつかない。吸気温度が下がれば充填効率が上がり、パワーと安定性の両方に貢献する。
冷却水系はAUTOBAHN88のシリコンラジエターホースに換装、BLITZのレーシングラジエターキャップで圧力管理。さらに厚木オート部品の汎用オイルクーラーキット7段も装着した。「7段で足りる?」と思うかもしれないが、660ccエンジンのオイル量は少ないので、7段でも十分な冷却効果が見込める。
燃料系にはAUTOBAHN88製のコレクタータンク2Lを追加。コレクタータンクについてはvol.04の西園寺号の記事で解説した通りで、峠のコーナリング中に燃料が偏って「息継ぎ」が起きるのを防ぐパーツだ。軽量で軽い車体ゆえ、コーナリングGも侮れない。
NGKのプラグコードとADPOW製オイルキャッチタンクも装着済み。「プラグコード換えて意味あるの?」と思う人もいるかもしれないが、チューニングで火花に余裕を持たせることで、高回転域での燃焼安定性が上がる。地味だが効く。
給排気、マフラーの音が変わると世界が変わる。
インテークはHKS スーパーパワーフロー。純正エアボックスを外して直接吸わせる、シンプルだが効果的な定番パーツだ。
マフラーはBLITZ ニュルスペックK。「K」はK-CAR用の専用設計で、軽自動車のエンジン特性に合わせた排気効率を持つ。装着後の音は「これがプレオか?」というくらい変わった。スーパーチャージャーの高回転域に入ったときの音がたまらない。峠の入り口でアクセルを踏み込むたびにテンションが上がる。(笑)
剛性、軽カーこそ補強が大事。
トールワゴンボディは重心が高く、ロールしやすい。補強で少しでもそれを抑えることがコーナリング性能に直結する。
VS-ONE製の前後タワーバーセット、カワイ製作所製のリアピラーバー。この3点でボディの骨格を固める。「軽にタワーバー?」と思った人、入れてみてください。コーナーの入りが別物になります。
足回りとブレーキ、峠に耐える体制を作る。
車高調はオーバーテック ストリートチューニングダンパー、トラクションSP仕様。このグレードはFF車のトラクション確保を重視したセッティングで、前輪に荷重を乗せやすくする特性がある。FFスポーツ走行における「いかに前輪を使うか」という問題に、直接アプローチした選択だ。
「なんでFF専用チューニングのサスが必要なの?」という話をすると、FFはコーナリング中に前輪がステアリングと駆動を両方担っている。リアが自由なFRや4WDとは根本的に挙動が違う。トラクションSP仕様は、その前輪にしっかり仕事をさせるためのセッティング哲学を持っている。アルトワークス相手に勝負するなら、ここは妥協できないと判断した。
ブレーキはスウェッジライン製のスチールエンドブレーキホース、プロジェクトμ B-SPECのフロントパッド、WAKO'S BF-4のブレーキフルードで全部刷新した。BF-4はドライ沸点が324℃という高い耐熱性を持つフルードで、峠の連続ブレーキングでも沸騰させない安心感がある。
ホイールとタイヤ、峠仕様の選択。
ホイールはゴジゲン プロレーサー FN01R-C STV、15インチ 5.0J。軽量鍛造系ホイールとして知られるFN01R-Cは、バネ下重量の軽減という観点から峠走行に有利だ。タイヤはヨコハマ ADVAN フレバ V701。ADVANブランドの中でもウェット性能とグリップのバランスに優れた銘柄で、乾いた路面だけでなく雨の峠でも食いついてくれる信頼感があるという評判通りだった。
軽カーの峠走行ではタイヤが体感の大半を決める。ここをケチらなかったのは正解だったと思っている。
内装、走りに必要なものだけ入れる。
シートはNANIWAYA EZタイプ フルバケットシート、レールもNANIWAYA製。コーナリング中のホールドが段違いだ。「トールワゴンでフルバケ」というのは見た目がやや面白いが、走るためには必要だった。(´∀`)
ハーネスはZ.S.S製の4点式レーシングハーネス。サーキットに行く予定はまだないが、峠での全開走行のために体を固定したかった。ステアリングはHKBボスにデポレーシングの32Φ Mサイズ。「なんでそんなに小さいの?」と聞かれるが、小径ステアリングはロック to ロックの操舵量が減り、クイックな応答になる。軽カーの小回りと組み合わさると、コーナーがどんどん楽しくなる。
メーターはオートゲージの水温・油圧・油温の3点セット、ブースト計、タコメーター F50。ブーストアップ仕様で走るなら、これだけの情報を見られる体制が必要だ。レーダー探知機はBLITZ TL405R。峠でも、法律は守ります。一応。(笑)
インタビュー:近藤、自分に聞く。
編集部の人間が自分にインタビューするのは奇妙だが、せっかくなので本音を書く。
――なんでプレオRSを選んだんですか?
「峠を軽カーで走るのが好きで。小さくて軽い車の方が、自分でコントロールできてる感じがするんですよ。大排気量でパワーに頼るより、小さい車を限界まで使う方が面白い。それがプレオRSを選んだ理由です」
――打倒アルトワークスは本気ですか?
「本気です。今は正直まだ届いてない。でもパルスポーツのキット入れてから、だいぶ差が縮まった実感がある。あとはドライバーの腕だな、と思ってます」
――この車で一番気に入ってる部分は?
「エンジン音ですね。スーパーチャージャーって独特の音がして、マフラー換えてから余計に気持ちよくなった。コーナーの立ち上がりで踏み込んだときの音が最高です。プレオでこの音が聞けるとは思ってなかった」
――次に何をやりたいですか?
「足をもう少し詰めたいです。あと、いつかパルスポーツのDXタービンキットを試してみたい。スーパーチャージャー専用のチューンドタービンで、さらにパワーが出る仕様があるらしくて。そこまで行けたら、アルトワークスに本気で挑めると思ってます」
以上、取材班・近藤の自己紹介でした。
次号からはまたいつも通り、他の人の車を取材します。でも、峠で白いプレオに追いつかれたら……それは私かもしれないので、よろしくお願いします。(笑)




