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STREET PHANTOM(ストリートファントム)  作者: STREET PHANTOM 編集長 神崎
6/20

丸目が好きで何が悪い。新社会人・がっくんとGDB前期丸目、ライトチューンの全部見せます。


「丸目にしたのは、かっこいいからです。それだけです」

開口一番、そう言ってにやっとした。がっくん、22歳。今年の春から社会人になった。就職祝いに何か買おうと思って探したのがインプレッサWRX STI、GDB型、アプライドA/B型――通称「丸目」だった。

「涙目の方が人気あるのはわかってる。でも丸目の顔が好きなんですよ。丸いライトが。なんか愛嬌あるじゃないですか」

編集部は正直に言う。最初は「ライトチューンのインプの話か」と思っていた。でも、取材が進むにつれて、この車の仕様には明確な哲学があることがわかった。


GDB丸目、A/B型という個体の話。

まずこの車の素性を整理しよう。

GDBはヘッドランプの形状から「丸目(アプライドA・B)」「涙目(C〜E)」「鷹目(F・G)」と通称される。がっくん号はその最初期、丸目のA/B型だ。

この型、実はGDB全体の中で独自の個性を持っている。AB型は後の涙目に採用されるツインスクロールターボよりタービン容量が大きく、ドッカンターボを味わえる最後のモデルだ Weblio。つまり「低回転は薄い、でも踏み込んだときの爆発力がえぐい」という、今となっては貴重なキャラクターを持つ個体なのだ。ブーストが立ち上がった瞬間の驚きは、現代のフラットトルク志向の車では味わえない、暴れ馬を乗りこなすような感覚 Weblioと評されるほどだ。

「最初に踏んだとき、マジでびびりました。一瞬なんも起きないのに、急に全部来る感じで(笑)」

それがドッカンターボだ。慣れるまでに時間がかかる。でも、慣れたら病みつきになる。

エンジンはEJ207。スバルが手組みで仕上げるSTI専用の2リッター水平対向4気筒ターボで、カタログ値280馬力。がっくん号はそのEJ207を、今の段階ではノーマルエンジンのまま、周辺補機のリフレッシュを中心にチューニングを進めている。


エンジン周り、信頼性を高める方向で。

エンジン本体には手を入れていない。がっくんの狙いは「まずこの車を信頼できる状態にすること」だ。

ラジエターホースはautobahn88製のシリコンホースセットに換装。純正の経年劣化したゴムホースを一掃し、シリコン化で耐熱性と耐久性を上げる。CUSCOのラジエタークーリングプレートはラジエター前面への走行風の導入効率を高め、冷却性能を補強する。プーリーセットはCUSCO製のアルミ製に換装し、補機類の回転抵抗を減らして実質的なパワーロスを低減する。

CUSCOのオイルキャッチタンクも装着済み。EJ207は横置き水平対向ゆえ、積極走行時にブローバイガスにオイルが混じりやすい。インタークーラーにオイルが入り込むのを防ぐための、必須装備だ。

そしてTOMEI製のタイミングベルトガイド。これは地味なパーツだが、GDBオーナーには重要なポイントだ。EJ20系はタイミングベルトの管理が重要で、ベルト脱落や切断はエンジンブローに直結する。走行距離を重ねた個体を買った場合、タイミングベルト周りの整備は優先事項だ。「前オーナーの整備歴が不明だったので、ここは絶対に自分でやり直したかった」とがっくんは言う。新社会人らしい、しっかりした判断だ。( ・∀・)


ターボ周り、ドッカンをちゃんと制御する。

ブローオフはHKS SUPER SQVシーケンシャルブローオフバルブ、ブーストコントローラーはGReddy プロフェック、ターボタイマーはHKS TURBO TIMER X。インタークーラーにはCUSCOの保護ネット。サクションホースはTOMEI製に換装。この構成でドッカンターボの制御と冷却系の強化を図っている。

「ブーストコントローラーはまだノーマルブーストのまま使ってます。セッティングが怖くて。でも、いつかはちゃんと上げたい」

焦らなくていい。まず乗りこなすことが先だ。


( ・∀・)つ PHANTOM's EYE

GDB丸目A/B型のシングルスクロールタービンは、容量が大きい分だけドッカン感が強い。ブーストコントローラーで圧を上げる前に、まず純正ブーストで完全に乗りこなせるようになることが重要だ。慣れないうちにブーストを上げると、ターボが一気に来たときに対応できずにスピンやコントロール不能に陥る危険がある。「ライトチューン段階でしっかりドライビングを鍛える」がっくん号のアプローチは、実は正解のルートだ。急ぐな、若者。(゜Д゜)



給排気、ここが今回の一番のキモだ。

インテークはHKS レーシングサクション。ここまでは「定番の補強構成」の範囲内だ。

でも、エキマニを聞いてテンションが上がった。TOMEI製、不等長タイプ。

なぜここが重要なのか。GDB型インプレッサはアプライドによってエキマニの仕様が分かれる。丸目のGDB前期型は純正から不等長エキマニが採用されており、涙目からは等長エキマニに変更された 。そしてこの不等長エキマニこそが、インプレッサ独特の「ボクサーサウンド」を生み出す構造だ。不等長エキマニでは排気干渉が発生し、独特のドコドコといったマフラー音が鳴るのだ。

つまりがっくん号は、丸目A/B型という「不等長エキマニ対応車」に、さらにTOMEI製の強化不等長エキマニを入れている。TOMEI EXPREMEの不等長タイプは、純正品同様に非等長設計でボクサーサウンドを残しながら、パイプ径変更やステンレス材質の採用によりさらに乾いたクリアなサウンドを引き出し、加速時の気持ちよさを追求した設計になっている。

ボクサーサウンドをさらに研ぎ澄ます、という選択だ。

マフラーは柿本改 Regu.06&R。「音がいいんですよ、柿本。エキマニと合わせたときの音が想像以上で、最初に聞いたとき鳥肌立ちました」。


( ・∀・)つ PHANTOM's EYE

ここは重要なポイントなので繰り返す。TOMEI不等長エキマニはGDB/GGBのA/B型、EJ205/EJ207シングルスクロールターボ用に適合する RHDJapan専用設計だ。涙目以降のツインスクロールタービン車には適合しない。がっくん号が丸目A/B型であることが、この選択の前提になっている。等長エキマニ仕様の涙目乗りが「自分の車にも入れたい」と思っても、それはできないので注意。丸目オーナーだけに許された特権みたいなものだ。ヽ(´ー`)ノ



足回りと剛性、ちゃんと走れる車に仕上げる。

車高調はBLITZ DAMPER ZZ-R。ストリートからサーキットまでカバーできる減衰調整式で、GDBへの適合もしっかりある。「最初は純正足のままだったんですよ。でも車高調入れたら全然違う。曲がる感覚が変わった」。

剛性補強はCUSCO製のフロントストラットタワーバー タイプOSのみ、シンプルに1本。「まず一番効果がわかりやすいところから」という判断で、コーナリング時のフロントの応答性を高める。

ブレーキはCUSCO製のブレーキシリンダーストッパーとブレーキペダル補強プレートの2点。シリンダーストッパーはペダルタッチの剛性を高め、ペダル補強プレートは踏み込んだときのたわみを抑える。「ペダルの剛性感が上がって、ブレーキが怖くなくなった。踏んだ分だけ止まる感覚がちゃんとある」。ドッカンターボに慣れるためにも、止まれる安心感は大事だ。


ホイールとタイヤ、白がいい理由。

ホイールは5ZIGEN ProRacer CANNONBALL、ホワイト塗装。リム幅7.5J、前後同サイズでインセット前後+47。タイヤはトーヨー PROXES TR1だ。

「白いホイールにしたかったんですよ。GDBにホワイトホイールって、なんかWRカーへのアンチテーゼっぽくなるじゃないですか」

確かに、と思った。スバルのWRカーは金ホイールが印象的で、丸目GDBにそれを合わせると、どこか典型的なスバル好きの車とは違う雰囲気が漂う。

トーヨー PROXES TR1はUHPタイヤとして街乗りとスポーツ走行のバランスに優れており、「まだサーキットに行ったことないんで、まずストリートで使えるタイヤを選びました」という判断に合っている。


外装と内装、シンプルに決める。

エアロはC-WEST製のフロントバンパー、リアバンパー、フロントグリルⅡ、サイドステップの4点セット。C-WESTはGDB用エアロの定番ブランドで、インプレッサとの親和性は折り紙付きだ。ナンバープレートステーはケイズプランニング製のアルミ製。「社会人になっての最初の改造がナンバープレートステーです(笑)。3,000円くらいで印象が変わって費用対効果が高い」。

内装はBLITZのレーダー探知機 TL405Rのみ、潔いシンプルさだ。「まだメーター類は付けてないんですよ。次に付けようとは思ってますけど、今は走ることに集中したくて」。

余計なものを付けない。それもひとつの哲学だ。


インタビュー:がっくん、語る。

――新社会人になって最初にインプを買った理由は?

「欲しかったからですよ(笑)。就職して最初の給料もらって、これで頭金にしようって。親には反対されましたけど」

――なんで丸目だったんですか?

「顔が好きで。不人気って言われてるのは知ってる。でも自分が好きかどうかの方が大事じゃないですか。周りがなんと言おうと、自分の車なんで」

――ドッカンターボ、最初は怖くなかったですか?

「めちゃくちゃ怖かったです(笑)。最初の一週間は全然踏めなくて。でもそれが楽しくなってきた。少しずつ踏めるようになってきて、上手くなってる実感がある。それがうれしいんですよね」

――これから先、何を追加したいですか?

「まずメーターを入れたい。水温と油温は最低限見たくて。あとは……タービン交換、ずっと考えてます。でも今の足回りと運転を鍛えてからにしようかなって」

――最後に、このGDB丸目に点数を付けてください。

「65点です。まだ半分くらいしか仕上がってない。でも65点の今が、一番楽しい気がする。伸び代だらけなんで」


取材が終わって、がっくんがGDBのエンジンをかけた。TOMEIの不等長エキマニと柿本改が合わさったボクサーサウンドが、夜の住宅街に低く響く。「ドコドコドコドコ」、あの独特の音だ。

丸目が好きで何が悪い。この音が聞けるのは、丸目乗りだけの特権なんだから。

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