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STREET PHANTOM(ストリートファントム)  作者: STREET PHANTOM 編集長 神崎
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取材班の愛車、第二弾。「へもしー」こと下田 優馬とマーチ12SR、C1の小さな悪魔の話。

またまた編集部の車を紹介する号になってしまった。

ジン編集長からひとこと。「へもしーが自分で取材して自分で書けって言うから、任せた」。

……というわけで、またも自分で書きます。下田 優馬です。ペンネームというか、チーム内での呼び名が「へもしー」です。由来は聞かないでください。(´∀`)

C1を走っています。マーチで。

「マーチ?」って言いましたね。わかります。ちゃるどね号のS14が、青井さんのBNR33が、このC1を走っている。そこにマーチが混じって何が悪い、と俺は思っているわけです。


マーチ12SR、これは普通のマーチじゃない。

まず、この車について知っていない人のために話す。

マーチ12SR、型式AK12。オーテックジャパンがチューニングを手掛け、日産が販売したスポーツモデル。5速マニュアルのみの設定で、エンジン内部から吸排気、ECUに至るまでチューニングが施された、オーテック開発陣の意気込みを感じさせる内容のコンプリートカーだ。

何がすごいのか。ピストンを専用化して圧縮比を9.8から11.5へ引き上げ、カムプロフィールを全面的に変更し、吸排気系を太くするためエキマニを1.4Lモデルから流用して径を拡大。軽量フライホイール、専用バルブスプリング、専用チューニングコンピューターを導入し、90馬力から108馬力へと約20パーセント引き上げたのだ。

そして燃費対策として標準車に搭載されていた可変バルブタイミング機構をあえて搭載せず、レスポンス向上を図っているという発想が、オーテックの本気度を示している。こいつを外すことで可変機構のフリクションをなくし、高回転のレスポンスをダイレクトにした。エコより走りを選んだわけだ。

結果、CR12DE型は6900回転で110馬力、6900回転で最大トルク13.7kgmを発生する、1.2リッターとは思えない高回転型ユニットが完成した。

「これ本当にマーチか?」と思わせる吹け上がり――「NAなのに軽く吹け上がる12SRの乗り味が楽しい」という評価は、乗れば即座に理解できる。


からくりはうす、12SR専門チューナーの存在。

このマーチの仕様書を見た読者なら、「からくりはうす」という聞き慣れないブランドが目についたはずだ。

からくりはうすは12SRのチューニングを専門に手掛けるショップで、オーテックが手がけたチューンドをさらにイジり、吸排気とECUチューンで楽しさ倍増を実現するパーツを開発・販売している。俺のマーチにはからくりはうす製のオイルクーラーキット、強化エンジンマウント、ロールセンターアダプターが入っている。

「12SRに特化したブランドがちゃんとある、ということを知ったとき、この車を買う決意が固まりました」

マイナー車の宿命は「パーツがない」だが、12SRはそこを専門ショップが支えている。翔也号のティーダや西園寺号のギャランと同じ壁を、からくりはうすが一部解決してくれているわけだ。

ロールセンターアダプターは車高調でローダウンしたときにロールセンターが下がりすぎる問題を補正するパーツで、マーチのような車体下側の補強が特にキモになるプラットフォームに対して、サスペンションジオメトリーを正常化する効果がある。コーナリング時の動きが格段に自然になった。


エンジン周り、NISMO+からくりはうすで底上げ。

エンジン本体には今のところ手を入れていない。12SR純正のオーテックチューンをベースに、補機類で信頼性と冷却性能を固めるアプローチだ。

コヨウラッドのTYPE-M強化ラジエター、サムコ製クーラントホース、からくりはうす製オイルクーラーキット、GReddyの汎用オイルキャッチタンク。「1.2Lで高回転まで回すと想像以上に油温が上がる。オイルクーラーを入れたらサーキットでの安心感が全然違った」

からくりはうすの強化エンジンマウントはエンジンのたわみを抑え、パワーの伝達ロスを低減する。IMPULのビッグスロットルで吸気効率を改善し、BLITZ SUSパワーエアクリーナーで吸気抵抗を減らす。マフラーは柿本改のセンターパイプとリアピース。「マフラー選びは悩みました。12SRは完全にエンジンから排気系からコンピュータまでやってあるので、抜けが良すぎるマフラーを入れるとかえって遅くなることがあるって聞いて。柿本改のバランス重視の組み合わせにしました」

NISMOの軽量フライホイールとスポーツクラッチも装着済み。「フライホイールを軽くすると、回転落ちがよくなってシフトワークが気持ちよくなる HKS。エンブレの感触も変わるので最初は戸惑ったけど、慣れたら手放せない」


ブレーキ、ENDLESS Super micro6で本気を出す。

今回の仕様書の中で、このパーツが一番驚かれる。

ENDLESS Super micro6 システムインチアップキット、フロント。

マーチに6ポットキャリパー。笑うなよ。笑いたい気持ちはわかるけど。

Super micro6は6ポッドのブレーキキャリパーとして実績があり、マーチへの適合事例も存在する。「サーキットで純正ブレーキが全然足りなくなって。フェードするし、踏んだ感がない。入れた瞬間に世界が変わった。踏んだ分だけ止まる感覚で、最初はブレーキングポイントを全部見直すハメになった(笑)」

止まれる車になると、攻めるポイントが変わる。C1のブレーキングで、このキャリパーは本気で効いている。


( ・∀・)つ PHANTOM's EYE

軽量コンパクトカーへの大容量ブレーキキャリパー装着は、重量増との兼ね合いが重要だ。Super micro6はコンパクトな設計ゆえバネ下重量の増加を抑えながら制動力を大幅アップできるが、パッドの選択によって初期制動のリニア感が大きく変わる。街乗り・サーキット両用の場合、制動力と扱いやすさのバランスが取れたパッドを選ぶこと。あとホイールとの干渉確認は必ず事前に。マーチの純正ホイールは全部ダメなので、ホイール換装が前提となる。(゜Д゜)



足回りと剛性、小さいボディを徹底的に固める。

車高調はCUSCO STREET ZERO、フロント・リアともにCUSCOスタビライザー、調整式ピロボールアッパーマウント。「アッパーマウントを調整式にしたのは、C1のコーナーで使うキャンバーをちゃんと出したかったから。ピロにしてから動きが格段にシャープになった」

剛性補強はCUSCOのフロントストラットバー タイプOS、ウルトラレーシングのフロント・リアメンバーブレース、CUSCO LSD Type RS 1wayフロント

「12SRはノーマルでも剛性が上がっているが、それでも足りない。オープンカーの設定もあるプラットフォームなので、車体下側の補強がキモになるとからくりはうすの人に言われて、メンバーブレースを最優先で入れた。入れたら全然違った。路面の情報が増えた感じ」

リジカラも前後全輪装着済み。「リジカラは瑛太さん(GE8フィット取材参照)も言ってたけど、ほんとに体感できる。コーナーのレスポンスがシャープになる。この車格でこんなに変わるの?って驚いた」

サイトウロールケージも装着。「C1を走るなら必要だと思って。ちゃんとした安全装備を入れてから、より思い切って走れるようになった」


タイヤ・ホイール、サーキット仕様で揃える。

ホイールはWORK CR極 16インチ グリミットシルバー、タイヤはBRIDGESTONE POTENZA Adrenalin RE004。「CR極は見た目が好きで選びました。あとサーキット専用として割り切って、RE004はグリップとライフのバランスが最高で。小さい車でここまでタイヤの性能差を体感できるのかと思った」。


外装、IMPULで揃える。

エアロはIMPULのフルエアロ+リアウィング タイプIII。IMPULはNISMOと並ぶ日産系チューニングブランドで、12SR用のエアロはマーチのフォルムを引き締める設計がされている。ウェーバースポーツ製のFRPボンネットで軽量化も図る。

「IMPULのウィングが付いたマーチって、それだけで話しかけられる(笑)。C1でも目立つみたいで、追ってくる人がたまにいる」


内装、走るための装備を過不足なく。

シートはBRIDE ZETA Ⅳ(黒/グラデーションロゴ)、スーパーシートレール FKタイプ、K17バックプロテクター。「FKタイプはマーチ専用設計のレールで、シートの収まりがいい。バックプロテクターは一回サーキットで後部を擦ってから必須だと思って入れた(苦笑)」

TAKATAの4点式レーシングベルト(緑)は「TAKATAの緑はかっこいい。それだけです(笑)」。NISMOメーター、OBD2モニター兼用のレーダー探知機で必要な情報は揃えた。シフトノブはMOMO ULTRA BLUE。「青にしたのは……特に深い理由はないです。なんとなく(笑)」


インタビュー:下田 優馬へもしー、自分に聞く。

――「へもしー」というペンネームの由来を教えてください。

「聞かないでください(笑)」

――C1をマーチで走る、という選択をした理由は?

「速い車でC1を走ることより、小さい車でC1を走れるようになることの方が自分には価値があって。限界が低い車を使い切る走りを覚えたいんです。そのための12SRです」

――からくりはうすというショップを見つけたのはどこから?

「ネットで12SRのチューニングを調べ続けてたら出てきました。マイナー車って、探せば必ずその車を専門にしてる誰かがいるんですよね。そういう人を見つけられたとき、一番うれしい」

――C1で印象に残っている出来事は?

「……一回、青井さんのBNR33と並んだことがあって。向こうは気づいてないと思うけど、俺的には一瞬張り合えた気がして(笑)。それが今のモチベーションになってます」

――このマーチに点数を付けてください。

「73点です。足とブレーキはかなり仕上がってきた。でもまだエンジン周りの詰め代がある。あとは俺の腕が追いついてきたら、もっと点数が上がると思う」


以上、へもしーの自己紹介でした。近藤さん(プレオRS取材参照)、編集部の車コーナーが増えてきましたね。次号の連載もよろしくお願いします。(笑)

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