編集長ジンの「言わせてもらうぞ」――読者の愛車、俺が斬る。
毎号、取材に行って人の車を褒めてばかりいる。
でも正直に言うと、編集部に届く「取材してほしい」メールの中には「うーん……」と思うものもある。そこで今号からスタートするのがこのコーナーだ。読者から送ってもらった愛車仕様書を、編集長の俺・ジンが辛口で評価する。
ただし誤解しないでほしい。辛口というのは「ダメ出し」じゃない。本気で向き合ってる人間にしか言えないことを、正直に言う、ということだ。愛のない批判なら誰でもできる。
今回は3台。いくぞ。
一台目:ナカダ氏のプリウス ZVW30
まず言っておく。ペンネーム、声に出して読んだ。笑った。(笑)
で、車の話だ。
プリウス ZVW30。1.8Lガソリンエンジンにモーターとでシステム出力136馬力を発揮するハイブリッドカーだ。燃費最優先設計の、あのプリウスをカスタムする、ということについて。
まず率直に言う。チャレンジャーだと思う。
ロッソモデロのTi-Cマフラー、HKSのレーシングサクション、タワーバー、ダウンサスとホイール&タイヤ。この組み合わせ、方向性はちゃんとある。
ダウンサス+ゴジゲンFN01R-C 17インチ+ハンコックVENTUS V12というホイールとタイヤの選択は正解だ。タイヤが変わると車の印象はがらっと変わる。プリウスでもそれは同じで、ここに一番金を使ったのは正しい判断だと思う。マフラーも、HKSのサクションも、プリウスに入れる意味があるのかと笑う人間がいるのはわかってる。でも自分の車に手をかけたいという気持ちは本物だ。それは否定しない。
ただ一点だけ、真剣に言う。
ダウンサスだけで終わるな。
ダウンサスは車高を下げるが、バネレートは純正流用かわずかに高い程度で、ダンパーは純正のまま。つまり純正ダンパーを硬いバネで使い続けることになる。これは乗り心地が悪化するうえに、ダンパーの動きと合っていないので、限界挙動が読みにくくなる。路面の段差でフワフワするくせに、急な入力に対しては弱い、という中途半端な状態になりやすいんだ。
予算が許すなら**車高調への換装をすすめる。**プリウス用の車高調も今は選択肢がある。ダウンサスに使ったお金が無駄になるのが嫌なのはわかるが、いずれ換えるなら早い方がいい。
あと、ひとつ。ハイブリッドカーのカスタムには特有の注意点がある。プリウスはハイブリッドシステムの電圧が高く、素人が手を入れてはいけない部分が多い。電装系の改造は、必ず専門ショップに相談すること。これは命に関わる話だ。(゜Д゜)
総評:62点。方向性はある。あとは足をちゃんとやり直せ。
二台目:「ハラペーニョ大好き大学生」のCR-Z ZF1 5MT
まず、このペンネームはいい。好きだ。(´∀`)
車の話。
CR-ZはLEA型1.5L i-VTECとIMAハイブリッドシステムの組み合わせで、5速MTが選べるという、ホンダが本気でスポーツハイブリッドを作ろうとした一台 Tomei-pだ。1.1トンを切る軽量ボディ、コンパクトなクーペスタイル。ポテンシャルはある。
で、この仕様書を見て、正直に言う。かなり本気だ。
J's RACINGのハイパーECU、トップフューエルの零1000パワーチャンバー、柿本改Regu.06&R、TANABE SUSTEC PRO CR40の車高調。J's RACINGのトータルエアロシステムにFRPボンネット。これだけのパーツをCR-Zに注ぎ込んでいるのは、「マイナー車に本気で投資している」という意志の表明だ。それは素直にかっこいいと思う。
J's RACINGのECUはCR-Zのチューニング界では実績があり、ECUを変えることでIMAのアシストタイミングと強度を含めてまるごと最適化できる。CR-ZはIMAが絡む分、「エンジン単体ではなくシステム全体のセッティング」が必要で、それをちゃんとわかってECUを選んでいるのは正しい。
ただ、気になる点がひとつある。
Amazon産の無限風リアウィングと、TEMU産のTypeR赤エンブレムだ。
これ自体を責めているわけじゃない。正直、俺も若い頃はそういうのをやった。でも、J's RACINGのエアロに20万円使っておいて、リアウィングがAmazon産では、バランスが悪い。CR-Zのリアには、J's RACINGがちゃんとウィングを出している。せっかくここまでやるなら、最後まで統一感を持たせてほしかった。
あとTypeR赤エンブレムは……まあ、TypeR-Zもいいと思うけど、TypeRを名乗るのはTypeRだけにしておこうよ。(笑)
( ・∀・)つ PHANTOM's EYE
CR-Zはハイブリッドシステムの特性上、IMAのアシストが切れた後の「素のエンジン出力」に頼る場面がある。吸排気とECUを最適化したうえで、回せる車高調セッティングを組むと、IMAが効いている間のドライバビリティと、切れた後のつながりがスムーズになる。TANABE SUSTEC PRO CR40は固めのサーキット寄り車高調なので、街乗り比重が高い場合は減衰調整をソフト側に振ることを忘れずに。(゜Д゜)
総評:78点。本気度は伝わる。最後の統一感だけ詰めろ。
三台目:「みんな大好き田中さん」のヴィッツRS SCP90
ペンネーム、良い意味で普通すぎる。(笑)
車の話をする。
ヴィッツRS SCP90。1.5L直列4気筒1NZ-FE、110馬力。ヴィッツの中で唯一5速MTが設定されたスポーツグレード Do-blogで、コンパクトFFスポーツ走行のベースとして、知る人ぞ知る選択だ。
この仕様書を見たとき、思ったことがある。
「組み合わせが一番バランスいい」。
ings N-SPECの3点エアロにラルグスSpecSの車高調、CUSCOのタワーバー。5ZIGENのマフラーに零1000パワーチャンバー。ゴジゲンFN01R-C 16インチにグッドイヤー イーグルF1 SPORT。追加メーターにフルバケット、BLITZのレーダー。
これ全部、バランスが取れている。
エアロはings N-SPECという国内ブランドの定評ある製品。車高調はラルグスで実用域をきっちり落とす。タイヤは16インチでバネ下を軽く保つ。1.5L NAに対して過剰な投資をせず、でも走りに必要なところはきっちり揃えている。ヴィッツRSという車の使い方として、非常に正しいアプローチだ。
110馬力のコンパクトFFで限界を使い切る走り方を身につけることは、その後にどんな車に乗っても絶対に活きる。田中さんが本当に「みんなに愛される」ドライバーになるためには、今がその修行期間だと思ってほしい。
一点だけ指摘すると、510 Supplyのシリコンラジエターホースのみで、冷却系の強化がそれだけというのは少し薄い。1NZ-FEは基本的に丈夫だが、サーキット走行を視野に入れるなら、次はラジエターキャップの強化かオイルクーラーを考えてもいいタイミングだ。
( ・∀・)つ PHANTOM's EYE
ヴィッツRS 1.5Lのパワーチャンバー(サージタンク強化インテーク)は、1NZ-FEのVVT-iの特性と相性がよく、中回転域のトルクの出方がスムーズになる Do-blogという体験談が多い。マフラーとの相乗効果で吸排気のバランスが整うと、110馬力でも「踏んだ感」が変わる。小排気量NAにとって吸排気の最適化は、ターボ車にとってのタービン交換並みに重要だ。地味だけど確実に効く。ヽ(´ー`)ノ
総評:82点。このジャンルでは完成度が高い。あとは腕を磨け。
以上、3台の辛口評価でした。
送ってくれた3人に共通して言えることがある。**自分の車に向き合う気持ちは本物だ。**プリウスをカスタムするのも、CR-Zに20万のエアロを入れるのも、ヴィッツで足を決めるのも、全部「自分の車を良くしたい」という気持ちの表れだ。
それは正しい。間違いなく正しい。
ただ、次のステップに進むために、今日書いたことを少し頭の片隅に置いてほしい。
投稿は随時受け付けている。辛口が怖い人は来なくていい。本気で向き合いたい人だけ、送ってこい。
STREET PHANTOM 編集長 ジン




