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STREET PHANTOM(ストリートファントム)  作者: STREET PHANTOM 編集部
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「群馬の白い幽霊」――ちゃるどね号S14、その全貌。

群馬の峠やサーキットに詳しい人間なら、一度は耳にしたことがあるはずだ。

「白いS14、最近やばくね?」

ドリフトでも、タイムアタックでも、走り屋の溜まり場でも、必ず出てくる名前がある。ちゃるどね。本名は知らない。でも群馬のシーンでその名前を知らない人間はいない、というのが地元の共通認識らしい。

今回、編集部はそのちゃるどね氏を直撃した。場所は群馬県内某所、氏のガレージ。夜22時、約束の時間にそこにあったのは――白塗りのS14前期、K'sだった。


まず、その車を見てほしい。

アスレーシングのフルエアロが纏わりついた白いボディ。ボンネットはSTOUT製の綾織りカーボン、D-MAX製のGTウィング A140がリアに仁王立ちしている。アルミナンバープレートステーが妙にピカっている。

「ナンバープレートステーだけ新品なのはなんで?」と聞いたら、「折っちゃって」と一言。理由は聞かなかった。(´∀`)

外装の迫力もさることながら、こいつの本番はエンジンルームだ。蓋を開けた瞬間、思わず「……やばいな」と声が出た。


SR20DET、現在進行形で進化中。

ベースは言わずと知れた日産SR20DET。2リッター直4ターボ、ドリフトとタイムアタック両方のベース機として、今なお国内チューニングシーンで最も愛されているエンジンのひとつだ。

ちゃるどね号の心臓部で目を引くのは、まずTOMEI製のポンカム(プロカム)だ。S14/S15用のIN 258°-11.5mm、EX 272°-12.5mmのソリッドタイプを組んでいる。ノーマルのカムと比べてバルブの開く時間が伸び、より多くの空気をエンジンに押し込む。低中速のドライバビリティをある程度犠牲にして、高回転域のパワーを狙いに行く選択だ。

「ポンカム入れてからアイドリングが面白くなった」と氏はけろっとして言う。面白い、というのはつまり「ドコドコいう」ということだ。(笑)

補機類もきっちり手が入っている。H.S.P製の強化イグニッションコイルに換えることで高回転域での点火を安定化。EALEのシリコンホース9本セット、CUSCOのストリートオイルキャッチタンク、Z.S.S製のアルミ3層ラジエーター、GReddy製のアルミプーリーセット、D-MAX製の強化エンジンマウントブッシュ。細かいところまで一切手を抜いていない。

「全部一気にやったわけじゃなくて、壊れたら替える、気になったら替える、を繰り返してたらこうなった」

それがチューニングというものの本質だと、改めて思わされた。


タービン、そしてブースト管理。

タービンはTOMEI ARMSシリーズ。SR20DETとの相性で定評のある製品で、CNCビレット削り出しのコンプレッサーホイールを採用し、従来比で大幅にエアフローが改善されている。純ボルトオンでの装着が可能なのもポイントで、「加工なしで付くのがいい。外すのも楽だし」と氏は言う。実際、SR20のポン付けタービンとしては完成度が高く、街乗りからサーキットまで幅広くこなせるキャラクターだ。

インタークーラーはBLITZ SE。フロント置きの大容量タイプで、吸気温度を下げることで充填効率を稼ぐ。タービンで圧縮されて熱くなった空気を冷やし切ることが、安定したパワーに直結する。

ブースト管理にはGReddy プロフェック。ソレノイドバルブ制御の電子式ブーストコントローラーで、ターゲットブーストを設定すれば精度高くブーストを維持してくれる。タービン出口にはHKS スーパーSQV4のブローオフバルブ。アクセルを抜いたときの「シュポン」という音、あれはこのバルブが仕事をしているサインだ。タービンへの逆圧を逃がし、サージングを防ぐ。そしてHKS ターボタイマー。エンジンを止める前に一定時間アイドリングを続けてタービンを冷やす。ハードに走ったあとの儀式みたいなもんだ。


( ・∀・)つ PHANTOM's EYE

スーパーSQV4はリリーフ型(大気開放)ブローオフの定番だが、Z32エアフロ流用車に装着する場合は注意が必要。大気開放にするとエアフロを通過した空気がブローオフで逃げてしまい、燃調が濃くなる場合がある。エアフロ流用+大気開放ブローオフの組み合わせはセッティング時に要確認だ。見落としがちなポイントなので要注意!(゜Д゜)



燃料系とECU、このコンボが肝だ。

エアフロはZ32(フェアレディZ 32型)用を流用。これはS14チューナーには定番の手法で、ノーマルのエアフロより流量の大きいZ32用を使うことで、大型タービン仕様にも対応できる。費用対効果の面でも評価が高い選択肢だ。

インジェクターはSARD製の740cc。SR20DETはノーマルが370cc前後なので、ほぼ倍の容量になる。大型タービンと大容量エアフロに合わせて、燃料側も限界まで供給できる体制を整えているわけだ。燃料ポンプはTOMEI製の255L/h大容量キット。燃料が足りないと即エンジンブローに繋がるから、ここはケチれない部分だ。


( ・∀・)つ PHANTOM's EYE

Z32エアフロ流用はS14チューンの定番中の定番だが、流用するだけでは終わらない。ECUのセッティングでエアフロの電圧-流量特性をきちんと書き換えないと、燃調が狂ったまま走ることになる。F-CON iSとの組み合わせでも、必ず現車セッティングを経由すること。「付けただけ」は事故のもとだ。セッティング屋さんには感謝感謝ですよヽ(´ー`)ノ


そしてECUはHKS F-CON iS。サブコンとフルコンの中間的な存在で、純正ECUに割り込む形で燃料と点火のマップを書き換えられる。現車合わせのセッティングが必須で、「ちゃんとしたセッティング屋に持ち込んで出してもらった」とのこと。このコンビネーション――Z32エアフロ流用、740ccインジェクター、F-CON iS――はSR20タービン交換仕様の教科書的な構成で、セッティング次第でしっかりパワーが出る。


給排気、徹底的に。

サクション側はHKS レーシングサクション+GReddy アルミインテークパイプセット。エアがスムーズにタービンに流れ込む経路を整える。

排気側はかなり本気だ。エキマニはD-MAX製、サージタンクはナガホリレーシング製(SR20用の定番アイテムだ)、アウトレットパイプもD-MAX製で、出口からターボまで一貫して太く、スムーズなラインを作っている。触媒はSARD製スポーツキャタライザー。完全に取っ払うのではなく、車検対応で抜けの良い触媒を選ぶ、現実的な選択だ。

マフラーはGP SPORTS EXAS EVO Tune、砲弾型の左出し。「音がいいんだよ」と氏。SR20のタービン付きが砲弾マフラーを吹かしたときの音は、知っている人間には条件反射的に振り返らせるものがある。


足回りとブレーキ、きっちり止まってきっちり曲がる。

車高調はBLITZ DAMPER ZZ-R。ストリートから本格的なサーキット走行まで対応できる減衰調整式で、群馬の峠とサーキット両方をこなすこの車の用途にマッチしている。

ブレーキはキノクニのブレーキラインシステムでホース類を強化、GPスポーツ G-MASTER SCVのブレーキパッドを四輪に装着、CUSCOのブレーキシリンダーストッパーで制動時のシリンダー位置を安定化。「止まんないとドリフトにならないから」と当然のように言う。止まること、曲がること、そして滑ること。それがこの車のテーマだ。


ボディ補強、そしてミッション系。

フロントはCUSCO タイプOS ストラットタワーバーとナギサオート「がっちりさぽーと」でボディを繋ぐ。そしてロールケージはサイトウロールケージ製6点式クロモリ鋼、ダッシュ逃げタイプ。「サーキット行くならロールケージは義務だと思ってる」と氏は言い切る。見た目のかっこよさもあるが、安全装備として真剣に組んでいることが伝わった。

LSDはCUSCO Type-RS 1.5way、クラッチはORC MetalSeries ORC-409 シングル。メタルシングルは街乗りでの扱いがシビアになるが、「もうそれに慣れた」らしい。慣れるまでの苦労は聞かないでおこう。(´;ω;`)


ホイールとタイヤ。

エンケイ RPF1、18インチ 8.5J インセット30。チューニング業界でほぼ宗教的な支持を集める定番ホイールだ。軽くて強く、デザインも主張しすぎない。タイヤはHANKOOK VENTUS V12 evo2 K120、225/40R18。「ハンコックで十分。コスパ最高」と言い切る。国産ハイグリップタイヤとのタイム差より、練習量を増やす方が速くなる、という考え方だ。


内装、そして「護符」の話。

コクピットはジュラン シートレール+ナニワヤ SP-GTタイプのフルバケットシートで固める。ステアリングはHKBボスにmomo mod.08ブルースポーク。シフトノブは中華製のチタン焼き色付きアルミノブ。「安かったから」と笑う。(´∀`)

オートゲージの水温・油温・油圧・ブーストの追加メーター4点は視認性重視で配置されている。BLITZのレーダー探知機 TR315Rが付いているのもご愛嬌だ。

そして、ルームミラーにかかった「地元の神社の交通安全守」。

「これだけは絶対外さない」

ガレージにある工具の数と、ルームミラーの御守りの数が、そのドライバーの本気度を示している、と誰かが言っていた。ちゃるどね氏のミラーには、御守りが一つだけ、静かにかかっていた。


インタビュー:ちゃるどね氏、語る。

――この車、いつ買ったんですか?

「18のとき。親に内緒でローン組んだ。今思えばよくやったなと思うけど、後悔はしてない」

――なんでS14だったんですか?

「単純にかっこいいから。シルビアって言葉の響きがいい。あと白が好きなんですよ、昔から。白い車が汚れてくるの見るのが好きで」

――チューニングはどこから手を付けた?

「マフラーからですね。最初は音だけ変えたかった。でも音変えたら次はパワー欲しくなって、パワー出したら足が追いつかなくて、足直したら今度は止まりたくなって……気づいたらこうなってた(笑)」

――今の仕様の目標馬力は?

「数字で追ってないんですよね。パワーより乗り味。トルクがフラットで、踏んだときにドンッてくるんじゃなくてスーッと出てくる感じが好きで。そのためのセッティングを今も煮詰めてます」

――群馬のシーンで「ちゃるどね」って名前が出るのは知ってますか?

「……知ってる(苦笑)。恥ずかしいっすよ。ただ走ってるだけなんで」

――ただ走ってるだけではないと思いますが。

「まあ、好きなんですよね。走るのが。それだけっす」


取材を終えて駐車場を出るとき、ちゃるどね氏のS14が暖気を始める音が聞こえた。夜の群馬に砲弾マフラーのノートが響く。白い幽霊は、今夜もどこかの峠を走る。

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