表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/42

第1章:廃墟の上に築かれた世界

この章をクリックしてくださった皆様、本当にありがとうございます!

前回と同様、もし誤字や不自然な表現、また翻訳がうまくいっていない部分を見つけたら、遠慮なくお知らせください。

今回の章も楽しんでいただけると嬉しいです。私はヨーロッパ出身で、母国語で翻訳されたライトノベルに慣れ親しんでいるため、少しヨーロッパ的な要素が混じっているかもしれません。

それでも皆さんの読書体験の妨げにならないことを願っています!

「ママン、ママン、もう一度だけ話してくれる?!」


幼い子供の声が、中年の女性のため息を誘った。彼女の長い茶色の髪は、手に持った揺れる蝋燭の明かりによって、ほのかな金色の輝きを帯びていた。


彼女は、たくさんの縫い目が目立つ擦り切れた緑のドレスの埃を払い、再び椅子に腰を下ろした。ベッドに横たわる七、八歳の子供に、優しさあふれる微笑みを向けながら、柔らかな声で語り始めた。


「いいわ、サルヴァトリス。でも、これが最後よ。その後は必ず寝るのよ。」


「うん、約束する!」


少年は熱心に答え、母は空中に一本の指を立てた。


「でも、もし途中で寝てしまったら、私は行くわよ。」


少年は頷き、金髪と茶髪の中間色に揺れる髪が乱れながらも、内に秘めた興奮を隠した。大きな緑の瞳で母を見つめ、薄いクマが覗くその瞳で、彼は自分の細い毛布をしっかりと抱きしめた。



「むかし遠く 勇ましき奴隷あり

悪鬼の鎖に 砕かれし身

輝く希望の 象徴となり

絶望を打ちて 前へ進めり


おお!鎖の魂の 勇猛なる英雄よ!


光となりて 民を導く

魔王に誓いし 戦の誓い

天の剣を 高く掲げ

悪しき軍をば 砕き滅ぼす


おお!鎖の魂の 勇猛なる英雄よ!


絶望は燃えし 正義となり

自由の印よ 勝ち誇れり… 」


少年は母の話を遮り、頬をふくらませた。


「でもー! だって、バルドたちの話し方が全然わかんないんだもん…」


母はくすりと笑い、そっと手を口元に当てた。


「ごめんなさいね。君の反応があまりにも愛らしくて、ちょっとからかいたかったの。」


彼女は子の頭を撫でながら、一息ついた。


「昔々、正義感にあふれた勇敢な少年、レイナーの物語があった。疲れ果てながらも、彼は民とすべての抑圧された者を救うため、邪悪な悪魔王の専制に立ち向かう決意をしたの。」


少年は毛布をさらに強く握り、母の話に真剣な眼差しを向けた。


「悪魔たちは、人間、エルフ、ドワーフ、そして彼らが劣っているとみなすあらゆる種族の潜在力を恐れていた。彼らはそれらを、劣ったおもちゃのように、奴隷以上の価値もないとみなし、ただ重労働や食事のためにしか扱わなかったの。」


「レイナーもその奴隷の一人だったが、神々は彼に偉大な魔法の力を宿らせて生まれさせた。その力は、偉大な賢者イアンや名剣士アルトリアスをも凌ぐほどだった…」


少年は、これまで何度も聞いたかのようなため息混じりの声で母を制止した。


「でもママ、もし神様が生まれたときに魔法を授けるなら、なんでみんなレイナーみたいに強くならないの? どうして魔法が使えなかったり、君みたいにとても弱かったり、あるいは逆に暴走して国を滅ぼすほど強い人がいるの? そして、呼び出された英雄たちはなんでいつも強すぎるの?!」


母は椅子から立ち上がり、窓際へ向かった。蝋燭は彼女の顔の半分しか照らさず、星空を見つめながら、息子を喜ばせることに満足しているようだった。


「それは、神々が与える力を全ての人に均一に授けるわけではなく、各々が特定の魔法に特化しているからなのよ。生まれたとき、神々はそれぞれの子供に、自分の力の一部を吹き込むの。英雄や偉大な賢者、剣士には大いなる力が与えられる一方、ママみたいに弱い子もいる。でも、私が弱いからって、君が巨大な力を得られないわけではない。神々はすべての人間を愛し、自ら生き抜く力を授けているの。最も貧しい者も、力という点では王や富豪と同じなのよ。」


女性は一瞬立ち止まり、桜の花のように繊細な顔に、これまでで最も輝く笑みを浮かべた。


「そして、呼び出される英雄については、最も強大な者だけがこの世界に現れるのよ。」


母の横顔に反射する光は、彼女に幻想的な雰囲気を与え、思索にふける表情とあいまって、顎に手を当てながら、柔らかな声で物語を再び紡ぎ始めた。


「さて、どこまで話したかしら…ああ、そう。彼の両親は疲れ果てて亡くなり、頼れる人もおらず、ただ死に際の約束だけが残されたの。『もっと強くなる』という約束ね。


彼はその約束を果たすため、何年も秘密裏に修行を重ねた。しかしある日、悪魔の一体がレイナーの築いた力に怯え、彼を殺そうとし、いつか象徴となる希望を潰そうとしたの。


それが我慢の限界となった。神々は、悪魔による民への圧政と、信仰深い人々の苦しみに耐えかね、介入を決意したの。彼らは最も偉大な存在たちを率いる軍を送り、人々を助け、若きレイナーを救うために立ち上がった。


レイナー自身が先頭に立ち、その英雄性は神々に認められ、死者の神によっても祝福された。その神聖な軍勢は、数え切れないほどの悪の軍勢との戦いに参加し、彼の指揮のもと、恐るべき怪物を打ち砕き、絶望的な戦いの中で何千もの命を救った。レイナーは、たった一人で歴史の流れを覆すほどの力を持っていたの。」


そのとき、母の声は少し力を失い、重みを帯びた。


「しかし、敗北の淵に追いやられた悪魔たちは、自らの軍勢を再編し、専制を打ち砕いた者たちに打ち勝つため、撤退したのよ。」


「強すぎる…」


少年はこっそりと呟き、その瞳は畏敬の念で輝いた。母は何も聞こえなかったふりをしながら、物語を続けた。


「それでも、軍勢を再編しても、レイナーは常に勝利を収めたの。彼の軍は日々増強され、異界から蘇る死者や、共に戦う神々まであらゆる種族が集結した。しかし、その全能の力でさえも、決定的な勝利には至らなかったわ。」


敗北寸前の悪魔王は、最後の砦の中で、悪夢のような壮絶な戦いの最中、破滅的な一撃をレイナーに与えた。こうして、レイナーはいつも守りたかった者たちと、彼を認めた神々に囲まれながら息を引き、その時、悪魔王は自らの創造物――「レニエール」という、レイナーの血を振るって作り上げた英雄の正確な写し身――の陰に隠れることとなった。


ただ一つの目的―自分の肉体の破壊と吸収―のために動くように、レニエールは戦場で完全なる覇権を誇示し、必死にレイナーの遺体を捜し求めた。


数え切れないほどの勇者たちが、初めて祝福された神殿に運ばれたレイナーの遺体を守り、その使命を継ごうと立ち上がったが、力は足りなかった。忌まわしい存在であるレニエールはあまりにも強大で、何人もの神々を自らの手で討ち取り、今にも終結しようとしていた戦いの行方を覆してしまったの。


母が物語を語る声は突然すべての力を取り戻し、まるで自らの魂を注ぎ込むかのように情熱的になり、息子はその言葉に完全に心を奪われ、身震いさえした。


「状況が絶望的になったとき、レイナーは目覚め、死そのものの支配から解放されたの。」


彼はレニエールに立ち向かい、激しい戦いの中で人類と悪魔の運命を決する戦いを繰り広げた。その戦いの末、レイナーは勝利を収め、悪魔王の首を高々と掲げた。彼は自らの手で全ての神々と、戦いで倒れた仲間たちに復讐を果たした。しかし、不幸にも、死の呪いにより彼は再び永遠の眠りに落ちたの。彼はかつて人類が最も必要としていた神殿に納められ、最も邪悪な、死の神が、人類の耳元で最後の言葉をささやいた。


「英雄は死んでいない。彼は生き、永遠に生き続ける―終わりなき眠りの中に囚われながら。しかし、いつの日か、人類が危機に瀕し、彼を必要とするとき、彼は目覚め、全てが絶望に見えるときに再び希望の灯をともすのだ。」


悪魔たちは、神々の果てしない慈悲により免れ、かつて「死の大陸」と呼ばれた地に追放されるだけとなった。


今や、数え切れない永劫の時を経ても、神々は毎日、流れる空の下で私たちを見守り続けている。私たちの内に宿る魔力―たとえそれが微かであっても―はその証拠なの。最大の魔法使いたちが、他の世界から英雄を召喚して、新たな悪魔王とその軍勢から人類を守ることができるのも、すべて彼らのおかげなのよ。


「初代英雄となるレイナーと神々の犠牲のおかげで、私たちは恐怖や不安から解き放たれた生活を続けられるの。もちろん、最初の召喚以来、我々を助けてくれた新たな英雄たちのおかげでもあるけれどね。」


サルヴァトリスは、目を大きく見開いたまま、母が語る伝説に耳を傾け続けた。物語が終わると、母は彼の額にキスをし、優しくささやいた。


「君も死の神に祝福されたのよ。だから、もし英雄やレイナーのようになりたければ、力を蓄えて、今すぐ眠らなさいね。」


少年は頷き、失望を隠せぬ表情を浮かべた。母は部屋を照らす蝋燭の火を吹き消し、柔らかな月明かりだけがサルヴァトリスを包む中、彼の瞼は閉じ、疲労が彼の心を覆った。


* * *


「行くわ。」


若者の宣言が、藁葺き屋根の家に響いた。雄鶏は朝の歌を始め、木造や石造りの家々が立つ小さな村で、教会の鐘が鳴り響いた。各家の小さな窓は、優しい蝋燭の明かりに照らされ、その言葉に応えるように開かれ、夜明けの光が建物に差し込んだ。


「今日、必ずやり遂げる。」


この思いを胸に、金髪と茶髪の中間色の髪を持つ若者サルヴァトリスは、床に残された染みを踏みつけた。それは、みすぼらしい黒い長いチュニックに血が染み付いた跡を思わせた。彼の服装は、腕に走る切り傷の跡を隠しきれなかった。


若者の眼差しは痛みに満ち、あきらめたような微笑みがその表情を作っていた。彼は村の中央通りを歩きながら、四方からの軽蔑の眼差しを気にせず、むしろ家事を手伝う子供たちに心を奪われ、奇妙な郷愁に浸っていた。


彼は素早く首を振り、眼差しを引き締めた。


【 僕がその英雄を救うんだ。】


どれほど日常が変わろうとも、彼の夢は変わらなかった。彼はその夢を叶えるため、昼夜を問わず修行を積み、今やその夢こそが彼に残された最後のものだった。


彼は村の中央の道から素早く離れ、かつてよく歩いた人里離れた小道を辿った。その道は、資源も魅力もない広大な平原の中心へ通じ、長い間忘れ去られた小さな墓地へと至っていた。ほとんどの墓は、人間の手によって掘られたようだった。


サルヴァトリスは無意識のうちにこの陰鬱な場所へ足を踏み入れ、長い間カビに蝕まれた解読不能なコデックスや稀少な中世写本を蹴飛ばした。表紙からは主にネクロマンシーに関する内容が推測されたが、それがこれらの書物から得られる唯一の情報だった。気にも留めず、彼はさらに、最も奥にあるまだ無傷の墓へと進み、そこで足を止めた。


サルヴァトリスは目を閉じ、深く息を吸った。稀な集中力が彼を包み、即座に奇妙で不明瞭な黒い流れが体から放たれ、地中を通って墓に突き進んだ。骨の音が応えるように響き、墓が持ち上がって一つの手が現れ、その後、骸骨のような死体がかろうじて地上に這い出した。完全に腐敗した遺体は、ほんの少しの布の切れ端だけで覆われていた。しかし、サルヴァトリスはその姿を喜ばなかった。不機嫌に足で地面を蹴り、苦々しい呟きを漏らした。


「また失敗だ…記憶筋だけしか残っていない…」


墓地の出口へ続く小道を、後ろからついてくる骸骨を無視しながら、彼はさらに緑豊かで清らかな平原へと足を踏み入れた。風に揺れる高い草の向こう、古びたレンガが散在する小さな土の塊が、時折、泥だらけの平坦な景色の単調さを破っていた。


サルヴァトリスは一瞬立ち止まり、四方に広がる細い黒いオーラを放った。それは太さがまちまちの糸の形をとり、彼は本能的に最も近く、細い糸の一つへ向かった。その糸は、いくつかの死体が横たわる場所へ彼を導いていた。


「シー」


風の音に似たかすかな音が彼に背筋の寒さをもたらし、彼の足取りはぴたりと止まった。


振り向く間もなく、身長約1フィートほどの小さな生物が、草むらから同期した動きで現れた。一瞬のうちに、恐ろしい五対の足が、蟻と岩よりも堅固な土のような体から伸び、腹部は鋭いクリスタルのような刺で終わっていた。彼らの頭部には、刃のような多数の細く鋭い歯が並ぶ口があり、切れ味鋭い顎からは酸性の液体が滴り、地面を蝕んでいた。しかし、彼らの複眼が放つ恐怖は、サルヴァトリスの視線を一瞬たりとも離さず、頭上の触角は加速しながら色を変えた。その俊敏な動きは驚異的で、手足がばらばらに動いているかのようでありながらも、正確で調和のとれた動作は、まるで一つの精神が宿っているかのようだった。


サルヴァトリスは、脅かす攻撃に気付くのが遅れ、間に合わず反応できなかった。三体の小さな姿は、彼が気付く前にすでに彼を追い詰めていた。


【 ああ… 】


彼の脚は一瞬で力を失い、恐怖がその顔を覆った。しかし、その恐怖はすぐに混乱へと変わった。彼の体は、自身の骸骨によって地面に投げ出され、その骸骨は、彼の代わりに存在する数体の生物によってほぼ即座に粉々に引き裂かれた。彼女たちは、ほとんど感じられないほどの黒い糸で繋がれた骨を容易に引きちぎり、その後、高い草に隠れた小さな穴へと消え、顎で戦利品を運んだ。恐怖に駆られたサルヴァトリスは立ち上がり、無方向に走り出した。命を救った不死者を後に残し、振り返る暇もなく、自分の骸骨が背後で這い寄り、増え続ける生物の群れに無慈悲に引き裂かれるのを目撃することすらなかった。


「くそ、こんなに近い墳丘墓までが襲われているとは! 村の長に直ちに報告し、王国の部隊をここへ派遣させなければ、俺たちはルートニーの巣のようになって、食い尽くされるぞ! ああ、なぜ俺ばかりがこんな目に遭うんだ!」


サルヴァトリスの走りは速く、慌ただしかった。彼の恐怖は、限界に達することなく彼を加速させ、胸が激しく上下していた。彼は最も近い墳丘墓へと導く一本の糸を辿りながら、必死に手で前の地面を掘り進めた。


三本の黒い糸が、彼が作ったばかりの開口部に突入し、奇妙な金属音を引き起こした。


獣のような叫びが響き渡り、それを聞いた者の血が凍りつく中、腐敗した死体が突然地面から現れ、無数のムカデがその眼窩から這い出した。彼の筋肉はほぼ完全に腐敗し、虫に食い尽くされ、老朽化した鉄板と、あちこち破れた鎖帷子だけでかろうじて隠されていた。死体は苦しそうに立ち上がり、両手でしっかりと錆びた大剣を握り、肉片と骨が交互に露出していた。


さらに四つの手が地面から湧き出た。仲間のそばに立ち上がった最初の死体は、やや小柄だったが、同様に威圧感を放っていた。打撲と錆びで損なわれ、所々穴の開いた盾と折れた剣を装備し、その姿は、残り少ない肉片にあらゆる寄生虫が群がる死体の恐怖と完璧に調和していた。


最後の死体は、地面から這い出すのに苦労しており、比較すると哀れに見えた。彼は、二人の戦士のそれよりもはるかに状態の悪い鎖帷子の上に、破れたローブだけをまとい、獣の角で作られたただの棒を握っていた。


二人の戦士は、獣のような突進でサルヴァトリスの後ろに駆け寄った。彼らの剣と盾の重みは、一撃ごとにひび割れながら、草むらから現れたルートニーを押し潰した。そのルートニーは、新たな主人を切り刻むかのようだった。正確な動作で、一筋の細い黒い糸が、先ほど倒されたルートニーの死体にまで伸びた。魔術師と思われた者の残骸が、少しずつ蘇るその生物を掌握し、サルヴァトリスの心に一つの考えを浮かばせた。


【 もしこれを一体でも連れて帰れば、王国の兵士たちは急がざるを得なくなる!】


しかし、彼にはそんな些細なことにとどまる余裕はなかった。動く草のざわめきが四方から漂っていた。もしサルヴァトリスが素早く走らなければ、彼は囲まれてしまうだろう。直感的に、彼は体から無数の黒い糸を放ち、可能な限り多くの死体を再生させ、この一見平和な区域から生きて脱出することだけを考えた。


しかし、サルヴァトリスの猛然たる走りは、つまずいて地面に倒れた瞬間に突然終わった。彼は即座に立ち上がり、最も近い墳丘墓の方向へ向かった。そこから発せられる異常な太さの糸がいくらであろうと、彼には他の選択肢がなかった。転倒したため、追跡者たちが彼に追いついたのだ。


アンデッドたちは、命令を受ける前から、彼らの前にある巨大な墳丘墓を掘り始めた。まるで彼らの体がサルヴァトリスの意志によって動かされ、装備さえも使っているかのようだった。


一瞬のうちに、その土の塊の一部が平らになり、サルヴァトリスが最も求めていたもの―骨―が姿を現した。しかし、彼が目の前に立ち上がる人間の残骸を拾おうとしたとき、手に何か(スパムのようなもの)が流れるのを感じ、足を止めた。


部分的に掘り出された骨は、異様に良好な状態で保存された、非常に強靭な白い繊維で織られたブラウスをまとっていた。


「これは何だ?」


サルヴァトリスの目は驚きで大きく見開かれ、さらに深く掘るよう促された。上部の遺体が完全に露わになると、死後であっても、その遺体は錆びたものの驚くほど保存状態の良いスコップの残骸を保持しているのが見えた。故人が着ていたジャケットは、完全に晒され、当時の中世の衣服と比べると奇妙に未来的に映った。これらの服は、魔法があったとしても、サルヴァトリス以前に生きた人間には到底作り出せないように見えた。何年も埋もれていてもその衣服は清潔で、縫い目はほとんど見えず、生地は箇所箇所わずかに破れているに過ぎず、ほぼ完璧に保存されているようだった。最も偉大な職人でさえ、そんな偉業を再現することはできなかった。


サルヴァトリスから放たれる無数の糸が、この唯一の死体に絡み付き、その驚くべき古さに引き寄せられるかのようだった。もしかすると、何千年もここにあったのだろうか? この疑問がサルヴァトリスの心を苦しめる中、彼は操り人形たちに向かって、ほとんど聞こえないほどの命令を呟かずにはいられなかった。その表情には、理解できぬ思いと疑念がにじんでいた。


「止めろ、ここはただの墳丘墓じゃない。はるかにそれ以上で、危険なんだ…」


その言葉が彼の唇を離れた瞬間、すべてのアンデッドは掘るのを止めた。しかし、ある戦士が立ち上がる際に体を支えていた場所から、ひび割れる音が響いた。地面が割れ、再び蘇った死体の腕が、奇妙で抗しがたい蛍光緑の光に照らされた小さな隙間に沈み込んでいった。


ここまで読んでくださった皆様、心からありがとうございます。

このサイトの操作には少しずつ慣れてきたので、今後はできるだけ安定して投稿できるように頑張ります。


ただ、翻訳にはどうしても時間がかかってしまいます。フランス語の原稿を書き終えてから翻訳しているため、私の語学力では細かいニュアンスまで完璧に調整するのが難しいです。


状況によっては、一話から二話ほど更新が不規則になる可能性もありますが、どうかご理解いただければ幸いです。


Encore merci beaucoup à vous ! (改めまして、本当にありがとうございます!)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ