type1:異変
初投稿です。書き直しはおそらくしますが、内容に差し支えることはしません。では、よろしくお願いします。
その異変に気づいたのは、昨日のことだった。
家にあるナイフが一つ抜けていたのだ。
家にあったナイフは三本。出刃包丁とプラスチックの包丁、果物ナイフの三つだ。
そのうち果物ナイフだけが抜けていた。これはありえないことだった。
第一、俺は一人暮らしだ。直近で家に上がらせた人も皆無。
また、俺は探偵を生業としている。そのため家を空けることが多く、事務所で寝泊まりすることもあるため、まず家に人をあげることは無い。
そして今日、それに付随して、またありえないことがこの家に起こっていた。
それはカーペットの血の滴りだ。血のようなものがナイフを収納している場所にひいてあるカーペットに付着していた。
匂いを嗅いでみたが、微かだが鉄の匂いがする気がする。
考えたくないが、おそらく俺が考えていることは事実なのだろう。
何者かが怪我の状態で、もしくは、なんらかの傷害事件を起こす前に、俺の家に侵入し、果物ナイフだけを持ち去った、というものである。
だが、血は少量滴っているに過ぎない。
やはり、怪我をした状態で家に侵入して、果物ナイフだけを持ち去った?というのが有力か。
どちらにせよ、怖いことこの上ない。
もう今すぐ忘れてしまいたかったが、忘れられない事情を今になって気がついてしまった。
その血は、ある一定の方向に向かって、大小様々な赤い円を描いて、順序よく点在していたのだ。
しかもその方向は玄関ではなく、ベランダの方向にあった。
ベランダから逃げたのだろうか。
ふとベランダに目をやると、窓にこべりついた太く深い血の跡とともに、ほんの微かだが人影が見えた。
どうも倒れかかっているように見える。しかも、なんだか、女性のような気がしてならない。
俺は気が気でなかった。とても面倒なことに巻き込まれそうな予感がしたからだ。
だが、この人を放っておくわけにもいかない。
俺はベランダへと向かうことにした。
次回予告
ベランダへと向かった夜宮。そこには妖艶な服装の女性がいてーー?
次回 type:2 正体