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彼女として

あの後疲れてすぐに寝た。そして夜が明け、僕は本を読んでいた。

雫は起きていて、今は朝ご飯を作ってくれている。料理が好きじゃない僕にとってはとてもありがたいことだ。

愛莉はぐっすりと眠っている、いつまで寝ているつもりだろうか。そろそろ東雲さんが来るのに…

そう考えながら本を読んでいたら、スマホが光りながら震え、僕に何かを伝えようとしていた。

「東雲さんからだ....」

「そういえば今日来るんでしたね」

「うん」

僕は通知を見た。

(あと30分くらいで着くよ!)

画面には文字のくせに元気さが伝わって来るように書いてあった。

「東雲さん、あと30分くらいで着くって」

「はーい。そろそろ愛莉を起こそっと」

「僕が起こすよ」

「ありがとう」

僕はそう言って愛莉を起こしに行った。扉を開け、愛莉のそばへ向かう。そして体をゆすってみたり、手を叩いてみたりした。

「おーい?愛莉?おきてー朝だよ」

「んんー?朝ですかぁ~?」

「うん、朝だよ」

5分くらいかけてやっと起きた。その後愛莉に歯を磨かせたり、朝ご飯を食べさせた。

「あと25分か...」

「瞬さん。またアンケートに答えて!」

「それ、何回やるの?」

「いーっぱい!」

「...愛莉、それじゃ分かんないでしょ」

「あ、えーっと...確か、2日に一度?」

「そっか、結構な頻度だね」

「それほど大事なやつなの」

(なんの意味があるんだろう?)

僕は疑問に思ったことを質問した。

「交代でやってるの?」

「ううん。この前は分からなかったからお姉ちゃんにやってもらったの」

「なるほど...」

そのあとアンケートに答えた。

そして家中にピンポーンとインターホンの音が響く。

「開けてくるね」

「うん!」

玄関に行き扉を開けると、そこには洋服を着こなした晴香がいた。瞬は思わず見惚れてしまった。

「どうしたの?」

「い、いや可愛くて見惚れちゃった...」

恥ずかしげに瞬が言うと、晴香は少し顔を赤くし、嬉しそうに笑った。

「ふふ、ありがとう」

「入っていいよ」

瞬が人見知りなのは全員知っているが、慣れれば普通に話せることは殆どの人が知らないことだ。しかしやっぱり慣れても目は合わせられないようだ。

「やっほー東雲さん!」

「こんにちは、愛莉ちゃん、雫ちゃんも」

「こんにちは」

瞬はソファに座った。すると晴香が勢いよく大きな音を立てながらこっちへ向かってきた。

「ねえ瞬。どうして2人がいるの」

少し恐ろしい表情で言う。

「え?えと..一緒に住んでるから...」

「え?!一緒に住んでるの?!」

「う、うん」

「...瞬」

「は、はい」

「私も一緒に住む」

「....へ?」

瞬も雫も愛莉も揃ってポカーンとした。いきなりそんなことを言われたら当然そうなるだろう。

「い、一緒に住むってどういうこと?」

「そのまんまだよ!」

「痛い痛い!一緒に住んでいいからほっぺつねるのやめて!!」

「東雲さん一緒に住むの?」

僕は東雲さんには圧をかけられ、愛莉はキラキラとした目でこっちを見てきたので断れなかった。

「うん、これからずっと一緒だよ!」

(東雲さん?!)

「やった!」

(愛莉もどうして?!)

「瞬さん。そうなるとどこで寝るかとか色々と決めないとですね」

(雫まで...)

「そ、そうだね。決めないと...」

大変なことになったと思いながら返事をした。

(誰か助けてよー!!)

心の中でそう叫んだ。

「東雲さん。どうしてここに住むと?」

「そんなの簡単だよ。彼女として、別の女の人がいると心配なの。あと、ずっと隣にいたいから」

「そ、そうですか。彼女としてですか....」

納得するしかないのだろうか...

「そういえば東雲さん今日はなぜここに?」

「瞬が心配だったから、少し話を聞いてあげようかなって。でも、今思えば瞬って記憶が殆どないのよね?」

「うん、最近..というか愛莉たちがきてからは鮮明に残ってるけど...それより前は殆ど覚えてないよ...」

「そっか...なら何しよっか」

「テキトーに話そう!」

愛莉が元気そうに言うと、少し雫が微笑んだ。でもその瞳の奥には何かを考えているように感じた。

(雫...やっぱり...)

心あたりはないが、仮説ならある。いや、それが心あたりなのか?まあいいか。ひとまずその仮説は確認のしようがないのだけ確かだ。

もし仮に、この楽しい日々が終わってしまうのなら。

この楽しい日々も、人生も、この世界でさえも必ず終わりはある。それがとても近かったなら...

僕は、僕たちはどうすればいいのだろうか。




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