デートじゃないです!!
一週間が経つのはあっという間で、気づけば土曜日になっていた。
「今日か明日、どこかでかける?」
「お出かけ!いいですね!」
「瞬さん!ここはどうでしょうか?」
雫がどこからかチラシを出して指差した。その指の下に書いてあったのは、一泊2日の旅館だった。そこはかなり有名なところで、僕も名前くらいは知っていた。一応東京都内らしい(写真は全然そうに見えないが)でもかなり綺麗で、評価もいいし、そこまで遠くないし、それに安い。僕たちはそこに行くことにしたが、予約制で、結局来週末になった。
「温泉か...久しぶりだなぁ...」
そう言ったもののあまりよく思い出せなかった。
「愛莉、みてこれ」
「なになに?」
「...こ、混浴?!」
僕はその時飲んでいたお茶を吹いてしまった。
「え?混浴?」
僕がそう聞くと、雫は笑顔で答えた。
「混浴だそうです!一緒に入れるのです!」
「い、いやでも流石にそれは...」
「混浴だー!」
愛莉は嬉しそうにはしゃいでいる。
僕はなにもできなかった。なぜなら予約キャンセルはもうできないからだ。
「流石に、君たちみたいな小さな女の子とお風呂なんて無理だよ...」
「見た目は幼女でも、200歳は軽く見えてます♪」
「え?!」
またまた衝撃を受けた。まあ天使だからなのか...
「っていやそれでもダメだよ?!」
「えー、瞬さんの体見たかったのにー」
「愛莉、やめなさい」
「ハイゴメンナサイ」
(姉って怖え...)
僕は姉という存在の恐ろしさを感じた。そして、同時に雫を怒らせてはいけないと本能で察した。
(気をつけよう...これから)
「雫、そ、そんなに怒んなくても大丈夫だよ...」
「怒ってないですよ?」
雫はにっこりと笑みを浮かべながら言った。愛莉の方を見ると....固まっていた。
(なんとか話を変えないと...!)
「そ、そうだ!近くのショッピングモールに新しいカフェができたんだ。今から行かない?」
「いいね!行く!」
愛莉が即答した。
「そうですね、行きましょ」
雫からは謎の圧を少し感じた。
...雫を怒らせてはならない。ここテストに出るよ!
そして僕たちはショッピングモールへと向かった。
(ひ、人が多い....)
人は苦手だ。多分僕が死ぬまでずっと苦手だ。
(うぅ...クラスの人に会いませんように!!)
心の中で強く願った。フラグが立ったような気がする。...え?やめてね?
とにかくカフェにたどり着きことができた。問題はそこからだった...
「さ、3人です...って東雲さん?!」
「あ!新島くん。...デート?」
東雲さんは、ニヤニヤしながら言った。
東雲さんとは誰か?彼女は東雲 晴香、クラスの子で、誰とでも仲良く話せて、美しくて、優しい、僕とは真逆の人だ。簡単にいえば、陽キャだ。そんな彼女が店員としていたのだ。この新しい、ノーバックカフェに...
「い、いや!デートじゃないですって!!」
「分かってるよ、君はそんなことできないでしょ?」
「うぐ...」
東雲さんとは中学から一緒で、少し話くらいはしていた。東雲さん以外にも、あと3人くらいいたな...
今思えば、どうして僕には女友達しかいないのだろうか?
「それに...君たち、双子でしょ?」
「は!正解です!」
「どうして見破ったのですか?!」
「だってめっちゃ顔が似てるんだもん。誰だってわかるよ」
(僕にはわからないんですが?)
「と、そんなことは置いといて、席案内するわね」
「あ、はい...」
僕たち3人は東雲さんについていった。
「はい、ここでいいかな?」
「あ、大丈夫です」
やっぱり目を合わせられない...
「東雲さん?でしたっけ...瞬さんとはどういう?」
「ただの友達。中学から一緒なんだー」
その言葉を聞いた瞬間、雫と愛莉がコソコソ話を始めた。
「だ、だから...」ゴニョゴニョ
「うんうん私も...」ゴニョゴニョ
「ま、注文が決まったらそこのベルで呼んでね、新島くん」
「は、はい、ありがとうございます!!」
やっぱ、こういう人がいるおかげで、僕みたいな人が救われていく。誰にでも公平に接する人がいるおかげで。
「私、これがいい!」
「チョコレートキャラメルクリームパフェ...?」
「じゃあ私はこのミルククリームパフェ」
「ミルククリームパフェ...?」
(めっっちゃ甘そう...僕も食べたいな...)
「僕は...バニラアイスパフェ...にしようかな」
...高いなぁ...5000円を超えたよ今ので...
ポーン
僕がベルを押すとすぐに東雲さんがきた。
「注文決まった?」
「あ、はい、愛莉からいいよ」
「えーっと、チョコレートキャラメルクリームパフェを一つで...あとホットミルク!」
「うんうん、君は?」
「私は、ミルククリームパフェで」
「分かった、飲み物はいらないの?」
「...うーん、じゃあホットのブラックコーヒーで」
「はーい、新島くんは?」
「僕はバニラアイスパフェで、飲み物はカフェオレで」
「了解、じゃあ飲み物だけ先持ってくるね」
「あ、ありがとうございます...」
東雲さんには笑顔で接客をして、キッチンの方へ向かった。
(はあ...まだ東雲さんでよかった...)
「瞬さん」
「あ...」
「瞬さんはすごく人見知りなのですね。さっきも一度も目を合わせてませんでしたよ...もう少し、自信を持ってください」
「あ、ありがとう雫」
自信か...
「僕は、どうしたらいいのか分からないんだ...」
「...」
「どうしたら、どうしたら東雲さんみたいに、あんなに人に笑顔を向けられるんだろうって思ってきた。結局、そんなことを考えても意味はないけどさ...」
「東雲さんに聞いてみては..?」
「え?!」
「そうですよ!いっそのこと聞いて仕舞えばいいのですよ!」
愛莉も賛成のようだ。
「そんな勇気、僕にはないよ...」
「でも東雲さんにはある。そう言いたいんですね?」
「あ、バレてた?」
「バレバレです。さっきもずっと、何かを我慢しているようでしたし、それに、東雲さんの方をチラチラ見てはその度に目が輝いていました」
「そんなとこまで見ているんだね...」
(東雲さんが美しすぎるのもあるけど...)