平和な日
翌日、目を覚ますと、家中に甘い香りが漂っていた。
リビングへ行くと、雫が料理をし、愛莉が洗濯物を干していた。
「おはよう、愛莉、雫」
「おはようございます!」
今日もまた元気に返事をしてくれた。朝からなんだかいい気持ちになった。
僕はすぐ着替えたり歯を磨いたりして、朝食を食べた。
「8時か...僕はもう学校に行かないと」
学校まで電車で1時間。9:30に始まるので、いつも8時に出ている。
「分かりました!」
「それではお気をつけて!」
「行ってらっしゃい!!」
2人とも息ぴったし、僕はそれに、慣れない笑顔で答えた。
「行ってきます」
最後にこれをしたのはいつだっけか。もう覚えていない。
「ねえ、愛莉」
「ん?どうしたの?」
「アンケート結果とかやらないとじゃない?」
「あ!忘れてた!」
「私食器洗ったら手伝うよ」
「ありがとう!じゃあ先にやってるね!」
雫も愛莉も、まるで右手と左手のように、一心同体で協力していた。
「お姉ちゃん!これってどうすればいい?」
「...記憶力の消失..昨日言ってたよね」
「そうだよね。じゃあここは“はい”で」
「これでいいかな?」
雫はアンケート結果の書かれた用紙に目を通した。
「あ、ここは違うかも」
「ここ?」
「うん、瞬さんは...そうじゃないから」
少し間を空けて言った。
「そっか...そういえばそうだったね...」
その意味深な会話は、瞬が帰ってくる直前まで続いた。この会話の内容は、雫と愛莉しか知らない。
「ふぁあ〜、ただいま〜」
「おかえりなさい!」
「お風呂は沸かしますか?」
「じゃあお願いしようかな」
「瞬さん!おかえりなさい!」
「うんただいま、雫」
いつの間にか僕は2人の見分けができるようになっていた。昨日まではよく迷っていたのに。
(あれ?何しようとしたんだっけ...まあいいや)
僕はリビングに行った。
(あ、本を読もうとしたんだ)
僕は部屋に本を取りに行った。
「あった」
その一言は、いつものように寂しく消えて行った。
「...瞬さん...」
「...ん?どうしたの雫?ずっとこっち見て」
「い、いえ!なんでもないです!!」
「そっか」
(やっぱり瞬さんは....でも仕方ないのかな...)
僕は本を読み始めた。
「瞬さん!洗ってきたのでもうすぐでお風呂に入れます!」
愛莉がドヤ顔で言った。
「瞬さん?」
「あ、ああ、ありがとう。ごめん、本に集中してた」
「なんの本を読んでるんですか?」
「ラノベ?“終焉に終焉を”っていうんだけど...読む?」
「どうゆう物語なのですか?」
愛莉が質問をしながら雫の方を向き、何かのサインを送った。瞬はそれに気づかなかった。
「えーっと、主人公が世界を救う...みたいな物語だよ」
「なるほど!読んでみたいです!」
「僕の部屋にあるから持ってくるね」
「ありがとうございます!」
僕は本の一巻を持ってきて、愛莉に渡した。
すると愛莉はパッと笑顔になり、すぐに読み始めた。
とても集中して読んでいる。なんでこんなに嬉しいのだろう。そう疑問に思いながら、僕は本を読んだ。
雫は、ソファに座ったあと、すぐにスヤスヤと寝始めた。僕と愛莉に挟まれて、ぐっすりと眠っている。きっと家事で疲れたのだろうと思い、僕はタオルケットをかけてあげた。
(...あれ?何してたんだっけ?)
「...瞬さん?」
「ん?」
「どうしたのですか?そこでずっと固まって」
「...固まって?そんなことしてないよ、気のせいじゃない?」
「...そ、そうですね!」
愛莉はそう言うとまたはを読み始めた。
機械「お風呂が沸きました♪」
「お風呂が沸きましたよ!瞬さん!」
「本当だ。じゃあ入ってくるね」
僕は、着替えを持って、風呂場に行った。
「...あ、バスタオル忘れた」
そうして僕は風呂に入った。