表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人間嫌いの魔族ステラの旅  作者: かに
合同ダンジョン攻略『暗殺者のダンジョン』
78/108

78.戦闘人形

 今はヘクターのことを気にしてる場合じゃない。

 重要なのは目の前にいる人形のことだ。人形は奇妙な仮面で顔を隠してこそすれど、手足の部分が破け、四肢がさらけ出されていた。そこにあったのは人間じゃありえない関節の構造をした手足だった。私は人間のように自在に手足が動く人形を見たことがないけど、あれがきっとそうなんだろう。

 

「ちなみに、そいつはリーゼロッテが操作してるからな。油断しないほうがいい」


 ヘクターの言葉に一々反応してたらキリがない。まじで文句の一つや二つじゃすまないけど、戦いに集中するべきだ。

 人形の仮面は笑顔を象った子供の絵のような意匠だ。そこに色んな絵の具をごちゃまぜに塗りたくってカラフルにしてる。センスが良いか悪いかは置いといて、悪目立ちして暗殺者に向いてない仮面だ。


「確かにこんなとこで躓いてたら攻略なんて夢のまた夢だもんね。さっさと倒させてもらうよ!」


 モネスが先陣を切る。

 敵の出方を窺ってた私とクリスタは出遅れる形になった。でも、それはあの不気味な人形の手の内が明らかになる前に動くのは危険だと判断した結果だ。私にはむしろモネスが無謀にみえた。

 次の動いたのはクリスタだった。

 モネスの服の襟を掴み、強引に引き戻した。


「なにす……うえええええ!?」


 彼女の進行方向だった場所に人形の三つ目の腕が通過した。その手には、少し長めの短剣が握られていた。腹の中から生えたそれはそのまま突っ込んでたら、確実にモネスの首を切り落としてた。それぐらい瞬きする間もない出来事だった。


「死んでたら回復魔法も使えないよ」


 クリスタの言葉に顔面が真っ青になるモネス。


「一瞬で首を繋いで治癒したらワンチャンあるかもよ……?」

「じゃあやってみるかい?」


 冗談に真顔で答えるクリスタにモネスは引きつった笑いを返した。

 

「無理!」

「相手は生き物じゃないんだ。より慎重に動くことだ。勉強になったろ?」

「わ、分かってるわよ!」


 モネスはクリスタの手を振り払い、再び拳を構えた。

 さすがAランク冒険者だけある。未知の相手に未知の攻撃を喰らいかけて怯む冒険者はたくさんいる。冒険者をやってく以上、それは常に連続して起こることだ。そんな中でも敵の攻撃手段に定石は存在する。でも、腹の中から腕が飛び出して目にもとまらぬ速さで首をはねようとしてくるなんてのは常識から外れたことだ。

 それでも、ビビらずに立ち向かえる。それこそが高ランクたるゆえんでもあるのかもしれない。

 

「ねえ、これはどうするの?」

「黙って自分で考えるんだね。あたしも今考えてる」


 人形は腹にある手を地面につけ、自分の体を持ち上げた。持ってたナイフは今人形に右手に持ち替えられてる。腹から生えた腕の長さは他の腕よりも4倍ほどの長さがあり、お腹に隠せるほどの関節の多さで折り畳まれていた。だから、今の人形は私たちを見下ろすような位置にいる。

 二人はそこからどう攻撃してくるのかまったく予想がつかなくて戸惑っているんだ。私もそうだ。あの人形の動きが今まで戦ってきた相手と全然違いすぎる。この敵はダンジョンのボスじゃないのに、それに匹敵する危険を感じさせた。

 でも、逆に言えばそれ以上のものは感じなかった。奇抜な動きに翻弄されてるだけで実質的な強さはボスに及ばない感覚がある。

 なら、付け入る隙はある。

 私は仕掛けられるよりも先に前に出た。

 腹の腕という不意打ちはもうない。体の構造的にも他に腕を仕込める空間はない。だったら、体をあの腕で支えてるうちに腕を斬れば、あの敵の攻撃手段を減らせる。


「……は?飛んだ!?」


 私の斬撃は空振りに終わり、人形は私に目もくれず、上に飛んで天井に足をつけた瞬間、そこを蹴ってクリスタにめがけて飛び込んだ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ