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人間嫌いの魔族ステラの旅  作者: かに
吸血鬼の影『彷徨う死のダンジョン』
46/108

46.いざ最下層へ

 確かにダンジョンの根幹に繋がる驚くべき情報だ。ダンジョンの中にある文明もその滅亡した文明のものだと結論付ければ納得がいく。それが真実かどうかは別として。クリスタの証言もあくまで書物によるものだ。実寸大の事実じゃない。決して、クリスタに嫉妬してるわけじゃないんだ。


「さすがクリスタだ。私もなるべく見聞を広めたいとは考えてるけど、なかなか文献までは手をだせなくてね。すらすらと字が読めるようになれればなあ」


 聞いてる限り、貴族の管理する図書室にしかない歴史書の話だ。忍び込まないと読めないはずだけど、ネーヴはそのあたりを意に介してない。そこに頭が回らない性格じゃないからきっと忍び込めるんだろうな。

 そんなことよりも、ネーヴがクリスタを褒めたことに対して私は一言申したい。褒めるのは私だけにしろと。


「なに、たまたまそういう機会があっただけさ。それで、そのダンジョンボスはどんな攻撃をしてきたんだい?」

「ただの物理だよ。それより驚いたな。君は知恵を司る妖精なのかい?」


 せっかく機嫌を直したはずのクリスタの表情に陰りが見られた。よくもまぁこんなに多様な表現でおだてることができるもんだ。全然誰の心にも刺さってないけどね。


「あたしが読んだ歴史書には8人の騎士の詳細な情報は載ってなかった。外見の特徴とどんな力を使うかだけだ。巨大な体躯の騎士の力は『闇魔術』。それがどんなものなのかは不明だ。使ってなかったんなら覚悟しておいたほうがいい。そいつはまだ手の内を明かしちゃいない」

「……なら、こちらからは俺しか出せないな。トニーとルーカスにはここに留まって残された人の護衛をしてもらう」


 トニーとルーカスはエドよりもイカつい顔をしてて腕っぷしが強そうだ。それでも、エドのほうが強いらしい。人は見た目によらないとはいうけど、エドのさっきからの軽薄な態度を考えたらどうしてもエドが強そうには見えなかった。

 存在を主張しない強面の二人は戦力外通告をされたにも関わらず肘を膝の上に置いたり、腕組みをしたりするだけで特に異論はないようだった。


「まあ、それが賢明だ。あんたの強さはよくわかんないね。自分を弱く見せるのが得意なのかい?」

「残念ながらこれが素だ。美しい女性を見るとつい甘やかしたくなるんだ」

「聞いたあたしがバカだったよ……最下層エリアの地形も他のエリア同様の構造とみなしても?」

「問題ないよ。ただ建物はほとんど廃墟同然に崩れてる。第一階層の赤い月がでた町よりもひどい有様だ。滅びたんだろうね。君の言葉を借りるなら」


 そう言ってエドは席を立った。彼の手には短い槍が二つ。かなりの重量感が伝わってくる。斬ることをまったく想定してない無骨な造りだ。まるで吸血鬼の心臓を貫くための杭のような武器だ。ここまで敵対派閥の吸血鬼を追ってきたんだ。後ろ暗いこともあるんだろう。エドの振る舞いからはまったく想像できないものだ。


「そうと決まれば早速行こうか」

「最後に一つだけいい?」


 ネーヴが挙手をする。


「君のためならどれだけでも待つよ」

「ダンジョンを攻略したら自動的に入り口に戻されるよね。複数の入り口がある場合はどうなるの?エドは魔族領のほうからやってきたんだよね?」

「実に興味深い話だ。君の満足のいく回答をもってたら喜んで答えるというのに」

「あ、それは私が知ってるよ」


 あまり喋りたくなかったけどさすがに私ぐらいしか答えられない疑問だったので声を上げた。というか、まだはっきりと明言してないのに暗にダンジョンが魔族領にも繋がってることを肯定してるエドは隠さなくても大丈夫なんだろうか。いや、彼もダンジョンを潰したがってるから隠されなくてもいいのかもしれない。


「ダンジョンを攻略したら、最後に出入りしたほうの入り口に戻される」

「そうか。じゃあ、攻略したあとの彼らの保護は君たちに任せるよ。彼らは魔族領の入り口には行ってない。逆に、俺たちはそっちの入り口に行ってない。君が懸念しているのはそういうことだろう?」

「理解が早くて助かるよ」


 私はすっかり忘れてたのにネーヴはちゃんと攫われた人のことも考えてたわけだ。そして、エドもそれをいち早く気づいてあげた。なんか負けた気分になった。しょっちゅう負けた気分になるので慣れてるけどね。私はそういう人に配慮することに対してのフットワークが重い。そんなことどうでもいいと思ってたけどネーヴのことに関してはなんとかしたい。

 思いやるってことが3年たっても進歩してない。私の悩みの種だった。

 そんなことを考えながら、ダンジョンボスの攻略に関しての段取りは終わり、いよいよ最下層に挑む運びとなった。

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