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人間嫌いの魔族ステラの旅  作者: かに
吸血鬼の影『彷徨う死のダンジョン』
33/108

33.雲行きが怪しい道中

 明朝、眠たい目をこすりながら集合場所に行くとマックス以外の全員がすでに集まってた。どうやらマックスは居残り組らしい。ゲラートのいつもの傀儡が3体、村の外で待機しているから非常時には対応できるけど、騎士の方々には口にできない話だ。だって倫理的にアウトだし。だから、部隊を分けるという判断は適正だった。

 こちらについてくるカタリナ率いる騎士の数はカタリナ含めて4名。他にマックス含めて5名が村の警備にあたる。騎士の数が少なく感じたけど、その後に戦後だから人手が不足しているという説明を思い出した。

 

「本来は私が残るべきだが、女性ばかりの集団に彼を投げ入れるわけにもいかないからな」


 カタリナの配慮はさすがだった。まず間違いなくマックスが来てたらクリスタが良い顔をしないし、私も終始無言になってたかもしれない。どのみち人間は嫌いだけどやはり同性のほうが話しやすい。クリスタのようにダル絡みしてこないなら尚よしだ。

 かくして吸血鬼に襲われた疑いがあるという廃村に向かったわけだ。その道中、何度か魔物に襲われることがあったけど、比較的弱い魔物でこれぐらいだったら少し鍛えた一般人でも一匹に対して集団でなら対処できるな、というレベルだった。私が10年間住んでた魔の森の魔物が一匹でも出たらあの村は影も形も残らなかったんじゃないかな。それでも、私たちが普段活動してるエリアの魔物よりは活発ではあった。


「強いな……」


 カタリナが複雑な心境を少しだけ表情に滲ませながら言った。

 彼女自身、冒険者のことを快く思ってないんだろう。でも、冒険者だからと軽んじてはいない。認めるところは認めるし、自分の出来ないことは素直に出来ないと認められる。


「カタリナも強いじゃん」

「いや、不肖ながら隊長を務めさせていただいてる身だが、対峙したところで一太刀も入れることはできないだろう。私もそれなりに場数を踏んでいたつもりだ。上には上がいるものだな」


 すごく謙虚な人だ。クリスタなら絶対煽ってくるのに。


「魔術使えるならオーステアぐらいなら良い勝負できるよ」


 ほらきた。頭をよぎったそばからこれだ。こいつはそういうやつだ。


「なんなら今からあの時の続きしようか?」

「望むところだ。泣きべそ掻くなよ?」

「ちょっとちょっと!今仕事中なんだからそういうのは終わってからにしてよ」


 終わってからならいいんだ。ネーヴも止めには入ったけど決着をつけること自体は特に文句ないらしい。さすがに冗談なので今ここでおっぱじめるようなことはしないけどね。


「あなたも大変だな」

「これでも楽しくやらせてもらってるよ」


 カタリナの同情をよそにネーヴは私とクリスタの小競り合いを愉しんでいるみたいだ。

 私は全然楽しくないけどね!


「ほら、もうつくよ。あー……ちなみに消息が途絶えて何日経ってる?」

「半年と聞いたがこれは……私たちが調査に来た時はこうはなってなかった。冒険者ギルドの調査員が亡くなってたのもこの先の村での話だ」


 目の前の道は途絶えていて、村への道のりは獣道になってた。明らかに普通じゃない。この先に都合が悪いモノがあって、隠蔽するために意図的に地形を変えられてる。ゲラートの反応を窺ってみると、強張った表情で頷いてきた。どうやら、魔族関係で心当たりがあるということだ。

 あーやだやだ。杞憂だったらよかったのにほぼ確定ってことじゃん。


「おそらく幻覚だ。人除けの魔術と似てるけど少し違うね。もし人除けの魔術だったら私たちはすでに迷ってるはず。ここから先は何が起きるか分からない。みんな警戒したほうがいい」

「探索の魔術がきくか分からないが、私の部隊を後方に配置しよう。前は頼めるか?」

「ああ、そうしよう」

「オズ、クリスタ。この魔術の中だと感覚が狂う可能性がある。お互い見失わないように自分の感覚を研ぎ澄ませてほしい。自分以外あてにしちゃいけないよ」


 ネーヴはそう言いつつもゲラートのほうを一瞥する。これが魔族の仕業なら解決方法はゲラートが知ってるはずだ。最悪の場合、私の『シーカー』のスキルで解明するつもりでいよう。

 なんて考えてたら、ゲラートがネーヴにとびかかり、ネーヴがゲラートを抱きかかえる形になった。なるほど、何かあっても指示しやすいようにそうしたわけね。別に羨ましくないからね?ネーヴの胸の上という特等席を獲得したゲラートはネーヴに撫でられながら涼しい顔で私から目を背けた。

 なんてこった。ずるい!

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