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プロローグ
ある青年が今、校舎の屋上に佇んでいる。
服装は男子学生が着る制服そのものであり、襟にはこの学園の校章が光っているのでこの学園の生徒である事が伺える。その彼は屋上のフェンスを越え、屋上の端、ぎりぎりの位置に立っていた。
彼の眼下に広がる校庭には沢山の生徒たちが集まっていた。しかし、決して彼を心配し、彼に注目しているわけではない。それどころか彼に気づいているのは数人しかいない。そしてその気づいた数人さえ、興味なさげにすぐに彼から視線を外した。
彼はそんな光景を目撃しながら、ぎゅっと口を閉じ、目を閉じ、己の中の声を聴き、覚悟を決める。
そして、彼は体を傾け、屋上から落下を始めた。
第一話は既にあります