そんなもん5年も続けんな
「ようこそ。ここには強いこだわりを持つものが集まる。この集会は自分が長い間、五年以上続けていることを暴露し合う会となっている」
「では、先鋒をそこの君に託そう、よろしいかな?」
「ああ、了解だ。俺はもう生まれてこの方十数年。毎日必ず一曲歌ってから家を出ている」
「つ、辛い時もか」
「ああ、辛い時こそだ!そうすることで朝からテンションが上がり、その日全体のパフォーマンスが大幅に上昇する」
「たしかに」
「さすがだ。君を先鋒に任命した僕の目に狂いはなかったみたいだね。じゃあ次は君だ。上がったハードルを超えてくれることを信じているよ」
「俺はどんな時でも必ず、家を出る前に10分間。なにもしない時間がある」
「なっなんの意味がある?」
「俺は昔から遅刻やら、忘れ物が多くてな。この無の時間を作るようになってから俺は人間として大きく成長したと自負しているよ」
「バカを言うな!そんなことで遅刻がなくなる訳ないだろ!」
「そうだ!冬の朝の布団の中でも貴様は同じことが言えるのか!」
「君たち、まずはやってみてからにしたらどうなんだ!いいか!大事なのは絶対にこの10分を作ると心に誓うことだ。絶対に10分作るんだという気持ちだ!」
「なるほど、遅刻しそうになったとき、誰もが一度は思うだろう。10分時間巻き戻したいと。10分あれば...とただ人は時間を逆行できない。だからこそ、その10分をあえて作るんだ」
「なるほど」
「見事だ。では、最後にこの会を占める役割を君に頼むが構わないかな?」
「ああ、私はこの5年ほど続けているものがある。それは、広告でよく見る選択肢を間違えまくって腹立つゲームだ」
辺り一体がざわついた。
今までになく批判の声も大きい。だが、彼は決して揺るがない。
「暇?たしかにそうかもな。役に立たない?たしかにその通りだ。だがな、今の私にはこんなものでも5年続けたという実績が存在する!いいか、私はこんなものでも続けられたんだ。例えば、ランニング、筋トレ、勉強...意味がないものを続けられた私ならば意味があり、役に立つものを確実に続けられるだろう!」
その熱意に拍手が起きた。
「...見事だ。以上で今日の会を終了としよう。来年は第6回。同志たちよ、よろしく頼んだ。では、新入り、感想はあるか?」
「こんな会5年も続けんな!」