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愛されクソ雑魚TSエルフが紡ぐ異世界シンフォニー  作者: 桜寝子
第2部  第2章 新しい夢の始まり
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第59話 のんびり往こう、何処までも

 春真っ盛りな、よく晴れた昼下がり。

 平原に雷鳴が轟き、断末魔と共に魔物が散っていきます。


 魔物の群れとの1戦を難無く終えたエリンシア一行は、一息ついて汚れを落としたりとのんびり。

 ハンターの仕事にも使われる馬達は、戦闘音に驚く事も無くどっしりと待ってくれています。


 実はこの3頭、旅の為に団長が買い取って贈った馬なのです。特に屈強で頭の良さそうな馬を選んだのだとか……

 まぁそれは置いておきましょうか。



 昨日街を出てから、彼女達はさっそく西へ東へとウロウロしながら湖に到着しました。

 ランブレットから北東に位置するその湖は、コースト湖と呼ばれています。

 なんだかお買い物をしたくなる名前ですが、ただの偶然でしょう。


 湖はランブレットとミスラともう1つ、リーンウェルと言う3つの街の大体真ん中に位置します。

 平原の中にある大きな湖なだけに、様々な生物が集まる場所。

 残念ながら、危険な生物も居る可能性があるので湖で遊ぶなんて事は出来ません。



 彼女達が湖に着いたのは夕方頃。

 少し離れた所にルナの魔法で石の小屋の様な物を作り夜を明かしました。

 なんとも便利過ぎるけれど、この世界では珍しい話でもありません。

 やっているのが精霊というのは異常に珍しいけれど。


 この湖はハンターの活動範囲の目安になっており、つまり距離としてはその程度。

 中央を目指し北上する予定ですが、初日という事もあり知識と技術の復習と実践を兼ねてゆっくりしていたようです。



 先程名前の挙がったリーンウェルが、今彼女達が目指している目的地。


 ランブレットと中央の間に位置するそこは、大農場であり重要な街。

 どの街も残念ながら完全な自給自足は難しく、こういった街から輸送され支えられているのです。



 ようやく話を戻せましたが、その道中での戦闘が開幕の雷でした。


 既に実力者として数えられる程になったセシリアとリリーナとセシル。そこに加えて精霊のルナ。

 ハッキリ言ってそこらの敵相手に遅れは取りません。


 エリンシアも歳を考えれば充分やれている方ではあるけれど、如何せん仲間が強いので活躍も何も無く……


 それでも今回は多少数が多かったので、シアも参戦し無事に終わらせる事が出来ました。

 共に行く仲間らしくちゃんと活躍出来た事で、なんだか満足気です。



「実戦でシアの力と合わせたのは初めてだけど……やっぱりとんでもないわね」


「うんうん、便利過ぎるねぇ」


 一息付きながらリリーナとセシリアが感慨を呟きます。


 ほぼ破られない防御なんていう、本来考える事も無い要素があるお陰で楽なんてものではありません。

 数秒護ってもらって、じっくり練り上げた魔力で大火力をぶっ放す……なんて事も可能でしょう。


「流石、あの山で生きてきただけあって周りを良く見れてる。護られる事に甘えてしまいそうだよ」


 その便利過ぎる防御に甘えてはいけない、とセシルは自戒を込めて呟きます。


 本人はそんな評価を聞いて、ふんすと誇らしげ。

 何故かルナも同じ表情ですが、やはりシアが褒められると彼女も嬉しいのでしょう。


 ちなみに周囲を見て反応は出来ても、体が追い付かないのがエリンシアという残念な子。

 それでも護れるからなんとかなっているだけなのです。


「矢もしっかり当ててくれるしね。しかも魔力さえあれば撃ち放題」


「そりゃ団長達も背中を押せる訳だよね。悩んでたのはシアちゃんがまだ子供だからってだけだったし」


 エリンシアの魔法は適性が無いので、どうしても攻撃には向きません。

 しかしそれをカバー出来る弓矢は随分と上達しました。


 未だ貧弱ではあるけれど、身体強化には以前より耐えられる様に。

 そこに体の成長もあって、弓は実戦に使える強い物に変わっています。


「えへへ……そんな急に褒められたら恥ずかしい……」


 そこまで言われると流石にむず痒いようです。

 頭を撫でたりと存分に可愛がられ、抵抗は諦めてされるがままな彼女ですが……その表情はやはり柔らかいもの。



 しかしいつまでも休憩はしていられません。


「さぁ、そろそろ行こうか。リーンウェルはもうすぐだ。ゆっくりするなら街に着いてからにしよう」


 頃合いを見計らってセシルが口を開きます。

 丘の向こう、遠目に街が見えているのでわざわざ外でのんびりする意味も無いでしょう。


 その言葉を皮切りに其々馬に乗り出発。

 勿論エリンシアは手伝ってもらっているけれど、今回はセシリアの方に乗るらしいです。


「リーンウェルって行った事ある?」


「私は数回……まぁ皆そんなもんかな。観光とかはしてないから楽しみだよ」


 セシリアにしがみついて、目指す街について聞いてみます。


 ランブレットとは一応隣街という扱いなので仕事で訪れた事くらいはありますが、純粋に楽しみに感じているようです。

 きっとそれはリリーナとセシルも同じでしょう。



 そのまま多少の会話を挟みつつ進みます。

 のんびりとも急ぐとも言えない速さで、逸る気持ちに合わせる様に、タッタカタッタカ音を響かせ揺られながら……

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