第17話 洗い洗われ、開き直り 1
「ふぁっ!? なんで裸に!?」
気付いたら脱衣所で私は裸にされていた。
突然の話でフリーズしてる間に運ばれて脱がされたらしい。
思わず体を隠してしまった。
山であんな生活してたけど、羞恥心は残ってたみたい。
じゃなくてっ!
私は大人の男だからっ……でも今は女の子だし……いやダメだよ!
親は別として、彼女達は流石に罪悪感とか色々ヤバイ。
あ、でもそう考える時点で私はやっぱり男なんだな。それは良かった。
だからそうじゃなくてっ!
あぁ、もう皆脱いでる……下着姿が眩しい……
「シアちゃん、なんかずっと固まってたよ」
「あたしが無理矢理連れて来させたんだ。諦めろ」
リーリアが裸になりながら言う。
見ちゃいけない……子供同士だしいいか。いやだからダメだってば。
ていうかルナの所為か!
「真っ赤だし恥ずかしいのは分かったけど、もう皆脱いじゃったし行くよ」
「シアちゃん、どうしても恥ずかしくて無理だったら言ってね」
ふぁぁああああ!?
なんて眺めだ……違うそうじゃない!
罪悪感が凄いけどやっぱり見たい……違うって暴走してるぞ。
もうわけわからなくなってきた……
「ぶぁっ!?」
顔に冷たい水が掛けられて少し冷静になれた。
「おーい、いい加減起きろ。予想以上に面白い事になってそうだけど、固まってたら面白くないよ」
こいつ本当に酷いな……って、ルナも裸!?
お前今まで私の前で服脱いだ事無いじゃないか!
ルナも自分で言ってた通りちゃんと女の子で――嘘だ、ルナにまでドキドキしてるのか……
私もうダメかもしれん……
「ダメだこいつ」
とにかく落ち着く時間をくれ……
落ち着こう、頑張れ私。自分の体で見慣れてるだろう。
全く成長してなくても同じ体だ。
自分が男だという事は忘れずに、女の子同士だと受け入れるんだ……
「なんにしろこっち来なさいな」
「そんなに恥ずかしいんだねぇ……」
「シアは他の人の裸に慣れてないんだと思うよ。あたしとしてはもっと恥ずかしがってくれると面白いんだけど」
「ああ、そういう事なの。自分じゃないんだ」
「なるほどねぇ……だからさっきからこっち見て赤くなってたんだ」
やめて分析しないで……あとルナはどこまで私を辱めるつもりなんだ。
でも結局はそういう事だ。
男なのに女の子同士として、無遠慮に見てしまう。
その罪悪感と興奮で混乱してるだけだ。
そう、そんな単純な話なんだ。
落ち着いて受け入れてしまえば大丈夫。
深呼吸だ。ひっひっふー……違う。
「すぅ――はぁ……あぅ、ぅぅ……よしっ!」
罪悪感は仕方ないけど、どうしようもない。
悪いけど諦めさせてもらおう。
「あ、復活した」
ばっちり見えてるけど、もう大丈夫だ。
全て受け入れた私はもう何の問題も無い。
「ふふふっ、シアは大変だなぁ」
結局また全部ルナの所為じゃないか、覚えてろよ……
「ていうかルナは恥ずかしくないの?」
「恥ずかしいけど。でもシアを恥ずかしがらせて楽しめるならいいかなって」
なんだそれ……
「ルナの小さい体だとお風呂ってどうなんだろう」
「湖で遊んだりしてたし、溺れたりはしないよ」
リリーナがシャワーを流しながら言うと、ルナはお風呂に飛び込んだ。
楽しそうだな……そういえば私って泳いだ事無いや。
この体じゃ溺れそうだ。
「さて……シア、洗ってあげるからおいで」
「えっ?」
「私、妹と洗いっこってしてみたかったんだよね」
洗いっこ!?
そんな事したら私はどうなっちゃうんだ……いやでも断るのも悪いしな。
させてもらいましょうとも。
他意は無い。無いんだ。
開き直ったからってそんな……ねぇ?
「わぷっ」
頭からお湯をかけられた。
山でも魔法でお湯を作って洗ってたけど、気持ちよさが違うな。
軽く流され、まずは伸ばし放題の髪をシャンプー。
「一応出来るだけ綺麗にしたり、梳いたりしたけど……改めてこう洗ってみると、結構ギシギシになっちゃってるね」
朝起きた時になんか髪がすっきりしてたのはそのお陰か。
髪が痛んでるのは仕方ないけど、この程度で済んでて本当に良かった。
この髪は特別なんだ。
「これからはちゃんとお手入れしようね。きっとすっごく綺麗になるよ!」
まずは無造作に伸びたのを切った方が良いだろうな。
今日の買い物でも髪関係は買ったし、真面目に手入れするつもりだ。
この真っ白な髪は気に入ってるし、なにより――
「うん、頑張る。お母さんと同じ髪なんだ。綺麗にしたい……」
「シア……」
「うぅ……色々教えるし買ってあげるからね」
うん、お願い。これだけは……
なんだかお母さんに洗われてたのを思い出して切なくなってきた。
しょんぼりしてる間に泡は流され、次はトリートメントをわしゃわしゃ。
髪が長い分大変ではあるけど、時間を置いて髪に浸透させるとか無い。
地球のとは素材が違うんだよ素材が。多分。
名前は同じだけどね。気にしたらいけない。
「もっかい流すよー」
「ん」
そんな話は置いといて、これで洗髪は終わり。
出来るだけ毎日洗ってたのに凄くスッキリしたから、やっぱシャンプーとかって大事だな。
「ほら! ちゃんと洗ってサラサラになっただけでもこんなに綺麗!」
「ありがとう……」
お礼を言うと頭を撫でられた。
それもお母さんが髪を洗った後よくやってくれたやつだ。
「じゃあ私達もサッと洗っちゃうから、少し待っててねー」
あれ、洗いっこじゃなかったの?
ていうかリーリアも自分で魔法使って洗ってたみたいだ。
よく分からないけど、とりあえず大人しく待ってよう。
「お待たせ。さぁ、次は体を洗おっか」
未だに泳いで遊んでるルナを眺めてる間に終わったらしい。
そうして皆で髪を纏めて……リリーナが手招き。ついに洗いっこタイムか?
「あたしとシアちゃんで洗ったげる!」
「じゃあお願いしようかな」
「やったぁ! 妹2人に洗ってもらえるなんて……」
セシリアは欲望を隠さないね……
でも残念、先にリリーナから洗うらしい。
やる気充分なリーリアと並んで、充分に泡立ててゴシゴシ。
「あはは、流石にちょっと恥ずかしいね」
「なんか懐かしー」
姉妹でもこの歳だと恥ずかしいのか。
ならなんでこんな状況に……
「うわぁ……わぁ……」
柔らかい……無遠慮に触るなんて、こんな事が許されていいのか?
綺麗な背中に、小振りだけど形の整った胸も、細い腰も……そして軽く足を洗って終わる。
詳しい情景はカットだ。これ以上いけない。
「こんな感じでいいのかな? 人の体なんて洗った事無いから……」
「いいよいいよ、ありがとう」
そして流す。泡が流れていくとまた色々見えちゃってヤバイ。
「じゃあ交代! お願いねー」
そしてすぐにセシリアに変わった。
なんで洗われる側のやる気が高いんだろう……
「うひゃぁあ……」
たぷたぷ……リリーナと比べて全体的に――いや失礼だな。
「お姉ちゃんよりおっきいねー」
「そ、そういうのは言っちゃダメだよ……」
そこに触れてはいけない。
いや物理的には触ってるけどそうじゃなくて……
「小さくて悪かったわね」
「あはは……」
ほら怒っちゃった。セシリアも流石に苦笑いするしかないらしい。
人の体の事はあまり口に出すべきじゃない……と思ってるんだけど、この世界って種族で見た目も違うからどうなんだろう。
未だにそういう価値観は分からないや。
「私だってもう少しくらいは成長する筈なんだから……」
「えっと……うん。なると良いね」
「嫌味かっ!」
「あいたぁ!」
べちーん、とリリーナがセシリアの胸を引っ叩く。
泡で滑って大した痛みは無いだろうけど――揺れる揺れる。
「わぉ……」
おっと、つい声が漏れてしまった。
「終われ終われ! もう交代っ!」
そう言って魔法まで使って思いっきりお湯で流し、悲鳴が上がった。
こっちまで巻き添えだけど、皆で笑ってた。
正直しょうもない事なのに、なんでこんなに楽しいんだろう。




