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愛されクソ雑魚TSエルフが紡ぐ異世界シンフォニー  作者: 桜寝子
第1部 第1章 新しい居場所
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第15話 背伸びしたいお買い物 2

 そんな話をしてたからか、ふとした疑問が湧いてきた。


「ルナこそどうなの? 精霊って男女がどうとか性欲ってあるの?」


 ひとまず買う予定のパンツを纏めながら聞いてみる。

 私はルナしか精霊を知らないけど……女の子の姿をしてるって事は男女があるって事だよね。


「女の子にそんな事聞く!?」


「あだぁっ!?」


 言ったら脳天から殴られた。

 流石に性欲云々まで聞いたのはダメだったか。痛い……


「えぅ……だって気になったから……」


「精霊は自然から生まれるから、そういうのは無いの! ……多分。――それにあくまで人の姿を模してるだけだし」


「模してるだけなの? 不思議だね……」


 人を模して生まれる理由って何だろう。この世界は不思議だらけだ。


「超高密度なマナの塊みたいなもんだからね。――とにかく、模してるって言ってもちゃんと女の子なんだから、変な事聞かないでよね!」


 そういえばルナの服の下は見た事が無い。

 どこまで人間なんだろう。


 血が通ってる事は知ってる。

 胸もちょっと膨らんでるし……必要無い筈なのに。


 ていうか食事をしてるなら出す物もある……よね?

 いや流石にそれを聞くのはマズイ気がする……でも気になる……!


「ねぇルナ。変な事聞くけどさ……」


「変な事聞くなって言った直後になんで聞き直すの!?」


 そういえば言われたな。まぁいい、勢いで聞いてしまえ。


「人を模してるって、体の中はどうなってるの? おしっことか――」


「本当に変な事聞くなっ!!」


「お゛ふ゛っ……」


 正面から顔を思いっきり殴られた。

 痛った……あ、鼻血出た。


「お、女の子になんて事を聞くんだっ……全くっ!」


 自分でも酷いとは思ったけど、仕方ないじゃないか……


「ルナだって気になった事は確認したがる癖に……」


 悪いとは思ってるけど、ボソボソと文句に近い言い訳をしてみる。

 ルナも私と同じで、好奇心には勝てないからね。



「………………する」


「……えっ?」


 凄く小さい声だったけど、まさか答えてくれるなんて思わなかったから驚いた。

 自覚があって言い返せなかったのかな。顔が真っ赤だ。


「するって言ってんのっ!」


「あ、大丈夫……聞こえてる」


「ふんっ!」


「うぐぇっ!?」


 今度は鳩尾を殴られた。

 地味に強化使っててめっちゃ痛い。

 

「ほんとっ……こいつぅ……っ……!」


「なんで……?」


 これ何の1発……?

 さっきから周りに人の目が無くて良かった。


 でも、そっか。精霊も人間なんだ。

 マナの塊と言っても、概念的な存在じゃないんだな。


 経緯はどうあれ、今までより身近に感じられた。

 こんなお下品な話でも意味はあるんだ。

 うん、そういう事にしとこう。


「この馬鹿……デリカシーを前世に置いてきたんじゃないか?」


 かもしれない。



「まぁとにかく……ただ種族が違うだけで、結局は人と同じなんだね」


「同じ……かもね。自然に生まれる存在だけど」


「それでなんで男女の意識があるんだろ」


 精霊同士で子を残す訳でもないのに男女があるなんて。

 ちょっとは理解出来たと思ったけど、やっぱり謎だらけだ。


「理由なんて知らない。誰も分からないんじゃない?」


「本当に不思議だなぁ……」


「違う世界から記憶持って生まれ変わった奴に言われてもなぁ……」


「それは確かに」


 そういえば私こそ何より不思議な存在だった。

 つい笑ってしまって、ルナもつられて笑う。


 不思議だけど楽しいからなんでもいいか。


「ふふっ……って、シアの所為でだいぶ時間経っちゃったじゃん! 待たせてるかもよ!」


「ご、ごめん……そうだね、戻ろっか」


 笑い合ってたらルナが突然ハッとして怒り出した。

 確かに随分と話し込んでたけど……私の所為か?


 まぁ、なんにせよ待たせてたら申し訳ない。

 さっさと2人の所に戻ろう。






「んー……やっぱりシアちゃんにはこういうのが……」


「それならまだこっちの……」


 戻ったら声が聞こえてきた。え、まだ選んでるの!?

 もしかして余計な注文をして悩ませてしまったのかも……


「むーん……難しいねぇ」


「やっぱりサイズが……もうちょっと成長したらまた違うんだけど」


 どうもサイズ的にあまり選択肢が無いらしい。

 やっぱり悩ませてた、ごめん……


「妹が同じ歳だけど……多分身長20センチくらい違うのよね」


「シアちゃんは7歳くらいの見た目だもんね……」


 声を掛けに近づくと、聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。

 同い年でそんなに差が……噓でしょ……?


「あの……私ってそんなに小さい?」


「あっ、シアちゃん、下着は選べた?」


「あー……そうね、シアは事情もあるし成長が遅いみたいだから……」


 とりあえず選んできたパンツ達をセシリアに渡しながらリリーナの声を聞く。


 成長が遅い事は分かってたけど、比較対象がもっと小さいルナだけだったもんな。

 ちゃんと実感出来てなかったかもしれない。


「そっか……じゃあ買うのは本当に何でもいいよ?」


「ごめんねー、無くはないんだけど、どうしても少ないのよ」


 なら私の意見は無視してもらって大丈夫だ。

 それに2人が考えて選んでくれたものならそれだけで嬉しい。


「はぁ、頑張っていっぱい食べて大きくなろう……」


 ともかく、何をするにもまずは健康的な歳相応の体を手に入れなくちゃな。

 と言っても何年掛かるやら……



「それにしてもシアちゃん、結構買うね。やっぱり気にしてただけあるのかな?」


「ホントだ、おしゃれさんだね。柄は似てるけど」


 えっ?


「シアはパンツに拘りがあるみたいだよ。普通はどれくらい買うものなの?」


 えっ!? 違っ……拘りってそういうのじゃなくて……!


「私が子供の頃ってどうだったかな……でも大体5、6枚くらいじゃないかな」


 えぇっ!? そうなのっ!?


「そうね、そんなもんかも。大人ならまだしも子供だと……まぁ当然人によって違うけどさ」


 女性の下着は多いイメージだったのに……

 ていうか今履いてる分を忘れてたから11枚じゃん。


 いくら分からないからって考え無し過ぎた。

 ルナがテキトーな事言わなければっ……


「ぷっ、ふふっ……シアはおしゃれに拘るねぇ」


「んなっ!? 違うっ! そういうんじゃないから!」


 私がショックを受けてると、ここぞとばかりにルナが弄ってきた。

 流石に否定したくて手も頭もブンブン振る。


「いいよいいよ、恥ずかしがらなくて。別にそんな数珍しくは無いしさ」


「背伸びしてちょっと気になっちゃうだけだもんねー。あるある」


 必死に否定する私を微笑ましく見てくる。やめて見ないで……


 服には注文付けて、これに至っては自分で選んできたんだ。

 もうどうしようもないかもしれない……


「じゃあ、とりあえずさっさと買って帰ろうか?」


「そうね、ひとまずはこれで。シア、行くよー」


 気付いたら話は進んで、手を引かれて歩いてた。

 いや、ちょっと待ってパンツ半分戻しに……あぁ、もうダメだ。もう遅い。


 仕方無い、自分で選んでおいて今更騒いでも迷惑だろうし受け入れよう。

 不服だけども。服だけに。……いや、ごめんなんでもない。






 そんなこんなで、賑やかな買い物は終わり家へと帰った。

 ただの買い物だったのに私のダメージが大きい気がするけど……


 でも、人と家に帰るっていうのが――ただいま、おかえりって言うのが、懐かしくて嬉しくて。

 その頃には全部どうでも良くなってた。


 結局楽しい気分で終わるんだから、きっと私は単純なんだろうな。

 でも単純で結構。その方が色んな事を楽しめるさ。

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