魔族領
「ふむ、先遣隊がやられたか」
「はい。報告班より、大爆発によって全滅したとのことです」
秘書からの報告を聞き、王は──
「まあいっか」
非常にあっけらかんとしていた。
「あいつらほぼ独断だったし。報告班に後を追わせてなきゃ無駄死にもいいとこだよ」
「魔族領は実力主義ですから。功を焦ったのでしょう」
「んで、連合国の勇者はどんな感じ?」
「特化型を四人集め、パーティ形式で活動しており、あまり隙がないとのことです」
「なるほどね。そうやって不測の事態に対応できるようにしたのか。流石多種族国家、人材が豊富で羨ましいよ」
「次の手はどうしますか?」
「そうだね。とりあえず全部の国に先遣隊出して情報収集。魔王の予言が出たってことは、どの国も勇者を派遣してくるでしょ」
「メンバーはいかがなさいますか?」
「死刑囚に恩赦を条件に募集して。その後ろから報告班で尾行すればいい」
ようするに、死刑囚を捨て駒とする、ということだ。
「了解しました」
一礼して、秘書は玉座の間から離れる。
そして、一人きりになった玉座にて。
「……いやほんと、どこの誰なんだよ」
独り言を呟いていた。