第8話 畑を作った
この星50日目。
採取だけでは心もとないので、畑を作ることにした。
ニンジンは一日2本は食べたい。セロリは毎食で3葉だな。
トマトも食べたい。
手始めに、10メートル四方を耕そうと思ったのだが、どうやって?。
まず、足ダンで10メートル四方のブッシュや小石などを除いた。ブッシュも小石も粉々になって土に混ざったのだ。で、次は肥しを??。確か、肥しというものを漉き込まないと育たないと思うのだが?。
そうだ、森の中にある腐葉土を集めれば良いかも!。
異世界ネットショップなんてものは無いよ。全て自力で用意する。
土を起こして混ぜる道具が必要だね。記憶の奥から鍬をイメージできたよ。
廃ビルで、幅10センチメートル長さ20センチメートル、厚さは3ミリ以下を探してきた。これに孔をあけて柄を付ける。どうやって孔をあけるかって!。まあそれは秘密!!。
さて、できたよ。
畑を耕して、ニンジンとセロリの種を蒔いた。
水は、ラッキーなことに、すぐそばに、ちょろちょろと小川が流れていた。
廃ビルから探してきた、バケツモドキで水を汲んで、畑に撒いた。
そういえば、季節があるのだろうか?。
ある朝、もう少し大きなスプーンがあればいいなと思って、手に持った金属片にイメージを合わせながら”スプーンをクラフト!”と、面白半分で口に出してみたら、あれよあれよと金属片がスプーンに大きく変化したのだ。
これにはびっくりしたよ。
魔法だよ!魔法。足ダンも魔法なのかも?。
いろいろ試してみた。
確かにひいらぎの魔導書には、『イメージを確定して魔力を行使せよ、さすれば新しい道が開けよう』とあった。
イメージは浮かべることはできても、魔力の行使が?だね。
”指先に炎よ出でよ!”
”コップに水を満たせよ!”
”フォークをクラフト!”
基本形は『〇〇を△△せよ!』で良いみたいだ。
足ダンの様に練習を重ねたら、もっと大きな効果が得られるようになるかも。
クラフト魔法で、スプーン、ホーク、ナイフ、お皿、ボールなど廃ビルで拾ってきた欠けた食器類を復元した。そうそう鍋やフライパンは、作ると二日ほど寝込んだよ。
頭がぐらぐらして、種火も出せなかった。
やはり、魔力切れだよ。自重しよう。
一週間ほどで、ニンジンとセロリの芽が出てきた。ここで、魔法を使ってみる。
”育てよ!すーくすく、ワークワク”。うん、変かな?変だね。
というものの、ニンジンとセロリがすくすく育って、10日ほどで食べられる大きさになったよ。
素晴らしい。
カボチャは30日で、10個ほどできる。サツマイモは40日で、50個ほど。その他に大豆とか豆類も栽培した。
素晴らしい。
10日で40本はできるので、余分は干して保存しよう。
そして冬が来るのかどうかわからないので、半年の備蓄を目指そう。
次は家を作ろう。
いつ崩れるかも知れない、あなぐら生活を続けるのも、危ない。
簡単で、風雨にも耐える。うん、竪穴住居、円錐形で藁葺だね。
大きさは、高さ4メートル、直径6メートルもあれば良いかな。真ん中に立てる柱はちょっと太めで、直径20センチメートル。周囲に配置する垂木を30本、桟にする枝を多めに、それから葦なんだけどこれから探す。ロープもいるよ。うーん、材料を集めるだけでも大変だ。
木を切る道具が欲しい。アレックスがあればなんとかなる。廃ビルで集めてきた金属を机の上に置いて、アレックスをイメージする。
”アレックスをクラフト”と唱えた。
机の上に、2ポンドのアレックスが現れた。握りも良い。